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「価格は半分」 Apple Watchは「SE 3」で十分かも? 上位モデルは「高すぎるお守り」と思ってしまった(1/2 ページ)

» 2026年01月13日 18時30分 公開
[井上晃Fav-Log]
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 Apple Watchに関する2025年のトピックを振り返ってみて、個人的に最も衝撃だったのは、チタニウムケースの3Dプリンターでの大量生産体制が整ったことでも、フルオロエラストマーバンドに警鐘が鳴らされた話題でもありません。シンプルに「Apple Watch SE 3」が登場したことです。

画像 写真は手持ちの「Apple Watch Series 10」

 「Apple Watch SE 3」の価格は、GPS+Cellularモデルで4万5800円(税込、以下同)から。スタンダードモデルである「Apple Watch Series 11」の最小構成である8万800円の約半分です。それでいて、常時表示や、ダブルタップジェスチャー、若干の高速充電など、欲しかった機能は全部入りです。

 Apple Watchを初代から追ってきた身として、何年かおきの買い替えは、常にスタンダードモデルを選択してきましたが、いよいよ次の世代では「SE」で済ませてしまうかもしれない……そんな思考が頭をよぎりました。

井上晃

井上晃

スマートフォンやスマートウォッチ、タブレットを軸に、ICT機器やガジェット類、ITサービス、クリエイティブツールなどを取材。Webメディアや雑誌に、速報やレビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter:@kira_e_noway

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黎明期のApple Watchはメリットが分かりやすかった

 Apple Watchが登場してから、各シリーズが十分に市民権を獲得するまでの間、筆者が感じていた価値は「時間の確認」と「体調管理」の2本柱でした。

 Apple Watchの時計としての機能は、従来の時計とは違ったものでした。カレンダーに登録したイベントの予定時刻が近づいたときや、設定したタイマーやアラームが時刻を迎えたタイミングで、心地よいバイブレーションが意識を覚醒させてくれました。早朝や深夜の目覚ましとしてもこれほど頼もしいデバイスは他にはないものでした。

画像 筆者は「Apple Watch Series 4」の時代に、シリーズにおけるある種の“完成”を感じたものだった(出典:Apple

 また、日々の運動量の仕組みが、徐々に完成されていくリングとして明示されるゲーミフィケーションの仕組みも、当時は衝撃的でした。ランニングウォッチといえば、デジタルな文字板に経過時間とラップタイムが表示されるだけだった時代に、カラフルなリングを完成させるためのApple Watchの体験は、楽しいものでした。

 少し体重が増えてしまっていたシーズンなどには、仕事帰りに1駅や2駅歩いて、なるべく消費カロリーを増やそうと努力したものです。あの情熱はApple Watchなしには生まれなかったと思います。

 製品のナンバリングでいえば、Apple Watch Series 3くらいまでにこうした体験はほぼ完成されていたでしょう。

 しかし、ここ数世代のApple Watchにおいては、当時キラーコンテンツに思えたこれらの体験は、あくまでも“Apple Watchシリーズの土台”として、当たり前になってしまいました。競合他社のスマートウォッチも続々と成熟を遂げ、心地の良いアラームも、運動管理も、Apple Watchじゃなくても十分に満足できるようになりました。

最近のApple Watchは“お守り機能”を推している

 そんな段階で、Apple Watchを筆頭に、多くのスマートウォッチが進んだのが「過酷なアウトドア環境に耐えられる耐久性」と「お守り機能」の2つの方向性でした。

 ここでいう“お守り機能”とは、筆者による表現です。常時身に着けることで、体調不良のきっかけを知ることにつながるというヘルスケア機能群を指しています。要するに、「高血圧パターンの通知」や「血中酸素ウェルネス」「心電図測定」といった機能のことです。

 さて、Apple Watchシリーズにおいて、アウトドア需要に関しては最上位モデルでカバーし、お守り機能はスタンダードモデル以上がサポートすることで、廉価モデルとの差別化を図っている状況です。つまり、次のような状態です。

  • 最上位モデル=Apple Watch Ultra 3:ベース機能+お守り機能+アウトドアに対応できる耐久性
  • スタンダードモデル=Apple Watch Series 11:ベース機能+お守り機能
  • 廉価モデル=Apple Watch SE 3:ベース機能

 このお守り機能によって、中には命を救われたユーザーがいることはもちろん知っています。ただ、こうした機能が追加されてから、これにより測定できる数値について、自分から確認しようと思ったことは正直一度もありません。そんな“転ばぬ先の杖”に、果たして次の買い替えを迎える自分は、4万円の差額を払えるのだろうか? 少なくとも「水温センサー」が響かなかった筆者はそこに引っ掛かっています。

画像 「常時表示」で家族の落書きを文字板に表示した「Apple Watch Series 10」

 初詣で1000円のお守りを3個ずつ、毎年3000円買っていったとしても、5年で1万5000円です。最新のウェルネス・ヘルスケア機能に4万円を出すのと、どちらがご利益があるものでしょうか。

 家族の落書きを文字板にして眺められるという意味で「常時表示」は気に入っていましたが、そんな体験もSE 3で対応してしまったので、廉価モデルで充分かもしれないという思いは加速します。

Apple Watch SE 3こそ、求めていたApple Watchの完成形なのかもしれない

 改めてApple Watch SE 3を眺めてみると、廉価モデルとはいえ、皮膚温の測定や睡眠の測定など、欲しかったヘルスケア機能は充分に対応しています。若干の差分として、ディスプレイの輝度が最大1000ニトしかなく、Series 11の最大2000ニトと比べると、直射日光下での視認性は劣るでしょう。しかし、自分が夏の炎天下に、何時間屋外ランニングをできるだろうかと問えば、大きな問題ではないことが分かります。

画像 睡眠スコア

 そういえば、直近にリリースされたwatchOS 26の睡眠スコアは分かりやすかったです。さらにwatchOS 26.2では、睡眠スコアの定義が若干調整されたようです。記録したスコアのレベルによって、通知を届けるかどうかのカスタマイズも可能とのことです。

 おそらく、ユーザーとしての筆者個人がApple Watchに期待しているヘルスケア関連の体験は、せいぜいこの程度なのです。でも、これもApple Watch SE 3で充分そうではないでしょうか。

画像 睡眠ステージ

 ちなみに、「睡眠スコア」は非常に良い機能ですが、ゆっくり睡眠スコアをチェックできる生活ならば、既に睡眠も整っているはず。改善しなくてはならない睡眠スコアが続くような生活なら、ゆっくり睡眠スコアをチェックする暇もなく、下手するとApple Watchをつけるのも忘れているシーズンである、というパラドックスが存在します。

 筆者が最後に買ったApple Watchは2024年秋モデルの「Apple Watch Series 10」。高速充電には非常に満足していますし、そのおかげで就寝時の利用もしやすくなりました。ただし、逆にいえば恩恵はそのくらいでした。

 次に狙うモデルはスタンダードモデルか、廉価モデルか、今から悩ましく思っています。

 ついに「Apple Watch SE 3」が登場してしまった2025年は、自前の「Apple Watch Series 10」を眺めて、そんなことを思ったのでした。

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