ブックレビュー(1999年11月)

Windows 2000 World

価格:1280円(税別)
体裁:A4変形版 162ページ
発行:株式会社アイ・ディ・ジー コミュニケーションズ
発行日:1999年11月1日


 IDGから刊行されている雑誌『Windows NT World』の別冊として刊行されているムック。「完全保存版!! Windows 2000日本語版“オフィシャルバイブル”」と銘打っているだけあって,Windows 2000によるネットワーク構築全般にわたって広く浅く解説されている。比較的操作手順の解説に多くのページ数が割かれており,カラーページも多いので一見してわかりやすい。1999年11月に開催されたMSC(Microsoft Conference)の会場で無料配布されたこともあって,すでに入手している読者も多いだろう(無料配布だったこともあり,東京会場では一人で2〜3冊まとめて持ってゆく人も見かけた)。

 内容は,Windows 2000日本語版の開発チームに対するインタビュー,Windows 2000の製品概要,インストール,TCP/IPの概説,Active Directoryの導入と応用,IntelliMirrorの利用,ディスク管理,障害対策,スマートカードの利用,東芝Librettoへの導入など,盛りだくさんである。

 全体的に操作方法を重視して設計面をあまり扱っていないので,ガイドラインとして利用するには不十分であるが,Tipsや備忘録がコラムとしてちりばめられている点はありがたい。たとえば,管理項目別にWindows NTでの操作とWindows 2000での操作が一覧表にまとめられている。Windows 2000は管理ツールがMMCに統合されているため,Windows NTでは存在していた管理ツールが廃止されたり,ほかのツールに統合されたりしていることも多く,「あの設定はどこでやるんだったかな?」と思わず悩んでしまうことが少なくない。そんなときにこの一覧表があると,とても便利である。

 値段が安いうえに内容が多岐にわたるため,Windows 2000の概要やWindows NTとの違いを手早く理解したいという読者にとっては,適切な選択肢となるだろう。

実森仁志

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