インターネットアプリケーション時代の企業ネットワーク再設計
いまさら聞けない!?ネットワーク機器再入門

ミラーリング

 ネットワークで障害が発生した場合,原因を究明するために,ネットワークモニタを用いてネットワークのパケットを調査することがある。たとえば,あるサーバーに流れるパケットをすべてモニタし,問題の原因を追求するといった場面は,容易にご想像いただけるだろう。このような要求を実現する場合,L1-HUBであれば,すべての通信が全ポートに伝送されるため,サーバーの接続されているL1-HUBの空きポートにネットワークモニタを接続することで,必要なパケットを入手することができる。しかし,L2-HUBやL3-HUBでは,サーバーの接続されているポートに流れているパケットを,ほかのポートから入手することはできない。このような問題を解消するのが,ミラーリングという機能である。

 ミラーリング機能を用いると,特定のポートに流れるパケットをほかのパケットにそのまま伝送してくれる。そのため,ネットワークモニタによるパケット調査を手軽に実現できるのである。

フロー制御

 すでに解説したとおり,L2-HUBやL3-HUBにはブリッジ機能が搭載されているため,受信したデータをいったんメモリに蓄えてから伝送する。1000BASE-SXポートから10BASE-Tポートへの通信など,受信する速度が伝送する速度よりも速い場合には,メモリに蓄積されるデータが増え続けることになる。このような状態が続くと,最終的にはメモリの空き領域がなくなり,受信したデータを破棄せざるを得なくなる。データを破棄すると,送信元に対する再送要求を発生させなければならない。データを再送すれば,ネットワークに流れるデータの総量を増加させることになる。このような状況が多発すると,ネットワーク全体の効率が低下してしまう。

 このような問題を回避するための機能が,フロー制御である。フロー制御機能を有するネットワーク機器は,メモリの空き領域が少なくなった段階でポーズ信号を出し,送信側のデータ送出を一時的に停止させる。ネットワーク機器は,そのあいだに受信側にデータを伝送し,メモリの空き領域を確保した段階で,一時停止を解除するのである。このような制御によって,データの再送は減少し,ネットワークに流れるデータの総量も適正化することができる。

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