10年前に買ったエアコンの効きが悪いため、暖房の設定温度を上げて使っている――。このような場合は、電気代の無駄につながっているかもしれません。最新のエアコンは省エネ性能がグンと上がっており、いっそのこと買い替えた方が長い目で見るとお得になることがあります。
そこで、10年前の暖房器具と最新の暖房器具の消費電力を比較して、どのくらい電気代が節約できるのか試算してみました。さらに、最新省エネ家電のメリットもご紹介します。買い替えを検討している人はぜひ参考にしてみてください。
石倉博子
ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。
“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。大学では美学美術史と油絵を学び、文学と造形の学士を取得。しかし今は芸術とは程遠いお金の計算に情熱を燃やす人間になっている。伏線がきれいに回収された小説を読むのが好き。
家電は新しいものほど、省エネ性能が向上しているため、古いものを長く使い続けるとかえって損をすることがあります。実際に、10年前のエアコンと最新のエアコンの電気代を比較してみましょう。
資源エネルギー庁の「省エネ性能カタログ」から、2015年製のエアコンと2025年製のエアコンの暖房期間消費電力量の平均値を使って電気代を試算してみました(参考:経済産業省 資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ電子版」)。
暖房期間は11月8日〜4月16日の160日間、1日18時間使用した場合の電気代です。どの畳数のエアコンでも、2015年製より2025年製の方が消費電力量は少なくなっています。
暖房期間160日間の電気代で比較すると、1600円〜2500円程度の電気代が節約できる結果となりました。
エアコン以外の暖房器具でも比較してみましょう。カーボンヒーターやハロゲンヒーターなどの電気ストーブの電気代を比較してみます。
10年前の電気ストーブと最新の電気ストーブの消費電力は、小型のもので400W、標準で800〜1000Wと、消費電力そのものは変わっていないと言えます。
ただ、最新の電気ストーブは、省エネ機能としてサーモスタットや人感センサーなどの自動制御を搭載しています。無駄な運転を削減したり、遠赤外線の放射強度が強くなって出力を下げても暖かさを保てたりと、効率の面で向上していると考えられます。
そこで以下のように仮定してそれぞれの電気代を出してみます。
消費電力差は熱量保持性の向上、時間短縮は省エネ機能・制御により削減できたものとします。
最新モデルに買い替えることで、1日74円、1カ月で2232円電気代が削減できる試算結果となりました。これは仮定値なので、実際には機種によってこれより差が大きくなったり、小さくなったりします。あくまで目安としてご覧ください。
エアコンの耐用年数はメーカーや機種、使用状況などによって異なりますが、10年程度としているメーカーが多く、部品の最低保有期間も約10年との説明が見受けられることから、10年を一つの節目と考えるといいでしょう。
10年を超えても問題なく使用できるものも多いですが、故障のリスクが高まり、最新のエアコンに比べて電気代が多くかかっている可能性もあるため、10年を買い替え検討のタイミングにしてみるといいでしょう。
電気ストーブの場合は、熱源・ヒーター部分の寿命が関係し、一般的には6000時間程度と言われています。また、国税庁が定める「耐用年数表」では、冷暖房用機器は6年とあるため、6年を目安に買い替えを検討してみるといいでしょう。
最新の省エネ家電には次のようなメリットがあります。
最新家電は省エネ性能が高く、センサーやAIなどの自動制御機能が搭載されている機器が多いため、無駄な運転が減って電気代の節約に大きく貢献します。
最新家電は耐久性が向上しており、故障を予防する機能(フィルター自動清掃・内部クリーン機能など)を備えているものも多くあります。古い家電は故障すると、修理用の部品がないこともあるので、買い替えざるを得なくなります。
最新の家電ほど改良が加えられて、快適性が増しています。例えば、エアコンの温度ムラ減少、静音性向上、センサーによる温度・湿度調整など、省エネと快適さを両立しながら進化しています。
古い家電は、火災事故や漏電が起きやすくなります。最新の家電は、安全規格の強化やセンサーによる事故防止機能などが搭載されているため、安全性が向上しています。
省エネ家電は環境負荷を減らすことにつながるため、国や地方自治体の補助金制度の対象になることがあります。現在、省エネ家電買い替え補助などを行っている自治体もあるので、対象となるか調べてみるといいでしょう。
モノを長く大事に使うことが美徳とされているなかで、壊れていない家電を買い替えるのは勇気がいるものです。しかし、電化製品は新しいほど性能が向上し、省エネ性も高まるため、買い替えによるメリットは想像以上に大きくなります。
例えば電気ストーブの場合、本体価格が1万円前後の商品も多く、月に1000円ほど電気代を節約できるなら、1年も経たずに元が取れる計算になります。
長年使っている家電があるなら、省エネと快適さの両方をかなえられる最新の省エネ家電への買い替えを、この機会に検討してみてはいかがでしょうか。
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