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Directory first step 1...
ディレクトリとは

 最近,「ディレクトリ」または「ディレクトリサービス」の話題が頻繁に取り上げられるようになってきた。その典型例が,Windows 2000のActive DirectoryやNovellのNDSである。では,「ディレクトリ」または「ディレクトリサービス」とは,いったいどのようなものなのだろうか。そして,なぜそうまで注目を集めるのだろうか。

sankaku.gif 現実世界のディレクトリ

 『ランダムハウス英和大辞典第2版』(小学館)で「ディレクトリ(directory)」という単語を調べると,「住所人名録」,「人名要覧」,「ビル案内板」,「居住者表示板」などと説明されている。すなわち,現実世界における「ディレクトリ」とは,人や会社などの名前と,それが存在する場所とを対応させるデータベースのことである。これに対して「ディレクトリサービス」とは,ディレクトリというデータベースを利用して,指定された名前に対応する場所などの情報を提供する仕組みである。

 このような現実世界における「ディレクトリ」の意味を反映し,コンピュータ世界における「ディレクトリ」や「ディレクトリサービス」を説明するときにも,電話帳を例にとることが多いようである。たしかに,「電話帳」は,氏名,地域(都道府県や市町村),職業などをキーとして構成されたデータベースであり,「ディレクトリ」と呼ぶにふさわしい。しかし,一般的に電話帳を「ディレクトリサービス」と呼ぶことはない。それは,「どこそこの誰それ(たとえば,織田薫)の電話番号が知りたい」と思っても,電話帳をめくって自分で調べなければならないからである。この点は,郵政省が配布している「郵便番号簿」を調べる場合も同じであろう。「ディレクトリサービス」を説明するのであれば,「電話番号案内サービス」を例にするほうが適切と思われる。電話の受話器を手にとって104をダイアルし,「どこそこの誰それの電話番号を知りたい」といえば,オペレータがすぐに対応してくれる。つまりこの場合,オペレータが「ディレクトリサービス」を提供してくれるのである。

Fig.1 現実世界におけるディレクトリ
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