Appleは9月13日、新型スマートフォン「iPhone 15 Pro」を発表しました。USB Type-Cの採用やチタニウム素材の採用が発表会場でも特に大きな反響を得ていましたが、具体的には「iPhone 14 Pro」からどのような部分が変わったのでしょうか。
ここでは、前モデルiPhone 14 Proから進化したポイントを、特に注目したいポイント5つに絞って紹介します。機種変更やスマホ選びの参考にしてみてください。
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iPhone 15 Proのまず注目したい変更点は、ボディーの素材にチタニウム(チタン)を採用した点です。これは「iPhone 15」にはないiPhone 15 Proならではの変更点となっています。
頑丈で軽量なチタン素材を採用したことで、Proシリーズでもっとも軽いモデルになったとのことです。iPhone 15 Proの重さは187gでiPhone 14 Proの206gと比べると約20g、10%近く軽くなっています。またチタンには金属アレルギーを起こしにくいメリットもあります。
チタンには表面硬度が高くないデメリットもありますが、iPhone 15 Proに採用されたのは表面硬度が純チタン(グレード2)よりも高いグレード5チタン(合金)。火星探査機の合金と同じものを使用しているとのことで、より高い堅牢性を発揮してくれそうです。
次に注目したい変更点は、USB Type-Cを採用した点です。2022年に欧州連合(EU)でスマホなどの端子をUSB Type-Cに標準化する法案が可決されたことで、USB Type-Cへの変更は時間の問題と言われていましたが、今回の「iPhone 15」シリーズで実際に採用されることとなりました。
USB Type-Cになったことによる最大のメリットは、さまざまな機器と充電やデータ転送用のケーブルを共有できることです。USB Type-Cを採用しているiPadやMacBookはもちろん、AndroidスマートフォンやWindowsのパソコンなどともケーブルを共用できます。
またUSB Type-Cケーブルの規格や実際に使用する機器にもよりますが、データの転送速度が大きく向上する点もメリットとして挙げられます。Lightningケーブルの転送速度は480Mbpsですが、iPhone 15 Proが採用するUSB 3に対応したUSB Type-Cの転送速度は10Gbps。圧倒的に速度がアップすることが分かります。
さらにディスプレイなどへの接続もアダプタを使わず充電と同じケーブル1本で済ませることが可能です。
iPhone 15 Proはプロセッサーに「A17 Pro」を採用。iPhone 14 Proに搭載していた5コアの「A16 Bionic」からコア数が6コアに増えた新しいプロセッサーとなります。
A16 Bionicと比べてCPU性能は最大10%、GPU性能は最大20%アップ、機械学習用のニューラルエンジンは最大2倍、レイトレーシングは最大4倍速くなったとのことです。
最大20%アップしたGPUと速度が大きく向上したレイトレーシングによって、大作ゲームもなめらかなグラフィックとリアルな光表現で堪能できそうです。
カメラ機能について13mm相当の超広角カメラ(1200万画素)、24mm相当の広角カメラ(4800万画素)、77mm相当の3倍ズーム(1200万画素)を搭載する点はiPhone 14 Proから変わりないですが、機能が大きく進化しています。
デフォルトのメインカメラは画角を24mm、28mm、35mmから選ぶことができ、シーンや好みに応じて変更できます。iPhone 15 Pro Maxでは、これに加えて120mm相当の光学5倍ズームにも対応します。
またフォトニックエンジンによってポートレート機能も進化。人物や犬、猫を自動で認識してポートレートで表示してくれるほか、ポートレート写真がライブフォトに対応しました。ポートレートモードで連続ズームを使ってクローズアップできるようになった点も見逃せません。
さらに撮影後に被写体から別の被写体にフォーカスを切り替えることができるようになったのも注目の進化ポイントです。
一般のユーザーにはあまり関係ないかもしれませんが、映像制作の現場で使われている色彩基準「ACES」にスマホとしては初めて対応した点やApple Vision Proで再生できる「空間ビデオ」の撮影にも今後のアップデートで対応する点もiPhone 15 Proならではのセールスポイントとなっています。
これまでミュートボタンがあった位置には新たに「アクションボタン」が追加されました。デフォルトでは、アクションボタンはミュートのオン/オフに設定されていますが、カメラの起動やボイスメモ、設定したショートカットやアクセシビリティの呼び出しなどを割り当てることができます。
より直感的な操作でカメラを呼び出せるためシャッターチャンスを逃さないために活用したり、ショートカットを設定して特定のアプリを素早く開いたりと工夫次第でかなり便利に使えそうです。
ここまで5つの進化ポイントを見てきましたが、その中でも特に注目したいのはチタン素材の採用とUSB Type-Cの採用、カメラ機能の進化の3つでしょう。
軽くて丈夫で独特の色合いを持つチタン素材の採用は人によっては、それだけで購入の動機になるかもしれない強烈なアピールポイントです。高級腕時計にも使われるグレード5チタンが所有欲を満たしてくれることでしょう。
またUSB Type-Cの採用によって、Apple内でもMacBook、iPadとiPhoneでバラバラになっていた端子が統一されて利便性が増しました。もちろんApple製品だけでなく、他社製のディスプレイなど各種周辺機器とも格段に連携しやすくなったはずです。この点はiPhone内での買い替えを促進するよりも、どちらかというとUSB Type-C前提で周辺機器を選んでいたAndroidスマートフォンの使用者がiPhoneに乗り換えるハードルを下げる効果の方が大きいかもしれません。
カメラ機能は進化してより素早く使えるポートレートと後からフォーカスを切り替える機能に注目したいです。iPhone 14 Proにはない機能なのはもちろん、Androidスマートフォンと比較しても珍しい機能なので、カメラでiPhoneを選ぶ理由となるかもしれません。
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