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クロスバイクとロードバイク、結局どっちが良い? 違いや特徴を自転車ジャーナリストが解説【2023年最新版】

» 2023年02月22日 17時15分 公開
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 新生活に向けて自転車を新調する人が増えるこの時期。シティサイクル(ママチャリ)しか知らなかった人にとって、軽くて速く走れるクロスバイクは魅力的に映ることでしょう。そして、調べているうちに知るのがロードバイクという存在。一見ハンドル以外大きな違いがないようにも思えますが、何が異なっているのでしょうか。それぞれの特徴を見ていきましょう。

クロスバイクvsロードバイク Nubia Navarro/pexels.com

大屋雄一

大屋雄一

モーターサイクル&自転車ジャーナリスト。短大卒業後、好きが高じて二輪雑誌の編集プロダクションに就職し、6年の経験を積んだのちフリーランスへ。ニューモデルの試乗記事だけでもこれまでに1500本以上執筆し、現在進行形で増加中だ。また、中学〜工高時代はロードバイクにものめりこんでいたことから、10年前から自転車雑誌にも寄稿している。キャンプツーリングも古くからの趣味の一つであり、アウトドア系ギアにも明るい。

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ロードバイクは主に競技向け、クロスバイクは街乗り特化型

 ロードバイクは、サイクルロードレース用の競技自転車のことを指し、その昔はロードレーサーと呼ばれていました。世界三大スポーツイベントの一つ、ツール・ド・フランスでプロ選手たちが乗っている自転車がこれに当たります。トップカテゴリーのレース用機材でありながら、4輪のF1や2輪のMotoGPとは異なり、市販されていてお金さえ出せば誰もが購入できるのが特徴です。

 2000年以降は、競技に出場しないサイクリストのために、長距離での快適性や走行安定性を重視したモデルや、未舗装路の走破性を視野に入れたモデルなどが登場し、ジャンルの細分化がさらに進みました。とはいえ、湾曲したドロップハンドルに幅の細いタイヤを組み合わせるという大まかなスタイルは、1900年代から基本的に変わらないのです。

クロスバイクvsロードバイク (出典:J SPORTS

 これに対してクロスバイクは、1980年代にその原型が誕生したと言われています。未舗装路を走るために作られたマウンテンバイクをベースに、ロードバイクのような細めのタイヤを履かせたモデルや、ロードバイクをベースにハンドルを一文字のフラットバーに変更したモデルなど、当初はさまざまなアプローチが模索されていました。

 その後、クロスバイク専用に設計されたモデルが続々と登場し、2000年代には完全に人気ジャンルとして日本に定着。当初はクロスオーバーモデルとも呼ばれており、アスファルトと未舗装路の両方を走れることを特徴としていました。近年は舗装路での快走を重視したモデルが主流になっています。その一方、太めのタイヤを履き、オフロード走行も可能なモデルも登場するなど、ロードバイクと同様に細分化が進んでいます。

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クロスバイクの相場は5万〜10万円、ロードバイクは10万円以上

 原材料の高騰や輸送コストの上昇、そして円安などにより、2022年に自転車は大きく値上がりしました。かつてクロスバイクのボリュームゾーンは5万円台でしたが、2023年は3割程度アップの7万円台へ。

 ロードバイクも同様で、競技に耐えうるエントリーグレードのボリュームゾーンは20万〜30万円台でしたが、2023年モデルは軒並み40万円をオーバーしています。ちなみにハイエンドモデルは、ついに200万円を超えてきました。一方で、レクリエーション向けのロードバイクは10万円前半から残っていますが、これはエントリーユーザーを絶やさないように、各社が徹底したコストダウンで価格を維持しているというのが現状です。

クロスバイクvsロードバイク Pixabay/pexels.com

 価格の違いは、主に材質や精度の差です。例えば骨格となるフレーム。クロスバイクの主流はアルミニウムですが、ハイエンドモデルになると軽量なカーボンが使われています。ロードバイクならミドルグレード以上はほぼカーボンで、必然的にアルミフレームよりも車重が軽くなります。

 精度については、高価なモデルほど、より滑らかなベアリングや、ゆがみの出にくいホイール、スムーズにギアチェンジできる変速機などを採用しています。塗装や金属面の仕上げをはじめ、変速機やブレーキに使われているワイヤー1本に至るまで原価を左右するので、細部を見ればメーカーのコストダウンに対する努力が分かるでしょう。

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ロードバイクの方がスピードを出せる

 ママチャリしか乗ったことのない人がクロスバイクに乗ると、まずは車重の軽さやハンドルの低さ、タイヤの細さに驚くのではないでしょうか。ママチャリはフレームがスチール製な上に、泥除けや荷台、スタンドなどが付いているので、車重は16〜19kgくらいが一般的。対してクロスバイクは10〜12kgなので、軽いと感じるのは当然でしょう。

 車重の軽さと低いハンドルによって生じる前傾姿勢、そして転がり抵抗の少ないタイヤにより、こぎ出しはママチャリよりも圧倒的に軽く、しかも高い速度を維持しやすいのです。初めての乗車でも、成人男性なら平地ですぐに時速25kmくらいは出せてしまうはずで、そのスピード感や全身に受ける風圧に感動することでしょう。

クロスバイクvsロードバイク RUN 4 FFWPU/pexels.com

 そんなクロスバイクよりも、さらにスピードを出せてしまうのがロードバイクです。10万円台前半のモデルでも車重は10kgを下回り、タイヤはさらに細いものが付いています。そして、高い速度を出せる最大の理由がドロップハンドル。クロスバイクよりもさらに前傾姿勢が深くなり、空気抵抗が大きく減ります。この前傾姿勢によって、ペダルに力を伝えやすくなるのもポイントです。成人男性なら、平地で楽に時速30km付近まで出せるでしょう。

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速さや軽さだけが善とは限らない、自転車の奥深い世界

 クロスバイクのメリットは、何といっても街中での乗りやすさです。ロードバイクよりもアップライトな乗車姿勢のため視野が広く、またフラットバーなので、ドロップハンドルよりもブレーキや変速レバーの操作がしやすいのです。

クロスバイクvsロードバイク ネスト「VACANZE 1」(出典:Amazon

 さらに、ロードバイクよりもタイヤが太めなので衝撃吸収性に優れ、歩道の段差や荒れたアスファルトでの乗り心地に優れています。また、泥除けや荷台、スタンドなどを追加しやすいのもメリットで、雨の日の通勤・通学や、フィットネスを目的としたサイクリング、ちょっとしたツーリングまで、幅広く対応することができます

 ロードバイクは、ドロップハンドルの高さをある程度調整できるとはいえ、それなりに前傾姿勢は深いことから、上半身の荷重を支えることで手のひらが痛くなったり、頸椎(けいつい)に負担が掛かったりします。加えて腰痛持ちの人にとっては、この姿勢を維持すること自体が辛いかもしれません。

 一方で、運動性の高さはロードバイクの大きな魅力です。先に記した加速性能や巡航維持性能だけでなく、俊敏なハンドリングやシャープなブレーキ性能など、10万円台前半のモデルであっても、クロスバイクとは明らかにパフォーマンスが異なります。乗り心地は硬めですが、タイヤの空気圧の調整次第で改善が可能。また、市場には汎用の泥除けやバッグ類が豊富にあるので、クロスバイク並みに積載性を高めることもできます。

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クロスバイクでスポーツサイクルの世界に目覚める人も多い

 クロスバイクは通勤・通学やフィットネス向き、ロードバイクは競技やロングライド向きのようにざっくりと分けることができますが、クロスバイクで数100kmものツーリングに行く人もいれば、ロードバイクを毎日の通勤に使っている人もいます。そのため、最終的には見た目の好みと予算で選んでも問題ありません

クロスバイクvsロードバイク Pixabay/pexels.com

 しかし、「ガチなロードバイクは不要」と考えクロスバイクを選択した人が、乗っているうちにスポーツサイクルの世界に目覚めてしまい、フラットバーをドロップハンドルにしたいと悩むことも往々にしてあります。物理的には取り替え可能ですが、フレームの各部の寸法がロードバイクとは異なるため、どうしてもハンドルとサドルの距離が離れてしまい、体格に合わなくなる傾向があります。

 また、ハンドル交換によるパーツ代と工賃は結構な金額になるので、ロードバイクを買い足した方が良いケースも。店頭やイベントなど、両方を試乗できる機会を利用して吟味した上で、自分に合う方を選ぶとよいでしょう

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