●Microsoft Officeとの互換性を検証してみよう

 冒頭で述べたように、Hancom Office 2.0Jは、Microsoft Officeとの互換性を重視しているソフトだ。この思想は、今やデファクトスタンダードとなっているマイクロソフトのOfficeとの互換性がキーとなっていると考えるからだろう。操作面だけでなくファイルの互換性も実現され、Hancom Officeでは、Microsoft Office形式のファイルを読み書きできることがポイントとされている。

 しかし…、ここでいう文書の互換性とはどの程度のものなのだろう? 具体的に見ていくことにしよう。

・Hancom Word 5.5の互換性
 まずは、Microsoft Wordで作成された文書を読み込んでみた。ここで挙げるのは、Office XPで作成されたものだ。なお、例として再現性を試みたのは、Fig.9に示す文章である。

 上記のように、Fig.9は3段組の文章であることが分かる。また、画像としてGIF形式ファイルとJPEG形式ファイルを埋め込んでおいた。

 このファイルをMicrosoft Word 95-2000互換形式で保存し、Hancom Word 5.5で読み込んだものが、Fig.10である(Word XP形式で読み込ませようとすると、エラーが発生して読み込めなかった。後述するHancom SheetやHancom Presenterでは、Office XP形式で問題なく読み込めた)。

 Fig.10を見ると分かるように、段組が解除されてしまっているのがいちばんに目に入る。それ以外の点で問題となるところはない。埋め込んだ画像も正しく表示されている(ただし試したところ、TIF形式やEPS形式など、Hancom Wordで対応されていない画像形式は正しく表示されなかった)。

 しかしFig.10を注意深く見ると、一部の文字が文字化けしているのが分かると思う。たとえば、「様」「当」「発」「説」といった文字が、「×」印になっているのだ。

 しかし、これはフォント種別の問題なため、気にすることはない。フォントを正しい日本語フォントに設定しなおせば修復が可能なため、初期設定問題といえるだろう。

 しかし本文中に表組がされている部分のレイアウトは、かなり大きく崩れてしまう(Fig.11)。そのため、複雑な表を含んでいる場合には、意味不明な文章になってしまう可能性がある。

・Hancom Sheet 2.0の互換性
 次にHancom Sheet 2.0を試してみる。手元には複雑なMicrosoft Excelの文書ファイルが無かったため、ここでは、Fig.12に示す請求書フォームを読み込ませることにした。

 FIg.12では、「請求書」や「(株)ABCDEFG 御中」、「備考」などは、テキストオブジェクトとして貼り付けてある。Fig.12をHancom Sheet 2.0で読み込ませたときの結果は、Fig.13のようになる。

 Fig.13を見ると分かるように、テキストオブジェクトがすべて消えてしまっている。Microsoft Excelで作成したワークシートをHancom Sheet 2.0で読み込ませようと思っているのならば、テキストオブジェクトを一切使わないようにしないと情報が失われる可能性があるのだ。

 なお、「合計金額の文字が出ていない」とか「右上にある年号の表記が異なる」という点は、Microsoft ExcelとHancom Sheet間でセルの書式設定方法が異なるためである。これは書式設定を設定しなおせば直る問題だ。


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