10月23日、Appleの新しいスマートフォン「iPhone 12」と「iPhone 12 Plus」が発売されました。Appleの直販(Webと店頭)や一部の家電量販店に加えて、NTTドコモ、au(KDDIと沖縄セルラー電話)、ソフトバンクの携帯電話を取り扱う店舗で購入できます。
どちらも画面サイズは6.1型で、本体の寸法も約71.5(幅)×146.7(高さ)×7.4(厚さ)mmと、画面とサイズだけをみると“全く”同一機種であるようにも思えます。事実、本体ケースを始めとするアクセサリー類は基本的に両機種で同じものを使えます。
では、両者は一体何が違うのでしょうか。比べてみましょう。
iPhone 12とiPhone 12 Proの一番大きな違いはアウト(外側)カメラの数と構成にあります。
iPhone 12のアウトカメラは、1200万画素の「広角カメラ」と1200万画素の「超広角カメラ」のデュアル(二眼)構成となっています。
広角カメラはメインカメラという位置付けです。レンズのF値は1.6で、光学式手ブレ補正機構を備えています。F値は低いほど光を集める能力が高く、より暗い場所での撮影に適します。光学式手ブレ補正機構は、レンズそのものに備わった手ブレを抑制する仕組みです。簡単にいうと、より暗い場所で写真を撮りやすい、手ブレに強いカメラになっています。
一方、超広角カメラはより広い範囲を撮るためのカメラという位置付けです。レンズのF値は2.4と、広角カメラよりも暗所撮影は苦手なものの、撮影画角は120度となっています。画角の広いカメラでは、レンズに起因する写真の「ゆがみ」が生じやすいのですが、ソフトウェアの処理でゆがみを補正する機能も備えています。
なお、広角カメラと超広角カメラの光学的なズーム倍率は「2倍」となっています。
iPhone 12 Proのアウトカメラには、iPhone 12と同じ「広角カメラ」と「超広角カメラ」に加えて、1200万画素の「望遠カメラ」を加えたトリプル(三眼)構成になっています。
その名の通り、望遠カメラは遠くを撮るためのカメラです。レンズのF値は2.2で、超広角カメラと比べると少し暗い場所に強めで、光学式手ブレ補正機構も備えています(※1)。3つのカメラを合わせた光学的なズーム倍率は「4倍」(ズームイン2倍+ズームアウト2倍)となっています。
また、iPhone 12 Proのアウトカメラには「LiDARスキャナ」というレーザー式のToF(空間距離測定)センサーも付いています。このセンサーによって、暗い場所でのピント合わせの速度と精度が向上します。
その他、iPhone 12にはない以下の撮影機能が備わっています。
(※1)動画撮影時は利用できません
(※2)iPhone 12でも秒間30コマ記録は可能
iPhone 12とiPhone 12 Proは、ボディーの基本設計も共通です。従来のiPhoneよりも頑丈にすべく、ディスプレイガラスにナノ(10億分の1)サイズのセラミッククリスタルを編み込み、カバーとの端部の高さをそろえました。さらに、ひっかき傷の付きにくさを高めるべく、今までは背面ガラスにのみ使っていた「イオン交換法」によるガラス強化をディスプレイガラスにも適用しました。
しかし、両者はボディーカラーのラインアップが異なります
どちらかというと、iPhone 12はポップな色合い、iPhone 12 Proは落ち着いた色合いという傾向にあるようです。
ちなみに、iPhone 12の「PRODUCT(RED)」は、複数の企業が参加する商品を通した慈善活動「(RED)」とコラボレーションしたカラーで、購入代金の一部が世界エイズ・結核・マラリア対策基金に寄付されます。ただし、価格自体は他のカラーと同一です。
iPhone 12とiPhone 12 Proは、アプリを実行するための「メモリ」の容量に差があります。また、アプリやデータを保存するための「ストレージ」の容量のラインアップも異なります。
より多くのデータを保存したい人、よりゆとりを持ってアプリを楽しみたい人はiPhone 12 Proがおすすめです。それほど多くのデータを保存しないなら、iPhone 12でも良いでしょう。
その他、主に搭載するカメラの数などに起因する重量差(iPhone 12は約162g、iPhone 12 Proは約187g)こそありますが、上記以外の基本スペックはiPhone 12とiPhone 12 Proで共通です。
両機種共に解像度(きめ細かさ)が1170×2532ピクセルのSuper Retina XDR(有機EL)ディスプレイを搭載し、IP6X等級の防塵(じん)性能とIPX8等級の防水性能を確保しています。プロセッサはA14 Bionicで、特に機械学習ベースのAI(人工知能)処理がより高速になりました。
そうなると、気になるのが価格差です。Appleの直販ベースでは、以下のような価格(税込み)となっています。
128GBモデルと256GBモデルでは、一律で1万7600円の価格差があります。このプラス分が、アウトカメラやメインメモリの強化、カメラ撮影機能の拡充につながっています。
性能面でゆとりを持って使いたい人、カメラ撮影にこだわりたい人はiPhone 12 Pro、価格を重視しつつも、一定の性能をしっかり確保したい人はiPhone 12がおすすめです。
「最新性能じゃなくてもいいから、もっと手頃なiPhoneがほしい」という人は、旧機種である「iPhone SE(第2世代)」「iPhone 11」「iPhone XR」も引き続き販売されているので、それを狙うのもアリです。ただし、iPhone 12シリーズの登場以後に出荷されたパッケージにはAC(充電)アダプターとEarPods(イヤフォンマイク)が付属しないので注意しましょう。
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