大手携帯通信事業者(MNO)から電波と無線通信設備を借りて携帯通信サービスを提供する企業のことを「MVNO(仮想移動体通信事業者)」と言います。MVNOが提供する携帯通信サービスは、MNOのそれよりも手頃な価格であることから、「格安SIM」と呼ばれることもあります。手頃な価格の「格安スマホ」との相性がバッチリなのはもちろん、条件を満たせば手持ちのスマホをそのまま使うこともできます。
この記事では、そんな「格安SIM」を選ぶ上で確認したいポイントをチェックしつつ、それを踏まえたおすすめのサービスをご紹介します。
【更新:2020年3月15日10時45分】内容を最新のものに改めました
先述の通り、格安SIMはMNOから電波と無線通信設備(以下まとめて「ネットワーク」)を借りています。サービスによって「NTTドコモ」「au」または「ソフトバンク/Y!mobile」のいずれかのネットワークを使って通信しているということです。
現在でこそ、人口密集地ではMNO次第で「つながる」「つながらない」といった差はめったに生じませんが、場所によっては特定のMNOしかつながらないこともあります。この傾向は特に山間部や過疎地で顕著なので、山に出かける機会が多い人や、過疎地と呼ばれる地域に住んでいる人は、気になる格安SIMがどのMNOのネットワークを借りていて、エリアの整備状況はどうなのかをしっかり確認しましょう。
また、MNOが販売したスマホをそのまま使う、いわゆる「SIM替え」をする場合もどのMNOのネットワークを使っているのか確認が必要です。
原則として、MNOのスマホにはそのMNOのSIMカードしか認識しない「SIMロック」がかかっています。スマホを販売したMNOのネットワークを使う格安SIMは、一部を除きロックがかかったままでも使えますが、他のMNOのネットワークを使う格安SIMを利用する場合はSIMロックを解除しましょう。
ロック解除の手続きは有料となることもあります。SIM替えをしたい人は、手持ちの端末と気になる格安SIMの組み合わせでロック解除が必要なのかどうか、事前に確認しましょう。
“フォン(Phone)”と名乗る通り、スマートフォンには電話をする機能があります。ただ、最近は「LINE」や「Facebook Messenger」など、コミュニケーションアプリで通話をするので「携帯電話番号は不要だ」という人もいるかもしれません。
携帯電話番号を使った通話を一切しない場合は、「データ専用SIM」を使うという選択肢もあります。音声通話に対応しない分、月額料金が安くなります。
ただし、データ専用SIMにはSMS(ショートメッセージ)の送受信に対応しないものもあります。一部のアプリやWebサービスは、本人確認や認証にSMSを用いるので「SMS認証は絶対に使わない!」という自信がある人を除いて、SMS送受信機能が付いたデータ専用SIMをおすすめします。
一方、仕事やプライベートなどで、通話をするなら「音声通話SIM」を選びましょう。自分から電話をかける機会が多い場合は、通話料金を抑えるオプションサービスの有無も合わせてチェックしたいです。
コミュニケーションアプリでの通話はもちろん、音楽・動画のストリーミングサービスやゲームなど、スマホでいろいろなことを楽しむとなるとデータ通信は欠かせません。そこでどうしても気になるのが月間のデータ通信容量です。
自宅に固定インターネット回線があって、朝や夜はそれを使って通信するなら契約する容量を抑えることで月額料金も抑えられます。逆に、自宅に固定インターネット回線がない場合は、契約する容量を大きめにしておくと安心です。
月によってデータ通信容量が増えたり減ったりする場合は、「データ容量を翌月に繰り越せるか」「容量のプランを月次で変えられるか」をチェックしておきたいです。特に後者については、月額料金の節約に直結しますから、しっかり確認しましょう。
以上4つのポイントを踏まえた上で、おすすめの格安SIMを5つご紹介します。
インターネットイニシアティブ(IIJ)の「IIJmio(アイアイジェイみお)」は、同社の個人向け格安SIMサービスです。料金プランは「ミニマムスタートプラン」「ライトスタートプラン」「ファミリーシェアプラン」の3つで、ファミリーシェアプランは最大10枚(※1)、その他のプランは最大2枚までSIMカードを発行できます(※2)。
回線はドコモ(タイプD)かau(タイプA)から選択可能。複数枚のSIMカードを発行する場合は、両者を混在させてもOKな上、両者が混在していてもデータ通信容量をシェアできるようになっています。
同一名義の音声通話SIM同士の通話料金が20%オフなのもポイントで、アプリ利用型の通話割り引きサービス「みおふぉんダイアル」(基本月額無料、要申し込み)とも併用できます。
(※1)音声通話SIMは1人(1契約)当たり5回線まで
(※2)SIMカードの追加発行手数料や月額料金はプランやオプションによって異なります(条件によっては無料となることもあります)
オプテージの格安SIM「mineo(マイネオ)」は、コミュニティサイト「マイネ王(まいねおう)」が何よりの特徴です。このサイトではユーザー同士(時には「中の人」も)が活発に意見交換や質問をし合っており、それが新しいサービスに結び付くこともあります。
その1つが「フリータンク」。ユーザーが余ったデータ通信容量を入れておくと、足りなくなったユーザーがそれを引き出して補充できるというものです(引き出しには一定の条件があります)。家族以外のユーザーとの間でデータ通信容量を融通し合う「パケットギフト」もあります。
回線をau(Aプラン)、ドコモ(Dプラン)、ソフトバンク(Sプラン)の3キャリアから選択できるのも強みです。
NTTコミュニケーションズの格安SIM「OCN モバイル ONE」は、ドコモ回線を利用するサービス。子会社が運営する通販サイト「gooSimseller(グーシムセラー)」を通したSIMロックフリースマホとのセットに定評があります。最近料金プランを分かりやすくなるようにリニューアルしました。
一部の音楽ストリーミングサービスのデータ通信量をカウントしない「ミュージックカウントフリー」(要申し込み)や、公衆Wi-Fi(無線LAN)サービス「OCN モバイル ONE Wi-Fiスポット」(アプリのインストールまたはユーザーIDの取得が必要)を無料で使えることが強みです。使い方次第では、データ通信容量が足りなくなりがちな人には便利といえます。
UQコミュニケーションズ(沖縄県以外)とUQモバイル沖縄(沖縄県のみ)が提供する格安SIM「UQ mobile」は、au回線を利用するサービス。他の格安SIMと比べると混雑しやすい時間帯でも安定して通信できると定評があります。
スマホとのセット販売では、最新ではないものの「iPhone」も用意されています。iPhoneを正規に取り扱うMVNOは多くはないため、「難しいことを考えずにiPhoneと一緒に格安SIMデビューを目指したい」という人におすすめです。
USEN-NEXT HOLDINGSとヤマダ電機の合弁会社である「Y.U-mobile」が新たにサービスを開始した、ドコモ回線を利用する格安SIMが「y.u mobile」です。2020年3月15日現在、同社のWebサイトでのみ申し込みを受け付けていますが、ヤマダ電機の店頭や「U-NEXTストア」でも順次受け付けを開始する予定です。
y.u mobileは月間3GBの「シングルプラン」と、月間20GBで、最大3枚までSIMカードを追加発行できる(※3)「シェアプラン」の2種類だけとプランがシンプル。容量が足りない場合は1GB当たり300円で購入できます。プランに付帯した追加容量とチャージ分は、期限を切らず繰り越せます(繰り越し容量には100GBの上限あり)。
音声通話SIMには、1年当たり最大3万円までの修理代金を補償する「修理費用保険」が付帯します。また、シェアプランには「U-NEXT」の月額プラン(月額1990円相当)も付帯するので、動画や雑誌を楽しみたい人にもおすすめです(こちらはデータSIMも対象です)。
(※3)別途、追加SIMカードの月額料金が掛かります(データSIM:300円/SMS対応データSIM:420円/音声SIM:790円)
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