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コラム

最新「ミラーレス一眼」は何がすごい? 「超高速イメージセンサー」編(1/2 ページ)

最新ミラーレス一眼カメラのすごさを専門家が解説。今回は「超高速イメージセンサー」編。

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 本格的に写真を撮る人の多くが使うミラーレス一眼。廉価なモデルは10万円コース、フラッグシップ機は100万円コースと金額には大きな差があります。

 その主な違いは画素数ではありません。プロカメラマンが使うハイエンド機はカメラ性能に加えて過酷な環境でもトラブルなく大量に撮れる頑健さや、スポーツの撮影に必要なAFや連写の速さが重要です(そのため、ハイエンド機ほど大きく重く高価になります)。

 そしてここ数年はハイエンドと普及型の違いとして、CMOSイメージセンサーの種類があります。違うのは「速さ」。デジタルカメラの心臓部であるCMOSイメージセンサーは受けた光を電気信号に変換して内部の回路に流し、そこでデジタル化されて画像が作られます。それだけではなく、ホワイトバランスや画像の明るさやオートフォーカスといった大事な作業もすべてイメージセンサーからの信号を元に行いますから、センサーの仕事の速さがあらゆるところに影響するわけですね。

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「グローバルシャッター」を搭載するソニーα9 III(出典:Amazon

荻窪圭

荻窪圭

パソコン黎明期からの老舗IT系フリーライター。現在はスマホを含むデジタルカメラの専門家としてITmediaなどに寄稿しつつ、ときどきガジェットのレビュワーや猫写真家や街歩きのガイドになる。Xアカウントは@ogikubokei

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高速の動体を撮影する“歪む”理由

 一番分かりやすい例がこちら。昔のスマートフォンで新幹線から富士山を撮影した写真です。

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新幹線車内から富士山を撮ろうとしたら、かぶった架線柱が思いきり歪んで写ってしまった例。8年前のiPhoneによる撮影(今のiPhoneはここまで歪みません)

 新幹線の架線柱が思いっきり斜めにかぶってていろいろと台無しになってますよね。これは架線柱が斜めになっているのではなく、CMOSセンサーの速度が遅かったからです。

 CMOSセンサーは構造上……仮に1200万画素あるとすると、1200万画素分のデータをいっぺんに捉えてるわけじゃなくて、1ラインずつ(1200万画素なら3000ラインあります)読み出してるので、最初と最後でほんのちょっとタイムラグが出ちゃうのです。近距離であるほど差が大きく出ます。

 新幹線のように高速に動いてると、そのタイムラグが写真に現れて本来なら縦のまっすぐな線が斜めになってしまうのですね。ちなみに最近のスマホカメラは極端なことにはなりません。

 これは極端な例ですが、各駅停車の駅のホームから目の前を駆け抜ける急行を真横から「横位置で」撮るとわかります。

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駅のホームから駆け抜ける急行を「電子シャッター」で取った例(パナソニックS9)。高速に走っているものを横位置で撮るとこんな風に斜めになりがち

メカシャッターと電子シャッター

 そんな風に撮れたことないという人、わかります。ほとんどのミラーレス一眼はそうならないよう「メカシャッター」という物理的なシャッター幕を用意しているからですね。

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センサーの前にあるのがシャッター幕。この幕が高速に動いて光が当たる時間をコントロールするのがメカシャッター

 撮影の瞬間、これが動いて一瞬だけイメージセンサーに光を当てるので、歪まないように撮れるのです。カシャンと物理的な音がするのでわかります。動画撮影時はメカシャッターを使わないので(使ってたらうるさくてたまりません)、横位置で高速に動く被写体を動画を撮るとこの現象は見られると思います。

 この歪み、メカシャッターを使わないでセンサーの機能(電子シャッターといいます)で撮影するときだけ出ます。スマホのカメラはどの機種もメカシャッターを持っていませんから、この現象がわかりやすいのです。

 今のミラーレス一眼は、電子シャッターのみで撮る設定を持っています。メリットとしては、物理的なシャッター音を消せるので静かな場所で静かに撮りたいシーン、メカ的な動きがない分シャッタースピードや連写速度を上げられるので、スポーツや野鳥といった高速シャッター+高速連写が必要なシーンが挙げられます。

 特に高速シャッター+高速連写が求められるハイエンドの製品では、この歪みが出ないよう、各社ががんばり、高価だけれども電子シャッター時の歪みがでないイメージセンサーを開発し、プロ向けのフラッグシップ機に搭載しはじめたのがここ数年のことです。

上位機は電子シャッターも優秀

 どのくらい差が出るか、デジタルカメラのレビューをするたびに、小型扇風機の回転する羽根を撮影してデータを取っているので披露します。

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どれもファンを同じシャッタースピードで電子シャッターで撮っています。羽がまったく歪んでないモノから大きく歪んでいるものまでけっこう差があるのが分かります

 回転しているファンを電子シャッターで撮ったものですが、機種によって差があるのが分かると思います。

 歪みがまったくないのがソニーのα9 III。実はこれ、グローバルシャッターという他のイメージセンサーとは異なる方式のセンサーを初めて採用したカメラなのです。全画素を同時に読み出せるので歪みがでませんし、超高速連写が可能です。ただし、お値段はお高め。

 従来型のイメージセンサーでも、高速読み出しが可能な「積層型」と呼ばれるタイプのものは歪みがぐんと抑えられます。ソニーのα1 II、ニコンのZ8やZ9、キヤノンのEOS R1とったフラッグシップ機が採用しています。OM SYSTEMのOM-1やOM-3はセンサーサイズが小さい上に高速なセンサーを採用しているので歪みが少なくなっています。

 最近では部分積層型という積層型ほど高価ではないけれども従来型よりは高速というセンサーも出てきました。上の例ですと、ニコンZ6 IIIとソニーα7 Vが該当します。

ほとんどの人にとっては不要かもしれませんが……

 旧型のイメージセンサーを使っている機種はそれほど高速ではないので歪みは出やすくなってます。わかりやすいところで、ソニーのα7C(2020年発売)と後継機のα7C II(2023年発売)を比べてみましょう。面白いくらい歪みがぐっと減っているのがわかりますよね。新しいモデルはイメージセンサーも進化しているのです。

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2020年発売のα7Cと2023年発売のα7C II。同じシリーズでもこれだけ良くなってます(それでもハイエンド機ではないのでけっこう歪んでますが)

 廉価なモデルではそこまで高価なセンサーは使えませんから、やはり歪みはでます。

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エントリー向けのAPS-Cサイズセンサーモデル2機種ではそれなりに歪みが出ています。

 この性能差、どのくらい気にすべきかというと難しいところ。少なくとも、人や風景やスナップや日常的な撮影ではまったく気にする必要はありませんし、メカシャッターを持つカメラならそれを使えば問題ありません。

 ですが、超高速AFや超高速連写が必要なシーン、さらに高速に動くものを動画で録るシーンではより高性能で高価なセンサーを必要なので、歪みの差が気になってくるでしょう。

 ほとんどの人にとってそこまでの性能は不要ですから、無理にハイエンド機を買う必要は無かろうという身もふたもない結論になりそうですが、高速な流し撮りをしたい、超高速連写でスポーツを撮りたいなど自分の撮りたい写真に影響を与えそうで(なおかつ予算が)あれば、最新ハイエンド機ならではの速さを体感してみるのもありです。

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