●基本機能はとても充実している

 上記の概要から判断しても、Hancom Office 2.0JはMicrosoft Office(Microsoft Word、Excel、PowerPoint)を強く意識した製品であることが分かる。

 実際、操作方法もMicrosoft Office製品とよく似ており、Microsoft Officeを利用した経験のあるユーザーならば、違和感なく操作できることも特徴の1つだ。いまや、パソコンを使っている人がLinuxだけですべての作業をこなすという実情ではないため、Windows環境との対比は必然的であるといえる。

○Hancom Word 5.5

 Hancom Word 5.5は、ワープロソフトだ。Fig.1に示す画面で文章を編集できる。Fig.1に示すように、フォントはTrueTypeで処理された表示のため見やすい。

 また、Hancom Office 2.0J自体には日本語入力システムとして「VJE Delta」も同梱されている。今回は試していないが、資料によるとジャストシステムの日本語入力システム「ATOK」もサポートされているようだ。

 ちなみにHancom Office 2.0Jでは、日本語以外にハングル語にも対応されているが、本稿では特に触れないことにする。

Fig.1■Hancom Word 5.5で編集中の画面

Fig.1

 Hancom Wordは、前述のようにFig.1に示した単純な文章のみならず、図版や表なども文中に挿入することもできる。参考までに、Hancom Word 5.5にサンプルとして付属している、図がふんだんに盛り込まれたファイルをイメージ画像としてFig.2に示しておく。

 Fig.2に示したように、Hancom Word 5.5は段組もでき、また任意の位置に図版やテキストボックスも挿入可能だ。柔軟なレイアウトでチラシのような文書も作成することができる。

 なお、作成される表は単なる罫線として構成されたものではなく、Hancom Sheetの機能が利用されている。そのため、表内での計算も可能だ。

 ほかにもHancom Word 5.5には多数の機能が搭載されているが、その中でも際立った幾つかの機能を紹介しておこう。

・テンプレート
 Hancom Word 5.5には、多数のテンプレートが付属しており、規定のFax送信用紙や業務文章のほか、ラベルやカード類まで手軽に作成できるように配慮されている(Fig.3)。

 ちなみにHancom Word 5.5は、縦書きには対応していない。しかしテンプレートとして縦書き用の手紙のテンプレートが用意されており、擬似的ではあるものの縦書き編集もできるようになっている。

・数式エディタ
 Hancom Word 5.5には数式エディタ(機能)が付属されている。文章中に数式を入れることも可能だ。数式挿入を選ぶとウィンドウが2分割され、下側にはUNIXでお馴染みのTeXで使われるコマンド式を記述すると、該当する式が埋め込まれる(Fig.4)。かなり複雑な数式も入力できるため論文作成に役立つだろう。このような点は、Linux(UNIX)環境のためお得意な実装といえる。

○Hancom Sheet 2.0

 Hancom Sheet 2.0は、スプレッドシート形式の表計算ソフトだ。Fig.5は、添付されているサンプルファイルを表示させてみた。この画面を見ると分かるように、それぞれのセルに色付けをすることもでき、また、グラフを作成することもできることも分かるだろう。Excelでは当たり前のことだが、X Window上での実現は最近のことである。

Fig.5■Hancom Sheet 2.0

Fig.5

 グラフには幾つかの形式が用意されている。Fig.6に示すように、ウィザード形式で外観や形式を設定することができる。

・関数とマクロ機能も実装
 関数やマクロなどの機能を実現されている。一部の関数はExcelとの互換性も実現されており、完全とはいえないもののExcelからのデータ移行も実現可能だ。

 また、セルには画像を挿入することもでき、任意の位置に任意の画像を配置できる。そのため、単なる計算機能に留まらず、レイアウトが必要な罫線が引かれた文章作成にも利用できるだろう。

○Hancom Presenter 2.0

 Hancom Presenter 2.0は、プレゼンテーションソフトだ。あらかじめ用意されているテンプレートやイラスト集などを利用し、プレゼンテーション資料を作成することができる。編集画面は、Fig.7に示すようにMicrosoft PowerPointと似たような作りになっている。

 新しいページを追加しようとするとFig.8のような画面が表示され、テンプレートを指定できる。ちなみに全ページの背景として利用する「マスターテンプレート」機能も用意されているため、プレゼンテーション全体の統一感を合わせるといったことも容易だ。

 Hancom Presenter 2.0では、JPEG、GIF、BMPなどの画像ファイルのほか、アニメーション、動画、サウンドのファイル形式にも対応されている。

 また、印刷機能としてスライド、配布資料、発表者ノートといった用途で印刷できるほか、HTML形式での保存も可能だ。


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