Directory first step 5... ディレクトリ構築において考慮すべきポイント
要求条件の明確化フェーズ
組織として採るべき方針と目標が定まったら,次に要求条件の明確化を試みる。「その時点でどのようなディレクトリサービスが利用されているのか」,「それらはどのようなディレクトリ構造を採用しているのか」などを,この段階で明確にする必要がある。
インターネットの爆発的な普及によって,いまやほとんどの企業はインターネットに接続していることだろう。インターネットに接続している場合には,ネットワーク上のコンピュータのアドレス情報を管理するDNS(Domain Name System)を利用しているはずである。すでに述べたとおり,DNSもディレクトリサービスの1つであるから,DNSの構造も明確にしておく必要がある。
また,既存の物理ネットワークの構造がどうなっているのかも明確にしておかなければならない。たとえば,(1) ネットワークで結ばれている拠点の地理的な条件,(2) 拠点間を結んでいる回線の種類と帯域幅,(3) ネットワーク全体のサイト構成,(4) ネットワーク上のリソースとそれが存在するサイト,といった情報を把握する必要がある。
これらの情報を把握したうえで,次のような管理・運用上の要件も明確にしておかなければならない。
- どのネットワークリソースをオブジェクトとして管理するのか
- そのオブジェクトの属性をどこまで管理するのか
- どのようなサービスを提供するのか
- オブジェクトにどのようなネーミングルールで名前を付けるのか
- オブジェクトへのアクセス権限をどのように与えるのか
- ユーザーはどうやって認証するのか
- 管理組織や管理体制を中央集権的にするのか,それとも分散分権的にするのか
- 全社的な整合性に対してどの組織が権限と責任を持つのか
- 運用管理部門と利用部門の業務分担と責任範囲をどうするのか
- 利用者に対する教育や訓練を,いつ,誰が,どのように行うのか
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