ノートパソコンとしてもタブレットとしても使える1台2役の変形できるパソコンを「2in1」(ツーインワン)といいます。スマートフォンより大画面で多機能なこと、その割に薄型軽量で持ち運びやすいことから、社会人や学生を中心に携帯用パソコンとして人気です。
最大の特徴は、キーボードで文字を打ちたいときはノートパソコンの形で、手に持ってタッチ操作したいときはタブレットの形でと、利用シーンに合わせてスタイルを変えられるところ。製品によっては、紙のノート代わりに高性能なペンでイラストの作成までこなせます。今回は2in1の種類と注目のモデルを紹介します。
「セパレート(分離)型」とはその名の通り、キーボード部分を取り外してタブレット部分だけで使える製品の種類です。「デタッチャブル(着脱可能)型」とも呼ばれています。キーボードの取り外しをレバー操作などで行う製品のほか、薄型の画面カバー兼キーボードを磁石などでくっつける製品があります(そうした製品は「タブレットPC」といわれることもあります)。
メリットは完全にタブレットの見た目と使い勝手になることです。片手でタッチ操作したり、数人で画面を囲んで見たりといったシーンで活躍します。デメリットは薄いタブレット部分にパソコン本体を収めているので、発熱対策などで性能がコンバーチブル型より不利になりがちなこと、画面カバー兼キーボードは通常のキーボードより打ちにくい場合があることです。
「コンバーチブル(変換可能)型」とは、キーボードを取り外すことができず、ディスプレイ(画面)を後方にぐるりと360度回転させて反対向きに折りたたむことで、タブレットのように使える製品の種類です。
メリットは見た目も使い勝手も通常のノートパソコンとほぼ同じなのに、変形してタブレットとしても使えること。画面を回転させる角度によって、スタンドモードやテントモードといったスタンド付きタブレットのように扱えるのも便利です。
デメリットは、セパレート型よりタブレットとして使う場合に厚くて重くなること、手で持つと裏面にあるキーボードの凹凸に触れてしまうこと(もちろん、タブレット形状ではキーボードは押しても反応しません)です。
セパレート型を選ぶにしても、コンバーチブル型を選ぶにしても、ディスプレイ(画面)のサイズは選択の大きな分かれ目です。一般的にモバイルノートパソコンとして標準的なのは13型前後のサイズで、これが基準となるでしょう。
画面が大きければ、作業スペースが広がって生産性は高まり、映像コンテンツ再生時は迫力が増します。数人で画面を囲んで見るような場合にも便利です。そのぶん本体サイズは大きくなりますが、設計に余裕ができ、性能面でも有利になります。
逆に画面が小さければ、ボディーのサイズも小さく軽くなるので、持ち運びがしやすくなります。いつでもどこでも手軽に携帯して使いこなしたいなら、小さめのサイズを選ぶと持ち運びの負担を減らせるでしょう。ただし、小さいサイズの製品は性能が不利になりがちです。
パソコンのOS(基本ソフト)「Windows 10」を作っているMicrosoftが自ら手掛ける「Surface」(サーフェス)シリーズは、セパレート型2in1の代表的な存在といえます。ネットの利用はもちろん、映像コンテンツの視聴、ビジネスや学校の資料作成、イラスト制作まで、幅広い用途をこれ1台でカバーできます。
使いやすさと持ち運びやすさのバランスを考えた12.3型のディスプレイを備え、数世代の進化で改善されてきた画面カバー兼キーボードの「Type Cover」、4096段階の筆圧検知で微妙なタッチも再現できる「Surface ペン」など、純正アクセサリーも充実しています。複数の仕様から選べますが、パソコンとして十分な性能が欲しいならCore i5、メモリ8GB、SSD 256GB以上の構成がベターです。
なお、性能より持ち運びやすさを重視するなら10型ディスプレイの小型モデル「Surface Go」もあります。
日本から先進的なモバイルパソコンを世界に提案し続けてきた「VAIO」ブランド。そのセパレート型2in1パソコンが「VAIO A12」です。ノートパソコンとして使うときの安定性を高める独自構造「スタビライザーフリップ」によって、パソコンとしてもタブレットとしても使いやすいオールラウンダーに仕上がっています。
12.5型ディスプレイを備えた本体は、キーボードを含めた総重量が1099gと持ち運びやすいサイズ。プロ向け製品で実績があるワコム製のペンは、4096段階の筆圧検知ができ自然な描き心地です。キーボード側に多くの端子をそろえていることに加えて、据え置き用に周辺機器を一度に接続できる「拡張クレードル」のオプションもあります。外出先でのネット接続に便利なSIMフリーモデルも選べます。
ASUS(エイスース)は、コストパフォーマンスの高さに定評がある老舗の台湾パソコンメーカーです。豊富なラインアップがありますが、中でもこの「TransBook Mini T102HA」は、4万〜5万円台と非常に安く購入できます。画面は10.1型、重さは1.08kgと比較的コンパクトに持ち運べる2in1です。
パソコンの頭脳となるCPUのAtom x5をはじめスペックは最低限なので、メインのパソコンとして使うのには力不足ですが、外出時に荷物を減らしたいときのサブマシンなど割り切った使い方をするなら、こうした選択肢もあります。
デルの「XPS 13」といえば、モバイルノートパソコンの人気モデル。そのディスプレイ部を360度回転できるようにした2in1バージョンが「XPS 13 2-in-1」です。ディスプレイを囲むフレームを細く仕上げ、削り出しアルミとカーボンを組み合わせたボディーはプレミアム感のあるデザインも楽しめます。
最新のスペックも見どころ。CPUはノートパソコンのXPS 13より性能が少し低い代わりに省電力・低発熱のYプロセッサを採用していますが、最新の第10世代Coreで処理性能が大きく引き上げられました。ディスプレイは13.4型で4Kクラスの高精細(3840×2400)仕様も選べます。4096段階の筆圧検知に対応したペンのオプションもあります。
富士通クライアントコンピューティングの「FMV LIFEBOOK UH」は、世界最軽量にこだわり続けているモバイルノートパソコンのシリーズです。その2in1モデル「UH95/D2」も、ペンを内蔵できる13.3型ディスプレイ搭載コンバーチブル2in1では世界最軽量(2019年6月1日現在、同社調べ)を誇ります。約868gと非常に軽い1台です。
軽さに目が行きがちな製品ですが、CPUは通常のノートパソコンと同じUプロセッサ(第8世代Core i7)を搭載し、メモリは8GB、SSDは512GBと、基本スペックも充実。内蔵できるペンはワコム製で4096段階の筆圧検知ができます。薄くて軽いモバイルノートパソコンにタブレットとしての使い勝手もプラスしたい方に向いています。
レノボ・ジャパンの「ThinkPad」は、頑丈で信頼性の高いボディー設計、打ちやすいキーボード、最小限の指の動きで操作できるスティック型ポインティングデバイス「TrackPoint」(マウス代わりに使う)で知られるビジネス向けノートパソコンの名門ブランドです。
中でもフラッグシップモデルに位置付けられるのが「X1」シリーズ、そしてそのコンバーチブル型2in1モデルが「ThinkPad X1 Yoga」です。ディスプレイは14.1型と少し大きく、重さもありますが、そのぶん性能と操作性はハイレベルにまとまっています。なお、製品ラインアップにはセパレート型の「ThinkPad X1 Tablet」もあります。
パナソニックの「Let's note」(レッツノート)は、日本のビジネスシーンで好評のモバイルノートパソコン。その2in1モデル「QV8」は、Let's noteがウリとする非常に頑丈でありながら軽量(約949g〜)のボディー、ビジネスに役立つ豊富な端子類、高い基本性能(CPUは第8世代CoreのUプロセッサ)を備えつつ、高精細な12型ディスプレイを回転させてタブレットとしても使えます。
ビジネス向けモデルということもあって高価な製品ですが、さまざまなワークスタイルへの高い対応力を求めるなら押さえておきたい1台です。なお、Let's noteには携帯性に優れた10.1型ディスプレイの小型モデル「RZ」シリーズもあります。
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