冬も走り続けるライダーにとって、大敵は何といっても寒さ。特に体の末端にある手指は、冷え切った走行風が直に当たるので、体感温度はすぐに氷点下になります。指先がかじかんでしまうと、バイクを安全に操縦することが困難に。
そこでおすすめしたいのが、発熱ユニットを内蔵した「電熱グローブ」です。まるでこたつに手を入れているかのような暖かさで、冬のライディングが楽しくなること間違いなし! ここでは、バイク歴35年の筆者が電熱グローブのおすすめ商品を紹介します。
モーターサイクル&自転車ジャーナリスト。短大卒業後、好きが高じて二輪雑誌の編集プロダクションに就職し、6年の経験を積んだのちフリーランスへ。ニューモデルの試乗記事だけでもこれまでに1500本以上執筆し、現在進行形で増加中だ。また、中学〜工高時代はロードバイクにものめりこんでいたことから、10年前から自転車雑誌にも寄稿している。キャンプツーリングも古くからの趣味の一つであり、アウトドア系ギアにも明るい。
気温5度、湿度50%という条件の中、時速60kmで走行すると、体感温度はマイナス10.4度まで下がると言われています。つまり、冬にバイクに乗っているライダーは、街中ですらスキー場にいるのと同程度の寒さを味わっているのです。特に冷たさを感じるのが手指。ここがかじかんでしまうと、スロットルやレバーの操作がしづらくなり、バイクの操縦に支障をきたす可能性がぐんと高まります。
中綿入りの秋冬用グローブを筆頭に、手元を完全に覆って冷気を遮断するハンドルカバー、ハンドルグリップ自体に電熱線を装入したグリップヒーターなど、手指の防寒アイテムはいくつかあり、それぞれに長所と短所があります。
今回紹介するのは、発熱ユニットを中間層に内蔵した電熱グローブ。温度設定をハイパワーにすると、製品によっては電熱線の温度が60度付近まで上昇します。走行中は冷気にさらされるので、グローブ内の空気はそこまで上がりませんが、感覚としては、手だけこたつに入れているかのようで、驚くほど快適なのです。
電熱グローブの発熱ユニットを作動させるには、電源が必要です。電源は大きく分けて2種類あり、1つはバイクの車体にある12Vバッテリーから得るというもの。専用のケーブルを車体に取り付けたり、乗り降りの度にケーブルを抜き差ししたりする手間はありますが、エンジンがかかっている限りはバッテリー切れの心配がなく、ロングツーリング向きと言えるでしょう。
なお、最近はシガーソケットやUSBポートに電源ケーブルを接続するタイプもあり、これらが装備されているバイクであれば、車体側の配線作業は不要です。
もう1つは、モバイルバッテリーを使用するというもの。リチウムイオンポリマーなどの充電タイプが一般的です。バッテリーを左右それぞれに収納するので、グローブ自体が重くなるほか、温度設定をハイパワーにすると2〜3時間しか使えないといったデメリットはあるものの、車体側の配線作業なしで気軽に使い始められるのは大きな長所でしょう。
また、発電量の少ない小排気量車や旧車でも気にせずに使用できます。なお、専用バッテリーや充電器が別売りになっている製品もあるので、その場合は合わせて購入する必要があります。
電熱グローブは、発熱ユニットを水ぬれから守る目的もあり、防水仕様のものがほとんどです。また、暖めた空気を逃がさないように高機能な中綿を使用したり、タッチパネルの操作に対応していたりと、グローブ本体の基本性能はほぼ横並びです。チェックしたいのは、電熱線のレイアウト。指先まで電熱線がしっかり入っているかを確認しましょう。
転倒などのアクシデント時に手を保護するプロテクターや、夜間走行時の被視認性を確保するリフレクター、ジャケットの袖口との相性を左右するカフのデザインなどは各社各様であり、安全性や防寒性を左右します。ぜひ自分に合う商品を見つけてみてください。
1975年に創業したRSタイチは、充電式バッテリーで作動する電熱ウェアの「e-HEATシリーズ」を、2011年に発表。以来年々改良を続けており、今シーズンは、4種類の電熱グローブをラインアップしています。「RST650」は、最も安価なエントリーモデルですが、電熱線にカーボンファイバーを使用した発熱ユニットはシリーズ共通なので、温かさのレベルは同等となっています。
温度設定は、ハイパワー・ノーマル・エコノミーの3段階。電源には、別売りの7.2V充電式バッテリーを使用します。グローブ本体は透湿防水仕様で、甲部にはソフトタイプのナックルプロテクターを内蔵。電熱グローブとしては珍しく、カラーバリエーションが4種類あるのも魅力です。
1947年に創業したバイク用品メーカーのコミネでは、電熱グローブだけで10種類もラインアップしています。「EK-218」は、グローブ本体の表地にゴートレザー(山羊革)を使用しているほか、電源スイッチを目立たないように内側へレイアウトするなど、レトロな雰囲気を追求した新製品です。電源は別売りとなっており、7.4Vの充電式バッテリーセット、もしくは車両に接続するシガーソケットケーブルが必要です。
電熱線はカーボンファイバーで、指先まで装入されています。最大消費電力は左右合計で約20Wで、温度設定は3段階。透湿防水フィルムが装入されていますが、雨の中を長時間走行する際には、オーバーグローブを着用のこと。オールレザーですが、タッチパネル対応なのもうれしい配慮です。
バイク関連総合商社の老舗である山城が、日本で唯一のライディンググローブ総合ブランドとして立ち上げたのが、アイディール(ideal)です。新製品の「ヒート4」は、電熱グローブとしては珍しいショートタイプ。商品名の末尾にある「BC」は、車両の12Vバッテリーを電源として使用することを表しています。
温度設定は3段階で、電熱線には、断線に強いマイクロカーボンファイバーを使用。グローブ本体は透湿防水仕様で、3Mシンサレート中綿やフリース素材により、優れた保温性を発揮します。大型リフレクターや蓄光プリント、ナックルプロテクターなど、安全性に対する配慮も万全。別売りの2200mAh充電式バッテリーを用意すれば、ケーブルレスで使える点にも注目です。
2007年創設のバイク用品ブランド、ケミモトの電熱グローブを紹介しましょう。電源は容量2500mAhの7.4V充電式バッテリーで、温度設定は高・中・低の3段階。低温モードなら、6〜8時間程度使用可能です。欧州の安全基準であるCEマークのほか、日本の電気用品安全法のPSE認証マークも取得。グローブ本体は透湿防水仕様で、高機能中綿の3Mシンサレートを装入しています。
甲部にはTPUプロテクター、手のひらにはカーボンプロテクターを配置することで、アクシデント時の保護性能を高めています。また、人差し指の側面には、シールドに付着した雨水を拭うワイパーも装備。もちろんタッチパネルの操作にも対応しており、機能満載なオールインワン電熱グローブと言えるでしょう。
手持ちのグローブと組み合わせて使う、インナータイプの電熱グローブもあります。コミネの「EK-204」は、車両の12Vバッテリーを電源に使用するタイプで、別売りのシガーソケットケーブルを組み合わせることも可能です。
温度設定はハイ・ミッド・ローの3段階で、人差し指と親指の先は、タッチパネルの操作に対応。電熱グローブの効果をできるだけ低予算で試してみたい人にとって、ぴったりな一双でしょう。
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