新芽が芽吹き、鳥の声で森の中が賑やかになる春。そんな時にぜひ楽しみたいのが「お花見登山」です。山の桜は、近くで見るのはもちろんのこと、展望スポットなどから見下ろすのも楽しみ方の一つ。青々とした森の中に薄ピンク色の桜の木が映え、街でのお花見とは一味違った風景も圧巻です。
今回は、関東で楽しめる初心者向けの「お花見登山スポット」を紹介します。桜の開花情報を確認して、1年に1度の景色をぜひ見に行ってみてはいかがでしょうか。関東近郊の山の桜は、例年3月下旬〜4月中旬ごろに楽しめます。標高が高く気温の低い山では、ふもとよりも開花が遅いことを覚えておきましょう。
フリーランスライター兼アウトドアショップスタッフ。富士登山をきっかけにアウトドアにはまり、登山やキャンプ、トレイルランニングなど幅広いアクティビティを一年中楽しんでいます。勤務するアウトドアショップのお客さまから寄せられるお悩みや自身の山体験を生かし、リアルで深い内容を発信! リモートワーカーのため、仕事や日常を快適かつ生産的に行うためのガジェット選びも得意です。
東京都八王子市にある言わずと知れた登山の人気スポット・高尾山では、例年4月上旬ごろに桜が楽しめます。おすすめのお花見スポットは、高尾山から隣の小仏城山(こぼとけしろやま)に向かう途中にある「一丁平」。ヤマザクラやソメイヨシノなどが約1000本並ぶ圧巻の景色を堪能できるほか、ミツバツツジも鑑賞できます。高尾山頂までは駅から歩いて90分程度(※コースによります)、ケーブルカーやリフトを利用すれば50分ほどで到着します。そこから一丁平までは約40分ほどの道のりです。階段が設置されている場所が多く、急な上り坂も少ないため、初心者でも挑戦しやすいでしょう。
一丁平には展望台やベンチ、トイレなどがあるので、行動食を食べたり、汗を拭いたりと休憩する場所としてもぴったりです。一丁平から小仏城山までは約20分ほど。茶屋があるので、名物のなめこ汁やおでん、みそ田楽などを食べるのもおすすめです。
小仏城山は、高尾山ほど混雑していない穴場スポットでもあるため、ゆっくりと自然を満喫することができます。都心から電車やバスでのアクセスが抜群なのもポイント。気軽に行けるお花見登山スポットです。
「弘法山(こうぼうやま)公園」は、神奈川県秦野市にある県立自然公園。一つの山ではなく、浅間山(標高196m)・権現山(標高243m)・弘法山(標高235m)の3つが集まった地帯を弘法山公園と呼びます。3月下旬から4月上旬にかけて約1400本のソメイヨシノが咲き乱れ「かながわの花の名所100選」にも選出されています。
弘法山公園の魅力はアクセスの良さ。一般的な登山では電車やバスを乗り継いで登山口まで向かうことが多いですが、弘法山公園入口までは小田急線秦野駅から徒歩約20分ほどで到着します。そこから三山を登頂し、日帰り温泉が楽しめる鶴巻温泉駅に降りるルートは約2時間半ほど。長すぎず短すぎないボリュームで、危険箇所もないため、初めての登山にもぜひ挑戦してほしいスポットです。
最大標高235m程度と低いものの、周りに高い山がないため、開けた眺望が楽しめるのもポイント。展望スポットからは相模湾や秦野市の街並みが見られるほか、権現山からはよく晴れていれば富士山の姿も拝むことができます。桜と青空、富士山を1枚の写真に収められるチャンスがあるかも? 天気の良い休日にぜひ出かけてみてはいかがでしょうか。
神奈川県伊勢原市にある大山(おおやま)は標高1252mのピラミッド型の山で、丹沢大山国定公園の一つとして数えられます。最寄駅である伊勢原駅や秦野駅までは都心からアクセスがよく、車がなくてもOKです。中腹の大山阿夫利神社までケーブルカーを使うことができ、そこから山頂までは片道約90分ほど。そのため初心者にも登りやすい山として、1年を通して登山客で賑わいます。
相模湾や関東平野を一望できる大山阿夫利神社からの眺望は、2015年に「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で2つ星を獲得。四季折々の動植物が鑑賞できることでも知られ、春になると、神社付近や山頂付近の桜がきれいに咲きます。
ふもとにある阿夫利神社社務局裏山の大山桜もおすすめ。樹齢400年と言われる大木で、例年4月上旬に見頃を迎えます。たっぷりお花見を楽しみたいなら、伊勢原駅を拠点として計4本の大山桜を歩いて回るハイキングコースにぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。1時間ほどの道のりで、危険箇所は少ないため、登山用の重装備がなくても挑戦できます。ただし、ややアップダウンがあり、山道を歩くため、履き慣れた靴や動きやすい服装を心がけ、水分補給用のドリンクを携帯しましょう。
蓑山(みのやま)は、秩父にある標高約587mの山。別名「美の山」とも言われ、山頂の美の山公園は桜やツツジ、アジサイ、紅葉など四季の植物が楽しめるスポットとして人気です。約8000本植えられていると言われる桜の見頃は、4月中旬ごろから。品種によってはゴールデンウイークごろまで楽しめます。また、秩父唯一の独立峰(山が連なっているのではなく、ただ一つの山として形成された地形)のため、見晴らし抜群なのもポイント。景色が他の山に隠れてしまうことなく、高度感のある開けた景色を視界いっぱいに楽しむことができます。
一般的なコースは、秩父鉄道親鼻駅から美の山公園に向かい、秩父鉄道和銅黒谷駅に下山する工程で、歩行時間は約3時間ほどです。比較的ゆるやかでファミリーでも挑戦しやすいルートながら、本格的な登山道を歩くシーンもあるので、自然をたっぷり満喫できます。
周辺には、初めて和銅が採掘された「和銅遺跡」があり、人間の背丈をはるかに超える巨大な和同開珎の像が建てられています。ぜひ立ち寄って、記念撮影しましょう。秩父鉄道沿線には、この他にも長瀞駅周辺の野土山や北桜通り、南桜通りなど、桜の名所がたくさんあるので、下山後に気になるところに立ち寄ってもよいですね。
武甲山(ぶこうさん)は、標高1304mの山で、埼玉県の秩父にあります。最寄りの秩父鉄道横瀬駅からも目立つピラミッド型をしており、古くから信仰の山として親しまれてきました。武甲山は日本二百名山のほか、花の百名山にも選ばれており、秩父の街並みや谷川連邦などの美しい眺めを目的に、平日でも多くの人が訪れます。
武甲山の春の風物詩は、ふもとにある羊山公園の芝桜。約40万株の芝桜が植えられていると言われており、4月中旬ごろからピンクや紫の花のじゅうたんが楽しめます。また、羊山公園には桜も植えられており、桜越しに武甲山の山姿を眺めることも可能。絵のように美しい写真が撮れるのでおすすめです。山頂でもソメイヨシノが鑑賞できます。
武甲山のメジャーなコースは、秩父鉄道横瀬駅からタクシーで登山口(一の鳥居)まで向かい、山頂を経て秩父鉄道浦山口駅に下山するもの。やや急勾配があり、コースタイム約7時間ほどと本格的な登山となるため、登山靴やウェア、ザック、水などの必須アイテムを用意して挑戦しましょう。
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