インターネットアプリケーション時代の企業ネットワーク再設計
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いまさら聞けない!?ネットワーク機器再入門
インターネット時代の 物理ネットワーク設計と サーバー配置 |
企業ネットワークを設計する場合の基本は,「物理ネットワーク設計とサーバー配置によってトラフィックをどのように制御するのか」という点にある。物理ネットワーク設計とサーバー配置は表裏一体であり,切り離すことはできない。本稿では,物理ネットワーク設計とサーバー配置を中心に,企業ネットワーク設計の指針について解説する。
なお,この指針は,執筆時点における筆者の私見である。読者のネットワークに適用する場合には,この点に留意いただきたい。
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まず,物理ネットワーク設計とサーバー配置について簡単な例を示してみよう。通信頻度が高く,大量のデータを送受信するノードがあったとする。この2つを異なるIPセグメントに配置した場合,ノード間の通信は双方のIPセグメントとL3-HUBに影響を与え,トラフィックを増加させることとなる。
これに対して,この2つのノードを同一IPセグメントに配置した場合は,ノード間の通信が一方のIPセグメント内で完結するため,他のIPセグメントとL3-HUBには影響を与えずにすむ。つまり,他のIPセグメントとL3-HUBのトラフィックは増加しない。
この例からわかるように,通信による影響範囲は,物理ネットワークの構成とノードの配置によって,大きく変化する。トラフィック制御とは,通信を必要最小限の範囲に封じ込め,通信による影響を可能な限り局所化することである。一般的に通信は,サーバーPCとクライアントPCとのあいだで発生することが多い。このため,物理ネットワーク設計とサーバー配置が,トラフィック制御の重要なポイントとなるのである。
詳しくは後述するが,非業務系のデータについては,クライアントPC間で発生する場面も多い。その端的な例は,クライアントPCにプリンタサーバーを兼務させる場合である。この場合,クライアントPCからクライアントPC(実際にはプリンタサーバー)へと大容量のプリントデータが流れるため,クライアントPC間のネットワークトラフィックは無視できないものとなるだろう。
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