Amazonが9月30日、テレビにつないで使う映像デバイス「Amazon Fire TV Stick」の第3世代が発売されます。第2世代は2016年9月に発売されていますから、およそ4年ぶりの新モデルということになります。Amazon.co.jpでの税込み販売価格は、先代(第2世代)から据え置きの4980円です。
4年ぶりに刷新ということで「何が変わったの?」「先代や初代から買い換えるべきなのか?」と疑問に思っている人もいると思います。そこで、この記事では第3世代のFire TV Stickの進化ポイントを主に先代と比較しつつ解説します。
Amazon Fire TV Stickは、Amazonの映像デバイス「Amazon Fire TVシリーズ」のエントリー(入門)モデルという位置付けです。
その名の通りボディーはスティック(棒状)で、原則としてテレビのHDMI入力端子に直接差し込んで使います。物理的な制約で本体を直接差し込めない場合は、付属の「HDMI延長ケーブル」を使うことで取り付けられます。
電源は内蔵していません。付属のACアダプターと付属のUSBケーブルを使って供給します。テレビにUSB端子が付いている場合、その電源供給能力が十分なら、ACアダプター抜きでも動作は可能です(保証される訳ではありません)。
Fire TV Stickにはインターネットに接続する機能が備わっています。
Wi-Fi(無線LAN)を介して接続することで、「Amazon Prime Video」だけでなく、「YouTube」「Netflix(ネットフリックス)」「TVer(ティーバー)」「GYAO!(ギャオ)」「DAZN(ダゾーン)」「FOD(フジテレビオンデマンド)」「ABEMA(アベマ)」「Apple TV+」など、非常に多岐に渡るネット動画配信サービスを楽しめます。Webブラウザアプリをインストールすれば、一般的なWebサイトも閲覧可能です。
Wi-Fiがない場合、あるいはより安定したネット接続を希望する場合は、別売の「イーサネットアダプタ」を購入すれば、有線LANでつなぐことも可能です。イーサネットアダプタは、Fire Stick TVのUSB(電源入力)端子につないで使います。
付属のリモコンには、カーソルキーや再生コントロール用の各種ボタンが付いています。テレビがHDMI端子経由のコントロール(HDMI CEC)に対応している場合は、テレビの電源オン/オフや音量調整もできます。
……が、このリモコンの注目点はマイクが付いていること。このマイクを使うと「Amazon Alexa(アレクサ)」を使った音声コントロールが可能です。コンテンツの検索や再生はもちろん、Alexa対応のスマート家電をと使っている場合は、Fire TV Stick経由でその制御も行えます。
ちなみに、このリモコンが壊れた場合、またはリモコンを紛失してしまった場合は、単品で購入することも可能です。Alexa対応リモコンは、第2世代以降のFire TV Stickの他、「Amazon Fire TV Stick 4K」や第3世代の「Amazon Fire TV」と共通です。
さて、ここからが本題。第3世代のFire TV Stickの進化点をチェックしていきます。
1つ目の進化点は、「HDR(ハイダイナミックレンジ)」の映像を再生できるようになったことです。
簡単に解説すると、HDRは画面の「明るさの幅」を広げるための規格で、画面の明るい部分と暗い部分の両方が見やすくなることが特徴です。テレビ(受像機器)、プレーヤー(再生機器)、そして再生する映像の3点がHDRに対応すると、初めてHDRで再生できるようになります。
従来のFire TV StickではHDR映像の再生に対応していませんでした。しかし、第3世代モデルでは、接続先のテレビがHDR表示に対応していて、かつ再生する映像がHDR形式で収録されていれば、従来モデルよりも色鮮やかな映像を楽しめます。
Fire TV Stickが対応するネット動画配信サービスのうち、Amazon Prime Video、Netflix、YouTube、「dTV」などがHDR対応動画を用意しています(全てではありません)。
2つ目の進化点は、「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」形式の音声再生に対応したことです。
Dolby Atmosは元々、米Dolbyが映画館向けに開発したサラウンド音声の収録形式で立体音響の再現に強みがあります。現在は、家庭向けにアレンジした規格「Dolby Atmos for Home」や、ヘッドフォンを使った仮想サラウンド規格「Dolby Atmos for Headphone」もあります。
第3世代Fire TV Stickで対応するのはDolby Atmos for Homeです。同規格で音声を収録した動画を、同規格に対応するテレビやアンプを介して再生すると、機器構成次第で立体感のある音を楽しめます。
Fire TV Stickが対応するネット動画配信サービスのうち、Amazon Prime Video、Netflix、「ひかりTV」や「U-NEXT」がDolby Atmos for Homeで音声を収録した動画を配信しています(全てではありません)。
第3世代のFire TV Stickでも、対応アンプ(とスピーカー)さえ用意すれば、新次元の立体音響を体感できるのです。
第3世代のFire TV Stickでは、各種データを処理するプロセッサ(CPUとGPU)を強化し、先代と比べて最大で50%のパフォーマンスアップを実現しました。先代や先々代のFire TV Stickにおいて、動作が「もっさり」(緩慢)に感じていた部分も、改善されることが期待できます。
それでいて、第3世代のFire TV Stickは消費電力も最大で半減しています。元々、Fire TV Stickの消費電力は少なめですが、さらなる省エネ効果を期待できます。
Fire TV Stickには、上位モデルとして「Amazon Fire TV Stick 4K」と「Amazon Fire TV Cube」があります。簡単ですが、これら2モデルも紹介します。
Fire TV Stick 4Kは、その名の通り4K(Ultra HD:3840×2160ピクセル)の映像出力に対応しています。もちろん、HDRやDolby Atmosにも対応しています。Amazon.co.jpでの販売価格は6980円です。
4Kテレビのポテンシャルを存分に発揮したい人は、こちらを検討するのもアリです。
Fire TV Cubeは、Fire TVシリーズの最上位モデルです。その名の通り、キューブ(立方体)形状のボディーを持ち、テレビとはHDMIケーブル(別売)で接続します。Amazon.co.jpでの販売価格は1万4980円です。
プロセッサのCPU部分は6コアで、ストレージは16GBとなっています。動画配信サービス用のアプリをたくさん入れても余裕なことが魅力です。メモリ容量も2GBと、他の2機種よりも多めです。
さらに、Fire TV Cubeは本体に“直接”話しかけて音声操作することも可能で、本体にスピーカーも内蔵しています。そのため、テレビの電源が入っていない状態でもスマートスピーカー代わりに使えます。他の2モデルとは異なり、有線LAN接続用のイーサネットアダプタも付属します。
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