ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の最新ゲーム機「PlayStation 5」(プレイステーション5、以下PS5)は、以前と比べると入手しやすくなっているものの、一部では品薄が続いています。
そんなPS5ですが、7月30日から大規模ソフトウェアアップデートのβ(ベータ)テストが始まりました。このテストには、一部のユーザーが心待ちにしていた「M.2 SSD」への対応が盛り込まれており、このβテストに参加することでM.2 SSDを内蔵ストレージとして利用できるようになります。
……と、そもそもM.2 SSDとは何なのでしょうか。そして、PS5でM.2 SSDを使うと何が良いのでしょうか。利用するための条件を整理しつつ、おすすめのM.2 SSDを紹介します。
M.2 SSDの「M.2(エムドットツー)」は、パソコンの拡張カードの形状規格の1つで、主に「スロット(端子)の形状」と「基板のサイズ」を定義しています。パソコンではSSD(ソリッドステートドライブ)の他、Wi-Fi(無線LAN)やBluetoothに対応するための通信カードを搭載するために使われています。
そしてM.2 SSDは、その名の通りM.2スロットに装着するSSDのことを指します。HDD(ハードディスクドライブ)や、HDDと形状互換のあるSSDと比べるとコンパクトなことがメリットです。
ただし、M.2 SSDには複数の「基板のサイズ」と「通信規格」があります。PS5が対応するサイズと規格は、後で詳しく説明します。
過去の記事でも取り上げた通り、PS5ではUSB 3.0以上の規格に準拠するUSBストレージを利用できます。USBストレージには「プレイステーション4(PS4)」やPS5のゲームを保存できるものの、PS5のゲームを直接起動することはできません。つまり、USBストレージにあるPS5ゲームは内蔵ストレージに移動しないと楽しめないのです。
その点、M.2 SSDなら保存したPS5ゲームを直接起動できます。もちろん、インターネット経由でダウンロードしたPS4/PS5ゲームの保存とインストール、Blu-ray Discからのインストールや、内蔵ストレージに保存したゲームの移動(コピー)にも対応しています。
PS5にM.2 SSDを搭載する場合、8月22日時点ではシステムソフトウェアのβテストに参加する必要があります。条件は以下の通りです。
システムソフトウェアのβテストへの参加は、特設サイトで募っています。ただし抽選制で、応募すれば誰でも参加できるわけではありません。ご注意ください。
PS5に搭載できるM.2 SSDは、一般的なパソコンで使われているものより高いスペックが要求されます。具体的な要件はサポートサイトに記載されていますが、その中でも特に重要なものは以下の通りです。
「シーケンシャル読み込みが毎秒5500MB以上」という推奨要件を満たすM.2 SSDは、発熱が非常に大きい傾向にあります。それゆえに、ヒートシンク(冷却機構)の装着も必須です。
ゲーミングPCやワークステーション/サーバで使うM.2 SSDの場合、あらかじめヒートシンクを装着してあるモデルも少なからずあります。PS5で使う前提ならヒートシンク付きM.2 SSDがおすすめです。ただし、ヒートシンクのサイズは以下の要件を満たす必要があります。
上記の要件を満たせるなら、ヒートシンクのないM.2 SSDに市販のヒートシンクを後付けして使っても構いません。
M.2 SSDの取り付けは、本体右側(横置き時は下側)にある外装カバーと、その内側にあるM.2スロットカバーを取り外して行います。作業にはNo.1サイズの+(プラス)ドライバーが必要です。具体的な手順は、サポートサイトの「M.2 SSDを取り付ける」を参照してください。
M.2 SSDの取り付けはシステムソフトウェアをβテスト版に更新した後に行ってください。更新前に取り付けてしまった場合は、いったん取り外してからシステムソフトウェアの更新を行ってください。
先述の通り、PS5で使えるM.2 SSDは要件が厳しめです。ただし、それを満たせる製品は幾つか登場しています。今回は、その中でも特におすすめできるモデルを紹介します。
Samsung 980 PROは、サムスン電子製のPCI Express 4.0 x4接続のM.2 SSDです。容量は250GB、500GB、1TB、2TBの4種類があります。ヒートシンクはオプションとなっていますが、Amazonでは500GB以上の容量でヒートシンクキットとのセット品も販売しています。
シーケンシャル読み込みの速度は毎秒6400MB(250GBモデル)〜7000MB(1TB/2TBモデル)と、PS5が求める要件をしっかり満たしています。サムスン電子製のSSDはメーカー製パソコンで多く採用されており、信頼性を重視する人にはイチオシです。
WD BLACK SN850は、ウエスタンデジタル(Western Digital)製のPCI Express 4.0 x4接続のM.2 SSDです。容量は500GB、1TB、2TBの3種類があり、それぞれに「ヒートシンクなし」「ヒートシンクあり」のモデルが用意されています。
シーケンシャル読み込みの速度はいずれの容量も毎秒7000MBで、PS5が求める要件をしっかり満たしています。ウエスタンデジタル製のSSDは、サムスン電子製と並んでメーカー製パソコンで多く採用されており、信頼性を重視する人にはイチオシです。
FireCuda 530は、シーゲート(Seagate)製のPCI Express 4.0 x4接続のM.2 SSDです。容量は500GB、1TB、2TB、4TBの4種類があり、それぞれに「ヒートシンクなし」「ヒートシンクあり」のモデルが用意されています。ヒートシンクありのモデルは、PS5への対応もしっかりうたっています。
シーケンシャル読み込みの速度は、500GBモデルが毎秒7000MBで、その他のモデルが毎秒7300MBで、PS5が求める要件をしっかりと満たしています。Seagateは内蔵HDDにおいてトップシェアのメーカーで、近年はSSDにも注力しています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.