ブックレビュー(1999年11月)

10日でできるSBS4.5による情報システム構築

著者:平岡太一
価格:1800円(税別)
体裁:A4変形版 152ページ
発行:CQ出版株式会社
発行日:1999年11月1日


 CQ出版から刊行されている雑誌『TRY! PC』の別冊として刊行されているムックだが,実際には休刊になってしまった『BackOffice Magazine』の別冊といったほうがよいだろう。

 タイトルどおり,SBS4.5(BackOffice Small Business Server 4.5)の導入方法と運用方法を10日間で修得するため,1日ごとに10〜20ページ程度を読み進める構成となっている。修得のスケジュールは,(1)インストール,(2)共有サービスとユーザー登録,(3)クライアントの設定,(4)インターネットとの接続,(5)Proxy Serverの設定,(6)Exchange Serverによるメール配信,(7)Exchange Serverによるアプリケーション開発,(8)IISの利用,(9)SQL Serverの利用,(10)さらなる活用,である。いうまでもなく,SBSを構成するサーバー製品をまともに解説しようとすると,それぞれ1000ページ近い書籍になってしまうため,このムックでは必要最小限に割り切って解説されている。

 全編を通じて,「地球屋」という架空の企業を舞台にした導入事例として紹介されており,記述自体も平易でわかりやすい。ところどころに「地球屋日記」という漫談が挿入されている点も特徴であろう。これは,システムインテグレータの「I氏」,地球屋の「社長」,地球屋の見習い管理者である「美咲」嬢を主な登場人物とする掛け合いであり,それなりに有用なTipsも記述されているのだが,解説書として見た場合には,その紙面を純粋な技術情報にあててほしいと思わなくもない。読者によっては,好き嫌いが分かれるところだろう。

 とはいえ,紙面はコラムやTipsでびっちりと埋まっており,値段とページ数を考えれば,情報密度は高い部類だろう。SBSの解説書はあまり存在しないので,とにかく早く設定して使用してみたい,という読者のニーズには応えられるのではないだろうか。

実森仁志

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