メディア

バイクジャーナリストが試乗して「印象に残ったバイク」ベスト5 衝撃を受けたインパクト抜群なバイクとは?【2023年最新版】(1/2 ページ)

» 2023年11月07日 16時00分 公開
[大屋雄一Fav-Log]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 現在、日本では国内外メーカーのバイクが600車種以上も購入できると言われています。四半世紀以上にわたって数多くのニューモデルに試乗してきたバイクジャーナリストが、ここ3年以内で特にインパクトを受けたモデルを5台紹介しましょう。

印象に残ったバイクベスト5 ドゥカティ ムルティストラーダV4 S

大屋雄一

大屋雄一

モーターサイクル&自転車ジャーナリスト。短大卒業後、好きが高じて二輪雑誌の編集プロダクションに就職し、6年の経験を積んだのちフリーランスへ。ニューモデルの試乗記事だけでもこれまでに1500本以上執筆し、現在進行形で増加中だ。また、中学〜工高時代はロードバイクにものめりこんでいたことから、10年前から自転車雑誌にも寄稿している。キャンプツーリングも古くからの趣味の一つであり、アウトドア系ギアにも明るい。

→著者のプロフィールと記事一覧

印象に残ったバイク:トライアンフ ロケット3 R

印象に残ったバイクベスト5 量産バイク世界最大排気量・2500ccながら意外にもフレンドリー
  • 価格:282万5000円(税込、以下同)
  • エンジン形式:2458cc水冷4ストロークDOHC4バルブ直列3気筒
  • 最高出力・最大トルク:167ps・221Nm
  • 車重:318kg
  • シート高:773mm

 排気量の大きなバイクと聞いて、まず誰もが思い浮かべるのが米国のハーレーダビッドソンでしょう。2023年6月にはハーレー史上最大となる1977ccのV型2気筒エンジンを搭載したモデルが発表されるなど、今なお排気量は増加傾向にあります。

 そのハーレーを抑え、量産バイクとして最も大きな排気量のバイクを販売しているのが、イギリスのトライアンフです。およそ20年前の2004年に発売された「ロケット3」というシリーズがそれで、搭載される水冷直列3気筒エンジンは何と2294cc! 2020年にはエンジン、車体とも完全新設計となり、排気量は2458ccにアップしました。

 乗用車で言えば3ナンバークラスのエンジンを抱えるロケット3。スロットルを大きく開ければ、“突進”や“瞬間移動”などと表現できるほどの猛烈な加速力を見せますが、巡航時のエンジンフィールは極めてジェントルかつシルキーで、この二面性こそがシリーズ最大の魅力と言えるでしょう。

 ハンドリングも、この個性的なスタイリングから想像できないほどナチュラルで、ライダーをアシストする電子制御システムも充実。ちなみにハーレーのラインアップの大半が300万円をオーバーしますが、ロケット3 Rは282万5000円に抑えられているのも見逃せないポイントです。

人気のフルフェイスヘルメットをチェック

印象に残ったバイク:ヤマハ トリシティ125

印象に残ったバイクベスト5 フロント2輪による絶大な安心感、転ぶ気がしない!
  • 価格:49万5000円
  • エンジン形式:124cc水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒
  • 最高出力・最大トルク:12ps・11Nm
  • 車重:168kg
  • シート高:770mm

 ヤマハから「トリシティ」という名の原付二種コミューターが発売されたのは2014年のこと。フロント2輪・リア1輪という特殊な構造ながら、操舵(そうだ)のフィーリングは一般的なスクーターとほとんど変わりません

 それでいて、コーナリング中はまるでフロントタイヤが路面に吸い付いているような安心感があり、バイクにとっての新時代が到来したことを実感しました。

 フロント2輪・リア1輪というレイアウトは目新しく思われますが、実はトリシティがデビューする6年前に、イタリアのピアッジオが「MP3」というモデルで実現していました。筆者はその初代モデルを試乗しているのですが、トリシティと同様にフロントタイヤの接地感に感動したことを今も鮮明に覚えています。

 ヤマハは、ピアッジオの持つ特許を巧みに回避しつつ同等以上のシステムを構築し、トリシティシリーズについては125cc/150cc/300ccとラインアップを拡充。さらに「ナイケン」という888ccのスポーツモデルまで発売するに至りました。

 先日、「トリシティ125」と「155」の最新モデルに試乗しました。足周りやフレームが刷新され、ハンドリングがより自然になりました。多くのライダーに体験してほしい秀作です。

印象に残ったバイク:カワサキ Z H2 SE

印象に残ったバイクベスト5 スーパーチャージャーと電子制御サスの素敵なハーモニー
  • 価格:229万9000円
  • エンジン形式:998cc水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
  • 最高出力・最大トルク:200ps・137Nm
  • 車重:241kg
  • シート高:830mm

 2015年、カワサキは量産バイク初となるスーパーチャージャー付きのエンジンを開発しました。それを最初に搭載した「ニンジャH2R」というモデルは、排気量998ccから310psという途方もないパワーを絞り出したことから、その年の話題を総ナメにしたのです。

 そんな強烈なパワーユニットを搭載したネイキッドが、この「Z H2」です。最高出力は200psに抑えられているとはいえ、6000rpmを超えてからの伸び上がりは、まるで地面の上を滑空しているかのように強烈です。

 それでいて、低中回転域ではライダーの右手の動きに対してどこまでも忠実で、さらに微振動が極めて少ないこともあり、日常的に使えるエンジンに仕立てられているのです。

 筆者が試乗したのは上位仕様の「SE」で、セミアクティブ電子制御サスペンションを採用しています。ギャップ通過時の吸収性は抜群に良く、しかもレインモードに切り替えるとスカイフックテクノロジーが発動し、まるで見えざる何かによって車体が水平に保たれているかのような乗り心地となるのです。

 アグレッシブなスタイリングと強烈なスペックに目を奪われがちですが、スーパーチャージドエンジンによる唯一無二のパワーフィールと、それを支える電子制御サスの働きは素晴らしく、この値段がバーゲンプライスに思えるほどです。

印象に残ったバイク:カワサキ ニンジャZX-25R

印象に残ったバイクベスト5 13年ぶりに復活した250ccの4気筒エンジンがレプリカ世代に刺さる
  • 価格:96万2500円
  • エンジン形式:249cc水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
  • 最高出力・最大トルク:48ps・22Nm
  • 車重:184kg
  • シート高:785mm

 カワサキからもう1台、インパクトを受けたモデルを紹介しましょう。「ニンジャZX-25R」は、カワサキとしては13年ぶりとなる250cc並列4気筒エンジンを搭載しています。

 現在250ccクラスのエンジンは、単気筒と並列2気筒が主流となっています。厳しくなる一方の排気ガス規制や騒音規制に適合しつつ、高コストの高性能モデルを作り続けるのが難しくなった、というのが4気筒エンジンが消えた理由です。具体的には、2007年に全てのメーカーの250cc4気筒モデルがディスコンとなりました。

 そんな中、カワサキはインドネシアで250ccの高性能モデルが売れると判断し、ニンジャZX-25Rを開発したのです。その目論見(もくろみ)は完璧に当たり、2020年9月に日本でも発売されるや否や大ヒットとなりました

 新開発の4気筒エンジンは、スロットルを開けるほどに甲高くなるエキゾーストノートが魅力的で、これは単気筒や2気筒では絶対に味わえません。そして、サスペンションにもコストがかけられており、クラスを超えたスポーティーなハンドリングも有しています。

 100万円に迫る車両価格は、250ccクラスとしてはかなり高いのですが、1980年代のレーサーレプリカブームを知る世代、いわゆるシニア層の心をわしづかみにしたことで、発売から3年が経過した今も品薄状態が続いているのです。

ライターおすすめのバイク用品はコレ!

印象に残ったバイク:ドゥカティ ムルティストラーダV4 S

印象に残ったバイクベスト5 BMWとは異なるアドベンチャーが、ムルティストラーダV4
  • 価格:323万9000円〜
  • エンジン形式:1158cc水冷4ストロークDOHC4バルブ90度V型4気筒
  • 最高出力・最大トルク:170ps・125Nm
  • 車重:243kg
  • シート高:820/840mm(可変式)

 最後に紹介するのは、イタリアのドゥカティがラインアップする「ムルティストラーダV4」です。シリーズとしては第4世代にあたり、「4台のバイク(スポーツ、ツーリング、エンデューロ、アーバン)を1台に」というコンセプトを掲げています。

 筆者はこれをサーキットで試乗しました。いわゆるアドベンチャーやクロスオーバーなどのカテゴリーに属するモデルですが、ハンドリングは意外なほどスポーティーで、ライダーが膝を擦るほどバンクさせても全く破綻しません。

 そして何より驚いたのが、水冷V4エンジンのスムーズさと、電子制御デバイスの高性能ぶりです。前者については無振動と表現できるほどシルキーで、とても1000ccを超えるエンジンとは思えないほど低回転域から滑らかに発進できます。

 電子制御デバイスについては、旋回中に無理をするとトラクションコントロールが介入するものの、注意していなければ気付かないほど自然に助けてくれるのです。

 アドベンチャー界では、実力でも売り上げでもドイツのBMWが一強状態にあり、それ以外のメーカーを積極的に試乗してこなかったのですが、ムルティストラーダV4に乗ったことで深く反省しました。特に電子制御については、ドゥカティはかなりリードしているといってもよいでしょう

今売れている「バイク用通信機器」をチェック

無料でお試し 音楽聴き放題!

Apple Gift Cardで、楽天ポイントがたまる・使える!

Google Play ギフトコードで、楽天ポイントがたまる・使える!

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.