Exchange 2000徹底解剖
Exchange 2000製品概要

Exchange 2000 v.s. Notes/Domino R5

 折しもLotus Notes/Domino R5のマイナーバージョンアップ版が発表された3日後の2000年10月6日,マイクロソフトの新製品記者発表会が開催され,Exchange 2000 Serverの製品戦略,出荷日,価格が公表された。当初マイクロソフトは,Exchange 2000 Serverの新製品記者発表会の開催を予定していなかったはずだが,急遽執り行うことになった背景には,Notes/Dominoのマイナーバージョンアップ版の記者発表会が開催されたから,ということもあるだろう。

 10月3日に開催された記者発表会でロータスは,特段にExchange 2000 Serverを意識した発言をすることはなかった。しかし,マイナーバージョンアップ版のLotus Notes/Dominoに盛り込まれる新機能のうち,OutlookをNotes/Dominoクライアントとして利用できるようにする「iノーツ アクセス for Microsoft Outlook」や,Notes/DominoをWindowsのファイルサーバーとして活用できるようにする「Domino Network File Store(DNFS)」は,明らかにExchange 2000 Serverを意識したものと思える。そして席上,ロータス取締役の安田誠氏はこう語った――「ロータスには,従来のプラットフォームやアーキテクチャを極力引き継ぎ,お客様の迷惑にならないように選択肢を増やすべきだ,という社風がある」。

 一方のマイクロソフトは,10月6日の新製品発表会で,ビジネス展開を効率化する.NET Serversの総合力をアピールし,Exchange 2000シリーズをそのコアプラットフォームとして位置づけた。そのうえで,企業の情報共有とWindows 2000上でのビジネス展開を促進するために,今後2つのアプローチを採用するという。1つは,全社レベルのメッセージングシステムの統一と,Active Directoryの普及を推進するため,Exchange 2000 Enterprise Serverの導入をトップダウンで進める(Exchange 2000 Serverは中小規模または部門レベルの展開に適するが,全社レベルの展開にはExchange 2000 Enterprise Serverを推奨するという)。もう1つは,部門レベルの情報共有と,Office 2000の普及を推進するため,コードネーム「Tahoe」という新たな製品を提供する。Tahoeは,Site Server 3.0, Standard Editionの後継にあたり,エンドユーザーコンピューティングに基づくナレッジマネジメントを実現する製品になると予想される(2000年10月中旬にベータ版,2001年の第1〜第2四半期に製品版を提供するという)。しかしながらExchange 2000には,Notes/Dominoではアドオンとして豊富に提供されている携帯端末やPDAなどとの連係機能は存在しない。Exchange 2000とモバイル端末との連携を実現するには,サードパーティから提供される製品を利用するか,2000年12月にベータ版が提供される予定のMobile Information 2001 Serverの完成を待たなければならないのである。この点は,携帯端末やPDAなどに対する戦略で後手に回り続けているマイクロソフトの現状を端的に示す一例と見て取れる。しかも,単純にExchange ServerやSQL Serverから情報を抽出し,モバイル端末に最適化して提供するだけであれば,既存技術を使っても,さほどコストを必要とすることなく十分に実現できる。Mobile Information 2001 Serverの仕様が明確でないため明言は避けるが,同製品が普及するかどうかは,今後モバイル端末がSOAPに対応するかどうかに大きく依存することになるだろう。

 Windows 2000 Service Pack 1のリリースに伴い,Windows 2000の出荷数も増加傾向にあるといわれている。片や,Windows 2000との統合を前面に押し出し,Windows 2000のキラーアプリケーションたるべく登場するExchange 2000 Server。片や,Windows NT 4.0などのレガシープラットフォームやSoralis,モバイル端末などの異種プラットフォームをもサポートしながら,IBM WebSphereとの統合という大変革も控えるNotes/Domino。性格の異なる2つの製品が織りなす鍔迫り合いは,今後ますます激しさを増しそうである。

 読者は,双方の製品の特性をよく見極め,どちらの製品を選択するのか,あるいは両者とも選択することなく別の選択肢を求めるのかを,決めてゆかなければならない。その決め手となるのは,両者の価格でも製品構成でも新機能でもない。読者または読者が属する組織が,どのような情報戦略を採るつもりなのか,それの導入と維持にいくらの投資をどの程度の期間にわたって続けるのか。すべては,それにかかっている。

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