インターネットアプリケーション時代の企業ネットワーク再設計
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アプリケーション形態の変革と物理ネットワークの再設計
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Windows 2000のリリース,アプリケーション形態の多様化,サーバー運用形態の変化,IPv6への移行など,企業ネットワークは激動にさらされている。このような変化を柔軟に受け止め,自社に最適なコンピューティング環境を提供してゆくことが,TCOを削減し,企業としての競争力を高める重要な選択肢である。
しかし,すでに述べたとおり,企業ネットワークは部門単位で導入されてきた経緯を持つ。そのため,本稿の執筆時点における多くの物理ネットワークは,「部門単位に導入されたネットワークを単純につなぎ合わせただけ」の状態となっていることが多い。つまり,Windows NTネットワークと同様に「部門向けネットワーク」にすぎないのである。
「部門向けサーバー」から「企業向けサーバー」へと変貌したWindows 2000を導入し,進化するアプリケーション形態やサーバー運用形態を受け入れ,それらの恩恵にあずかるためには,物理ネットワークもまた「部門向けネットワーク」から「企業向けネットワーク」へと進化させなければならない。
企業ネットワークは,いまや大きな転換期を迎えている。今後10年の自社ネットワークを睨み,21世紀に向けてのネットワークを再設計する必要があるだろう。再設計したネットワークを,性急に実装する必要はない。「どのようなネットワークに導いていくのか」が明確となれば,日々の障害対応や小さなネットワーク変更ですら,「次世代ネットワークへの布石」となってゆく。ネットワークの設計者と実装者がそのような意識で望むのならば,ネットワークは緩やかに「あるべき姿」へと収斂されてゆくだろう。いま,企業ネットワークに必要なことは,「ネットワークの再構築」ではない。「ネットワークの再設計」なのである。
(田村峰幸,日立情報システムズ)
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