Exchange 2000徹底解剖
Exchange 2000 Conferencing Serverが描く次世代コラボレーションの全貌

 次世代メッセージングプラットフォームの基盤

リアルタイムコミュニケーションの必要性

 前2回の記事で見てきたように,Exchange 2000は電子メールの基盤であると同時に,メッセージングアプリケーションや不定形データを扱うアプリケーションの基盤でもある。さらに,Exchange 2000は,従来の電子メールでは果たせなかったリアルタイムコミュニケーションの基盤となっている。

 従来の電子メールは非同期転送方式であるため,相手がオンライン環境になくともメッセージを送受信することができる。また,送受信した電子メールはメールサーバーのストアに格納されるため,後日読み直すことも可能である。重要なやり取りは,たとえ相手が隣の席に座っていようとも,あえて電子メールで伝えることで,ログを残すこともできる。しかし,相手が新しい電子メールを受信したことに気付かなければ,いつまでたっても相手とコミュニケーションを取ることはできない。また,インターネット経由の電子メールの場合は,システムの仕組み上,相手に対して確実に電子メールが配達される保証もない。このような場合には,相手の仕事の状況を確認したうえで,リアルタイムにコミュニケーションが取れると便利である。

 このような場面では,Exchange 2000 ServerやExchange 2000 Enterprise Serverに収録されているインスタント メッセージング サービスを利用するとよい。インスタント メッセージング サービスを用いると,文章をリアルタイムに送受信できる。さらに,Exchange 2000 Enterprise Serverを使用している場合は,リアルタイムにチャットすることもできる。

 しかしこの場合,電子メールでやり取りする場合と同様に文字だけをやり取りになるため,意見の取り違いや誤解が生じやすい。

 では,電話ならばどうだろうか。電話でのやり取りは,相手の声を聞きながら話を進められる。その点はよいが,音声だけをやり取りすることになるため,相手の状況や表情を確認できない。また,電話では,話しながら1つのファイルを作成したり,お互いが伝えたいことを図示しながら説明を加えたりするような作業には向いていない。何よりも,電話の場合は1対1でのコミュニケーションが前提となることが多く,複数の人と同時に意見交換することは難しい。本来であれば,同じ場所に全員が集まって会議できれば良いのだろうが,異なるビル,異なる地域,異なる国にいる複数の人物が一堂に会するには,時間も手間もコストもかかる。

 このような場面は,Exchange 2000 Server(特に断らない限り,単に「Exchange 2000 Server」と記した場合は,Exchange 2000 Enterprise Serverも包含するものとする)の環境下にExchange 2000 Conferencing Serverを加え,カンファレンシングサービスを用いるとよい。カンファレンシングサービスを用いると,オンラインで複数の人と会議を開催したり,アプリケーションを共有したりという具合に,より複雑で高度なコラボレーションを実現できるようになる。

Table 3-1 リアルタイムのコミュニケーション機能

製品名 Exchange 2000のサービス 機能 使用するクライアント
Exchange 2000 Server,Exchange 2000 Enterprise Server インスタントメッセージングサービス インスタントメッセージのやり取り,在籍情報の格納,チャットなど MSN Messenger
Exchange 2000 Conferencing Server カンファレンシングサービス ビデオ会議(ビデオ画像と音声の配信),データ会議(アプリケーション共有,ホワイトボード共有,チャット,ファイル転送) Outlook,NetMeeting,Internet Explorer
Exchange 2000 Conferencing Serverは,Exchange 2000 Serverがインストールされた環境に追加導入する製品である

 連載の3回目では,Exchange 2000のリアルタイムコミュニケーション機能として,インスタント メッセージング サービスとカンファレンシング サービスについて解説する。

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