6.2 リモート管理モード
リモート管理モードは,Windows 2000でサポートされるようになったターミナルサービスの一機能である。この機能を利用すると,システム管理者は複数台のWindows 2000 Serverを遠隔地から管理できるようになる。また,システム管理者は,自分のPCから遠隔地にいるエンドユーザーのクライアントセッションの画面を参照したり,操作したりすることもできるようになる。これにより,企業内のヘルプデスクサービスを向上させたり,運用管理コストを削減したりすることが期待できる。つまり,リモート管理モードは,次の2つの用途で利用される。
- アプリケーションサーバーなどのリモートサーバーを管理する
- ターミナルサービスクライアントのリモートセッションを制御する
管理者権限を持ち,ターミナルサービスの管理ツールを利用できるユーザーであれば,どのクライアントからでも,LAN接続およびダイヤルアップ接続を通じて,ターミナルサービスを運用しているサーバーをリモート管理できるようになる。
6.2.1 ターミナルサービスのインストール
Windows 2000 Serverでターミナルサービスを動作させるには,[コントロールパネル]から[アプリケーションの追加と削除]を実行し,[Windowsコンポーネントウィザード]を起動してターミナルサービスをインストールする必要がある。デフォルトでターミナルサービスはインストールされないので,注意してもらいたい。
ターミナルサービスをインストールするときには,アプリケーションサーバーモードで利用するか,それともリモート管理モードで利用するかを尋ねられるので,遠隔地からリモート管理するときには[リモート管理モード]を選択する。
Fig.6-3 [リモート管理モード]と[アプリケーションサーバーモード]の選択
[リモート管理モード]を選択した場合,リモートにあるシステム管理者のPCから,ターミナルサービスを稼働させているサーバーを容易に監視および保守できるようになる。企業内に存在する複数台のサーバーを管理する場合でも,それぞれのサーバーでターミナルサービスを構成し,起動しておけばよい。Windows 2000 Serverには,[リモート管理モード]用にターミナルサーバーへの接続ライセンスが2セッション分だけ含まれているので,シート別のターミナルサービスクライアントアクセスライセンス(またはWindows 2000 Professionalライセンス)とWindows 2000クライアントアクセスライセンスを追加購入する必要はない。
ターミナルサービスのインストールにあたって注意すべきことは,あまりない。ただし,Windows NT Server 4.0, Terminal Server Editionからアップグレードした場合には,自動的に[アプリケーションサーバーモード]で構成されてしまう点に注意してほしい。ターミナルサービスをリモート管理モードで使用する場合は,Windows 2000 Serverを新規インストールするか,あるいは[アプリケーションの追加と削除]を使用してターミナルサービスをいったんアンインストールし,再度インストールしてモードを変更しなければならない。
ターミナルサービスをインストールすると,[スタート]メニューの[プログラム]−[管理ツール]のなかに,次のようなショートカットが登録される。
Table 6-1 ターミナルサービスの管理ツール
ツール名 | 用途 |
ターミナルサービスマネージャ | ターミナルサーバーの稼動状態を監視および管理する |
ターミナルサービス構成 | ターミナルサーバーでサービスを提供するために必要となるRDP-TCPなどの設定を構成する |
ターミナルサービスクライアントクリエータ | Windows 95やWindows 98, Windows NT 4.0,Windows 2000にターミナルサービスクライアントをインストールするためのフロッピーディスクを作成する |
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