この特集のトップページへ

Deployment of Active Directory 2...
Active Directoryのインストール

 Windows 2000 Serverをインストールした時点では,コンピュータはメンバサーバーまたはスタンドアロンサーバーになっている。Windows 2000 Serverをドメインコントローラとして使用するためには,別途Active Directoryをインストールする必要がある。Active Directoryは,ユーザーアカウントや共有プリンタなどのネットワークオブジェクトにかかわる情報を格納し,その情報へのアクセスを提供する。

sankaku.gif ドメインコントローラの配置

 Active Directoryをインストールするまえに,まずドメインコントローラについて説明しておこう。ドメインコントローラとは,Active Directoryのデータベースを保持し,ユーザーやアプリケーションによる認証や検索といった要求に応えるサーバーのことである。Windows NT 4.0までのドメインコントローラには,PDCとBDCという2種類が存在し,情報の変更はPDCに対してしか実行できなかった。また,ドメインコントローラにするかどうかは,Windows NTをインストールする段階で決定しなければならなかった。しかし,Windows 2000におけるドメインコントローラは1種類であり,いつでもドメインコントローラに昇格させたり降格させたりすることができる。

 ドメインコントローラを構築する場合,次の3点について考慮しなければならない。

  1. ドメインを新規作成するか,既存ドメインに所属させるか
     
  2. ドメインを新規作成する場合,新しいドメインツリーを作成するか,既存のドメインツリーの子ドメインとして作成するか
     
  3. 新しいドメインツリーを作成する場合,所属するフォレストを新規作成するか,既存のフォレストにドメインツリーを配置するか

 この選択に応じて,ドメインコントローラの配置はTable 2に示す4種類に分かれる。ドメインコントローラを配置する環境に合わせて,これらのうちのどれかを選択すればよい。

 運用形態にもよるのだが,組織内のルートドメインは1つに統一したほうがよい。たとえば,tokyo.itmedia.co.jpドメインとosaka.itmedia.co.jpドメインとでフォレストを構築することによって,Active Directoryのルートドメインを擬似的に複数作成することもできるのだが,組織内の統一ポリシーを適用することが難しくなるおそれがあることに注意したい。Active Directoryのルートドメインを1つに統一しておけば,ルートドメインのドメインセキュリティポリシーを利用して,下位のドメインツリーに一括してグループポリシーを適用することもできる。先の例でいえば,itmedia.co.jpドメインをルートドメインとして設置しておけば,このドメインを通じて統一ポリシーを設定できるようになる。したがって,このような場面でフォレストを用いることは,できるだけ避けたい。

  1. 新しいフォレスト内の新しいドメインツリーのなかにドメインコントローラを配置する
  2. 既存のフォレスト内に新しいドメインツリーを作成し,ドメインコントローラを配置する
  3. 既存のドメインツリーに子ドメインを追加して,子ドメイン内にドメインコントローラを配置する
  4. 既存のドメインにドメインコントローラを配置する
Table 2 ドメインコントローラの選択
  フォレスト ドメインツリー ドメイン
1 新規作成 新規作成 新規作成
2 既存 新規作成 新規作成
3 既存 既存 新規作成
4 既存 既存 既存

 上記の4つのケースを図示すると,Fig.16Fig.19のようになる。

Fig.16 新しいフォレスト内の新しいドメインツリーのなかにドメインコントローラを配置する
fig16.gif
Fig.17 既存のフォレスト内に新しいドメインツリーを作成し,ドメインコントローラを配置する
fig17.gif
Fig.18 既存フォレストの既存のドメインツリーに子ドメインを追加して,子ドメイン内にドメインコントローラを配置する
fig18.gif
Fig.19 既存ドメインにドメインコントローラを配置する
fig19.gif
prevpg.gif Deployment AD-2 1/6 nextpg.gif