「ワークマン」は、2022年2月から本格的なキャンプギアの販売をスタートしました。現在、早くも国内市場シェアの5%を突破しています。当初から中わたの一部にダウンを使用したシュラフをラインアップしてきましたが、今シーズンはついに100%天然ダウンのハイエンドモデルを発売しました。
実際に暖房器具なしでの冬キャンプで使用してみたので、そのインプレッションをお届けしましょう。
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ワークマンがラインアップするシュラフの上位モデルには、ダウンジャケット用に開発した「フュージョンダウン」という中わたが使われています。
天然ダウンとフェザー、そして吸湿発熱わたを組み合わせた高機能中わたで、商品によってその割合は微妙に異なるのですが、例えば快適使用温度マイナス5度を誇る「エクストリームダウンシュラフ1290(1万9800円 税込み、以下同)」の場合は、ダウン50%/フェザー15%/吸湿発熱わた35%となっています。
さて今回紹介するのは、2023〜2024年の秋冬シーズンに新登場した「ハイエストダウンシュラフ」です。従来の「エクストリーム」を超える性能を有することからハイエストと名付けられた製品で、最大のポイントは、中わたに天然のグレーダックダウンを100%使用していること。
バリエーションは快適使用温度マイナス8度の「1290(2万9800円)」と、快適使用温度マイナス2度の「690(1万9800円)」の2種類。どちらも従来よりしなやかな20デニールのリップストップナイロンを表地に採用しています。
「ワークマンから2万9800円のシュラフ!?」と驚く人は多いことでしょう。しかし、快適使用温度マイナス8度の製品を他のブランドで探してみると、例えばナンガなら6万円をオーバーし、モンベルでも4万円を超えます。そうした現状を知れば、ワークマンのコスパが際立っていることが分かります。
今回は1290の方を使用しました。収納袋から取り出すとすぐにふっくらと膨らみます。高機能中わたを使用したエクストリームダウンシュラフ1290よりも明らかにフワッとした優しい手触りです。
表地には撥水性があり、テント内側の結露が落ちてきてもすぐには染み込まないようになっています。ダウンは水にぬれると膨らみが減るので、その分だけデッドエアを保持しにくくなります。結果保温性が落ちてしまうので、表地に撥水性があるのはうれしいですね。
シュラフの形状は保温性に優れるマミー型で、YKK製の止水ダブルファスナーの内側には、冷気の侵入を遮断するドラフトチューブが採用されています。さらに、首の周りにはネックバッフルが設けられるなど、体温を逃がさないための工夫が随所に見られます。
荒川沿いにある埼玉県の秋ヶ瀬公園で開催されたキャンプイベントで、ハイエストダウンシュラフ1290を初めて使用しました。テントはワンポールタイプで、今回はインナーテントを張らず、コット(簡易ベッド)を使用して就寝しました。
この日は22時ごろから急に気温が下がり、明け方には0度を記録。テントの表面に付着した夜露がうっすらと白くなっていたので、12月上旬のこの地域としてはなかなかの冷え込みだったと言えるでしょう。
ところが周囲が明るくなるまで、具体的には朝の7時にスマートフォンのアラームが鳴るまで熟睡できたのです。
身長175cm・体重65kgの筆者でも余裕のあるサイズで、生地がしなやかなこともあり、中で体を動かしても窮屈感がありません。ファスナーは引く方向によってかみ込みが発生することがありますが、これは慣れの範疇(はんちゅう)でしょう。ドラフトチューブのおかげで中は均一に暖かく、さらにネックバッフルによって肩周りの冷えもありませんでした。
使用したテントは、冷気の侵入を防ぐスカートが付いていません。また、電熱マットや湯たんぽなど、暖を得られる器具も用意していなかったので、就寝前はそれなりに不安を抱えていましたが、それらは杞憂(きゆう)に終わりました。
収納時のサイズは約79(円周)×41(高さ)cmと記載されていますが、付属の収納袋にはコンプレッションベルトが付いているので、これを絞ることでさらにコンパクトになります。なお、重量は約1.8kgで、カラーはブラウンのみです。
シュラフの快適使用温度は、公的機関による試験結果に基づいたものですが、体感温度は個人差が大きく、また体調や着衣によっても左右されるため、あくまでも目安でしかありません。しかし、筆者が使用した限りではスペック以上に暖かく感じられたので、今後も冬キャンプで使い続けたいと思っています。
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