インターネットアプリケーション時代の企業ネットワーク再設計
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いまさら聞けない!?ネットワーク機器再入門
企業ネットワークで主に用いられる伝送速度は,10Mbps,100Mbps,1000Mbps(1Gbps)の3種類である。各伝送速度ごとに,対応するネットワークケーブルが存在する。端的には,伝送速度とネットワークケーブルの組み合わせが物理ネットワークの規格である,と考えればよい。まずは,執筆時点において使用されることの多い物理ネットワーク規格について解説しておこう。
10BASE-5は,伝送保証距離が500メートルの同軸ケーブル(これを「イエローケーブル」と呼ぶ)を使用して,10Mbpsのネットワークを構築するための規格である。10BASE-5は,1990年代の前半にネットワークのバックボーン(基幹線)として多く使用されたが,企業ネットワークのバックボーンが100Mbpsへと移行してゆくのに伴い,その役割を終えている。本稿の執筆時点で新たに導入されることは,まずないだろう。
10BASE-Tは,カテゴリ3以上のツイストペアケーブルを使用して,10Mbpsのネットワークを構築するための規格である。10BASE-5と同様に,1990年代前半のネットワーク構築で多く使用された規格である。企業ネットワークが末端まで100Mbpsに対応してゆく流れのなか,徐々にその姿を消しつつある。
100BASE-TXは,カテゴリ5のツイストペアケーブルを使用して,100Mbpsのネットワークを構築するための規格である。本稿の執筆時点で最も頻繁に使用されている規格である。
1000BASE-Tは,エンハンスドカテゴリ5(1000BASE-Tを前提に最適化されたカテゴリ5)のツイストペアケーブルを使用して,1000Mbpsのネットワークを構築するための規格であり,比較的最近になって実用化された(IEEE802.3abとして,1999年6月に標準化が完了している)。本稿の執筆時点では,PCなどのエンドノードハードウェア(末端機器)が1000Mbpsの伝送速度を処理し切れないことが多く,1000Mbpsの伝送速度を備えたネットワークにエンドノードハードウェアを直接結線することは稀である。このため1000Mbpsは,企業ネットワークのバックボーンとして,ネットワーク機器同士の接続に用いられることが多い。
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