登山に携帯したほうが良いといわれる「トレッキングポール(ストック)」。とはいえ「荷物が増えるし本当に必要なの? 自分にはいらないのでは?」と思う人も多いのではないでしょうか。
しかし、トレッキングポールを使用することには多くの利点があり、初心者・上級者を問わず、安全かつ快適に活動を楽しむために重要なアイテムです。本記事では、無雪期登山におけるトレッキングポールの必要性や基本的な使い方を紹介します。
フリーランスのライター・編集者。元アウトドアショップ店員。富士登山をきっかけにアウトドアにはまり、登山やキャンプ、トレイルランニングなど幅広いアクティビティを一年中楽しんでいます。自身の山体験や、店員時代の接客経験を生かし、リアルで深い内容を発信!リモートワーカーのため、仕事や日常を快適かつ生産的に行うためのガジェット選びも得意です。
トレッキングポールは、登山をする全ての人にとっての必需品ではありませんが、快適かつ安全に山を歩くのをサポートしてくれます。
もう1つの足のような役割を持ち、足への負荷を分散させることが可能です。登りでは姿勢のバランスをとり、体のブレを軽減。推進力を上げる役割もあり、きつい登り坂や疲れている場面でも体をスムーズに前へ進めてくれます。
下り坂では、荷物の重さや不安定な路面が原因で体がグラついたり転んだりするのを防止する効果も。また、ドスンと強く足を下ろすと膝や足首に強い衝撃がかかりますが、先にトレッキングポールを突いておくことでやさしく着地でき、関節への負担を減らすこともできます。
このように、トレッキングポールにはバランス保持や推進力の向上、転倒防止、膝や足首の関節への負担軽減など、さまざまなメリットがあります。そのため、長期縦走などで長く歩きたい人や関節に不安がある人、脚力が弱い高齢者などには、重要なアイテムと言えるでしょう。
山を歩き始める前に、トレッキングポールの長さを調整しましょう。平らな場所でトレッキングポールを持ち、腕を曲げた時の肘の角度をみて、適切な長さかどうかを判断します。
平地では肘が90度の角度になるように調整します。登りでは平地よりもやや短めが推奨されるため、肘の角度は大きめに。傾斜にもよりますが、肘が120度ほど開けば良いでしょう。
下りでは少し長めが推奨されるため、肘の角度は60度ほどにしておくと良いです。ただし、これはあくまで一般論。登山道の状態や傾斜によって適切な長さは変わるため、登山中に違和感があったらこまめに調整するようにしましょう。
ストラップに下から手を通し、余ったストラップとグリップを一緒に握って歩きます。この時、強く握らなくてもトレッキングポールが落ちることはないため、軽い力で握るようにしましょう。強く握りこむと手が疲れてしまいます。
体の幅よりトレッキングポールをやや広く構え、脇をしめて歩きます。トレッキングポールを体の遠くに突いて前傾姿勢になったり、逆に体を後ろにそらしたりするのはNG。かえって体に負担がかかったり、トレッキングポールが折れたりする原因になります。
どんなにきつい場面でも、トレッキングポールに体重を預けすぎるのはNG。転倒やケガ、トレッキングポールの故障の原因になります。トレッキングポールはあくまでもサポート役という認識を忘れずに、自分の足腰で進むことに意識を向けましょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.