Exchange 2000徹底解剖
Exchange 2000製品概要

Exchange 2000 CAL

 Exchange 2000ファミリのCAL(Client Access License)は,「Exchange 2000 CAL」に一本化されている。つまり,Exchange 2000 CAL(もしくは次期BackOffice CAL)があれば,そのクライアントは,Exchange 2000 Server,Exchange 2000 Enterprise Server,Exchange 2000 Conferencing Serverのすべてにアクセスできる。

 ここで注意してほしいのは,「Exchange 2000 CALはクライアントデバイスごとに必要となる」ということである。1台のクライアントデバイスから1000人のユーザーがExchange 2000を利用する場合に必要となるExchange 2000 CALは,1つだけでよい。1000人のユーザーが利用するからといって,Exchange 2000 CALを1000個購入する必要はないのである。ただし,Exchange 2000のメールボックスなどを利用するためにはActive Directoryの認証を受ける必要があるため,別途Windows 2000 CALが必要となることに注意してほしい。

 Windows 2000 CALには,「同時接続ユーザー数モード」と「接続クライアント数モード」の2種類がある。前者は,一度に接続するユーザー数(一度に接続するクライアントデバイスの数)だけ必要となるCALであり,1台のコンピュータを複数のユーザーで利用する環境に向いている。後者は,純粋にユーザーアカウントの数(ログオンする可能性のある利用者の数)だけ必要となるCALであり,1人のユーザーが同時に複数台のコンピュータを利用する環境に向いている。したがって,先のように1台のクライアントデバイスから1000人のユーザーがExchange 2000を利用するのであれば,同時接続ユーザー数モードのWindows 2000 CALが1つと,Exchange 2000 CALが1つあればよいことになる。

 では,1人のユーザーが複数のクライアントデバイスからExchange 2000を利用する場合は,どうなるのだろうか。この場合は,「全利用時間の20%までならば,Exchange 2000 CALは必要ない」という,いささかわかりづらいルールが適用される。たとえば,あるユーザーが,A,B,Cという3台のクライアントデバイスからExchange 2000を利用する場合を考えてみよう。このユーザーは,月に100時間だけExchange 2000を利用するが,その内訳は,Aからのアクセスが60時間,Bからのアクセスが30時間,Cからのアクセスが10時間であったとする。つまりこの場合,ユーザーは,全100時間のうち,Aから60%,Bから30%,Cから10%,Exchange 2000にアクセスしていることになる。よって,この例では,20%を超えているAとBについて,Exchange 2000 CALが必要となる。

 とはいえ,Exchange 2000側でいちいちクライアントデバイスを識別し,ユーザーごとに利用時間を算出しているわけではないので,このルールはあくまでも利用者の自己申告に基づくものにすぎない。だが,ライセンスの扱いには厳格であるべきだし,将来的に利用時間を管理するように変更される可能性もあるので,管理者は正しくライセンス規定を把握しておいてもらいたい。

Prev 2/5 Next