新旧問わず世界中のアニメや映画が視聴できる「Amazonプライム」。8月の視聴ランキングは『SAKAMOTO DAYS』をはじめ、ジャンプ作品と異世界転生(なろう)系が複数ランクインしている状況です。
今回は「Amazonプライム8月の視聴ランキング(日本)」の上位3作品のアニメを紹介しつつ、ランキング結果の分析を行います。気になる作品があれば、ぜひチェックしてみてください。
本記事は、Amazon.co.jpのプライムビデオ視聴ランキング(2025年8月20日5:00現在)に基づいてランキングを集計しています
フリーライターとして、家電、家具、アニメ等の記事を担当。大学時代から小説や脚本などの創作活動にはまり、脚本では『第33回シナリオS1グランプリ』にて奨励賞を受賞、小説では『自殺が存在しない国』(幻冬舎)を出版。なんでも書ける物書きの万事屋みたいなものを目指して活動中。最近はボクシングをやりはじめ、体重が8kg近く落ちて少し動きやすくなってきました。好きなのものは、アニメ、映画、小説、ボクシング、人間観察。好きな数字は「0」。Twitter:@kirimachannel
累計発行部数1300万部突破の福田晋一氏の大人気ラブコメ『その着せ替え人形は恋をする』のSeason 2が3位にランクインしました。アニメやゲーム、漫画が大好きな女子高生ギャル・喜多川海夢(きたがわまりん)と、雛人形作りに打ち込む真面目な男子高校生・五条新菜(ごじょうわかな)の2人が、コスプレを通じて交流を深めていく、異色のラブストーリーです。
主人公がコスプレ衣装を作り、ヒロインがコスプレ姿を披露するという、今までにない構図で展開する作品で、全編を通してコスプレに対する、愛情や楽しさが丁寧に描かれています。
海夢は2次元を愛し、五条は雛人形を愛する、互いの「好き」を共有する中で、徐々に恋愛へ発展していく物語となっており、何か「好き」なものや「推し」がいる人にとっては、感情移入せざるを得ない作品と言えます。
衣装の作り込みやメイクなど、細部へのこだわりも強く、五条がコスプレを成立させるために悩みながら創意工夫していくところも見どころの1つ。毎回のように変わるヒロインのコスプレ姿も必見です。
7月25日に最終巻が発売されたばかりということもあり、今大注目の1作となっています。夏から放送スタートしたSeason 2では文化祭のミスコンに向けてコスプレ衣装を準備するなど、青春感のあふれる目の離せない展開が満載です。
元・最強の殺し屋、坂本太郎を中心に繰り広げられる、バトル×コメディのアクション活劇『SAKAMOTO DAYS』。原作は全世界累計発行部数1200万部を超える、週刊少年ジャンプにて連載中の人気漫画です。2025年1月に第1クールが放送され、少し間を空けて7月から第2クールがスタート。先月からひとつ順位を上げ、2位にランクインしています。
あまりの強さにすべての殺し屋から恐れられ、憧れを持たれていた主人公・坂本が、コンビニ店員の葵と出会い恋に落ちたことをきっかけに、殺し屋を引退。結婚し、子供を授かり、幸せな生活を送る中で、坂本はすっかり太っていた……。筋骨隆々でスマートだったかつての面影はなく、中年太りのおじさんになっていたのです。
引退したとはいえ、腕が完全に鈍ったわけではなく、いざと言う時は力を発揮し、目にも止まらぬスピードと腕力で、あっという間に裏組織の敵を一掃。元殺し屋×コンビニ店員である坂本の見た目と動きのギャップ、スタイリッシュなバトルシーンとおバカなやり取りをする日常シーンとの緩急が激しい作品となっています。
ひょんなことから坂本の経営するコンビニで働くことになる、エスパーの朝倉シンや元マフィアの陸少糖をはじめ、疑似家族的に結束する坂本陣営。さらに変装の達人・南雲や関西弁のクールガイ・神々廻(ししば)、天然で電ノコを振り回す大佛(おさらぎ)など、殺連直属の特務部隊「ORDER」の面々など、組織ごとに多様なキャラが登場します。
第2クールは殺し屋殺しを行う、謎の人物・X(スラー)の放つ刺客たちとの戦いが本格化。坂本たちを狙う、特殊な美学を持つサイコパス的な敵が現れ、多彩かつ予測不能なバトルが展開される模様です。キャラの多様さで言えば、今期随一の作品かもしれません。
「少年ジャンプ+」にて連載され、7月18日に最終回を迎えた松本直也氏の怪獣漫画『怪獣8号』のシーズン2が1位に輝きました。ゴジラなど怪獣ものの伝統と、少年漫画の文法が合わさった日本ならではの強力なコンテンツとして国内外で支持を集めており、原作は累計4億閲覧数突破の大ヒットを記録しています。
舞台は怪獣が人々の生活を脅かしている日本。怪獣を討伐する「日本防衛隊」の隊員たちの活躍する世界です。主人公の日比野カフカはひょんなことから、怪獣の力をその身に宿し、怪獣8号としてさまざまな苦難に立ち向かっていきます。
一度は夢を諦めた32歳の中年主人公が再起を図る展開や、防衛隊の仲間との絆、幼馴染との約束、怪獣8号の力の謎、迫りくる強敵など……エンタメ作品としての魅力がてんこ盛りの1作です。アニメシリーズは『エヴァンゲリオンシリーズ』でおなじみの「スタジオカラー」が怪獣デザインを担当しており、怪獣ものとしてのクオリティーを高めています。
海外のアーティストを起用した音楽も特徴的です。シーズン1から引き続き、エンディング曲はアメリカの6人組ロックバンド「OneRepublic」が担当。オープニングは北欧のシンガーソングライター「AURORA」が手掛けています。また坂東祐大氏の劇中歌も洋楽風のテイストで統一されており、スタイリッシュな世界観を演出しています。
シーズン2では防衛隊の大敵「怪獣9号」の恐るべき学習と成長、日本防衛隊長官の四ノ宮功の壮絶な戦闘、日本最強の対怪獣戦力と称される第1部隊隊長の鳴海弦の登場など、物語が一気に動き出します。
2025年8月のアニメ視聴ランキングは、ジャンプ作品と異世界転生(なろう)系がつばぜり合いをするような結果となりました。
ジャンプ原作は1位の『怪獣8号』、2位の『SAKAMOTO DAYS』、4位の『ダンダダン』の3作品がランクイン。異世界転生(なろう)系は5位の『追放者食堂へようこそ!』、6位の『水属性の魔法使い』、8位の『盾の勇者の成り上がり』の3作品がトップ10入りしており、1作もランクインしなかった先月と比べると、勢いを取り戻したように見えます。
また1位の『怪獣8号』と3位の『その着せ替え人形は恋をする』については、最終話(あるいは最終巻)が出たばかりというタイミングの放送で、注目が高まっているという状況も、ランキング結果を押し上げる要因になっているのかもしれません。
『怪獣8号』と『SAKAMOTO DAYS』の今月トップ2の作品は、どちらも「おじさん」が主人公という点で共通しているのは興味深いポイントです。諦観に入りつつある中年男性が夢や情熱などを取り戻し、もう一度奮起するというタイプの物語は毎クール1本はトップ10入りするくらいに人気があり、トレンドの1つになっていると言えそうです。
上位のジャンプ原作において特徴的なのは、いずれも疑似家族的なつながりが描かれている点です。バラエティー豊かな年齢構成で、まるで親子や兄弟を思わせるような人間関係が展開されており、仲間や友達でありながら、帰ってくる場所、自分の居場所(ホーム)として表現されているような印象も受けます。
5位の『追放者食堂へようこそ!』や6位の『水属性の魔法使い』、7位の『ガチアクタ』以外は、全て2期以上のシリーズもので、一定のファン層を獲得している作品が手堅く結果を残している状況です。
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