インターネットアプリケーション時代の企業ネットワーク再設計
アプリケーション形態の変革と物理ネットワークの再設計

Round-3:IPv4の終焉

 社内ネットワークがIPv6へと移行してゆくのに伴い,IPv4は20年間に及ぶ役割を終え,ネットワークから姿を消してゆく。IPv4でしか動作しないネットワーク機器やOSなどは,この時点で使い物にならなくなる。

 社内ネットワークをどのタイミングでIPv6に移行するのかによって,この段階に達する時期は異なってくるのだが,遅くとも2006年にはこの段階に達することだろう。

 IPv4が役割を終えたあと,すべての端末(PC,PDA,携帯電話,ゲーム機,テレビなど)がIPv6によってインターネットに対応してゆく。この時点で,真のインターネット時代の幕開けとなるだろう。

 ここで示したシナリオは,あくまで筆者の個人的な予測であり,何の保証もできない。いずれにしても,今後IPv6の動向を見守る必要があるということはご理解いただけたであろうか。

 ただし,IPv6の動向を見守るうえでは,注意していただきたいことがある。IT関連のテクノロジは,米国が発信元になることが多く,その状況を見ながら今後の方向性を見定めることが多い。しかし,IPv6については,米国よりもむしろヨーロッパやアジアが積極的に推進しており,米国の状況は参考にならないことが予想される。なぜなら,インターネット発祥の地である米国には,すでにIPv4に基づく十分なグローバルIPアドレスが割り当てられているからである。これに対して,後発のヨーロッパやアジアでは,IPアドレスが枯渇している(あるいは枯渇してゆく)実情がある。そのため,ヨーロッパやアジアの企業ネットワークには,今後5年以内にIPv6によるネットワーク再構築の波が押し寄せる。このことは十分意識していただきたい。

IPv4の延命処置

 1993年の時点で,IETFは2005年にIPアドレスが枯渇すると予想していた。IETFは,IPv6の策定に着手すると同時に,IPv4の延命処置を考案する。このような背景から生まれたのが,CIDR(Classless Inter-domain Routing)である。CIDRは,それまで最低でも256個単位でしか割り当てられなかったIPアドレスを細分化して割り当てる技術である。日本では,「クラスレスIPアドレス」と呼ばれて一般化している。

 CIDRは1995年から本格使用が始まっている。当初,これによってIPアドレスが枯渇するのは2010年以降になったと考えられてきた。しかし,予想をはるかに超えた勢いでインターネットが爆発的に普及したため,延命処置を施したにもかかわらず,2005年にはIPアドレスが枯渇するという皮肉な事態となっている。

Prev 12/18 Next