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Directory first step 3... ディレクトリサービスをどのように利用するのか
sankaku.gif 運用管理

 一般的にシステムの運用管理では,ハードウェア,ソフトウェア,ネットワークなどの構成管理,障害管理,性能管理,セキュリティ管理,課金管理などが必要となる。ディレクトリを利用すれば,ユーザー以外にもハードウェア,ソフトウェア,ネットワーク,ユーザー固有の作業環境の構成といった情報を管理することができる。たとえば,ユーザー固有の作業環境の構成を格納しておけば,ユーザーがどこからネットワークにアクセスしようとも,PCやワークステーション上にユーザー固有の作業環境を再現し,作業を進めることができるようになる。また,PCやワークステーションに導入されたオペレーティングシステムの構成情報なども管理することができるので,たとえPC上の構成情報が失われることがあっても,ディレクトリから構成情報をダウンロードし,容易に復元することも可能である。また,ネットワークを監視し,ポリシーに基づいて,あるいはアプリケーションの種類に応じて,ネットワークの帯域幅を変更したり,特定のトラフィックを優先的に伝送したりすることも可能になる。

 ディレクトリサーバーに性能管理ツールをインストールし,ディレクトリへのアクセス件数,キャッシュヒット率,認証成功件数,認証失敗件数などを監視させ,MIB(Management Information Base)形式でログを記録させるアプリケーションを開発することも考えられるだろう。

sankaku.gif オブジェクトの配信

 これまでに何度か述べてきたとおり,ディレクトリにはさまざまな情報を格納し,管理することができる。たとえば,アプリケーション,ユーザーデータ,オペレーティングシステム,あるいはポリシーなどをオブジェクトとして格納し,それらの属性として,格納場所,構成パラメータ,ポリシー情報などを格納することができる。格納された情報は,必要に応じて,コンピュータ,プリンタ,ルータなどに配信することができる。

 この結果,たとえば多数接続されているコンピュータに特定のアプリケーションをインストールする場合でも,実際にそのコンピュータの設置されている場所に出向いてインストールするのではなく,ネットワークを介して一括してアプリケーションを配信し,自動的にインストールすることも可能になるだろう。バージョンアップの場合も同様に,どこかで集中管理されたサーバーにバージョンアップされたアプリケーションを登録するだけで,ネットワークを介して,すべてのコンピュータに導入されたソフトウェアをバージョンアップできるようになる。

sankaku.gif ライセンス管理

 ほとんどのソフトウェアは,ライセンス契約に基づいて利用される。そこで,ライセンス情報をディレクトリに格納して管理することで,ライセンス契約に基づいて利用されているか否かを監視し,利用者数を制限するとか,期限切れのソフトウェアをアンインストールするといった応用方法も考えられる。

 以上で述べてきたように,「ディレクトリサービス」を基盤とするさまざまなアプリケーションを開発して活用することによって,エンドユーザーの要求や問題を簡単に管理し,対応できるようになるのである。

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