インターネットアプリケーション時代の企業ネットワーク再設計
アプリケーション形態の変革と物理ネットワークの再設計

三階層型アプリケーション

 三階層型アプリケーションは,クライアント/サーバー型アプリケーションを発展させたものである。サーバーPCでは,データベースシステムだけではなく,アプリケーションシステムをも動作させる。Windowsプラットフォームの業務系アプリケーションでは,Microsoft社が「Windows DNA(Distributed Applocation Architecture)」を提唱するのに伴ってMTS(Microsoft Tranzaction Server)を無償提供したことをきっかけとして,DCOMベースの三階層型アプリケーションが普及しつつある。

 MTSを使用した三階層アプリケーションで発生する通信は,クライアントPCとアプリケーションサーバー(MTS)とのあいだで発生するDCOMベースのリクエストと,アプリケーションサーバーとデータベースサーバーとのあいだで発生するSQLベースのリクエストとなる。ここでいう「SQLベースのリクエスト」とは,クライアント/サーバー型アプリケーションで発生する通信と同種のものである。

Fig.1-3 三階層型アプリケーションの通信処理(図版をクリックすると拡大可能)
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 三階層型アプリケーションでは,トランザクションを構成する通信が,アプリケーションサーバーとデータベースサーバーとのあいだで発生する。一般的に,サーバーPCは同じネットワーク上に設置されることが多い。このため,トランザクションはサーバーPCが属するネットワークの影響のみを受けることになる。

 以上の理由により,三階層型アプリケーションは,クライアント/サーバー型アプリケーションに比べ,ネットワークの影響を受けにくい形態であると考えられる。

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