インターネットアプリケーション時代の企業ネットワーク再設計
いまさら聞けない!?ネットワーク機器再入門

WANレベルのトラフィック制御

 企業の拠点が複数ある場合,本社を中心に,支店や営業所などの拠点をネットワークで結ぶ必要がある。執筆時点の一般的な企業ネットワークでは,専用回線(フレームリレーを含む)を使用して構成されることが多い。今後は,インターネットを使ったVPN(Virtual Private Network)を利用する例が増えてくると思われる。

 専用回線とVPNでは,サーバー配置における注意点が異なってくるため,本稿ではそれぞれの特徴を解説し,サーバー配置の注意点を説明しておこう。

専用回線によるネットワーク構成

 専用回線を用いてWANを設計する場合,インターネットへの接続は本社(IT部門の存在する拠点)のみとすることが多い。また,業務システムなどのデータベースサーバーも,サーバーの集中化によるTCOの削減を目的として,本社のみに設置することが多くなっている。このため,専用回線を用いた場合のWANレベルの通信は,各拠点から本社に対するアクセス頻度が高くなり,拠点同士のアクセス頻度は限られたものとなる。

 各拠点を数珠繋ぎ(スノーフレーク型)で結ぶWANを設計した場合,本社と任意の拠点の専用回線に,別の拠点の通信が加わることになるため,ボトルネックを生みやすい。また,本社と任意の拠点の通信回線に障害が発生した場合の影響範囲も大きくなるため,耐障害性にも問題がある。これらのことから,スノーフレーク型のWAN設計はお薦めできない。

Fig.3-9 スノーフレーク型のWAN設計(図版をクリックすると拡大可能)
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 企業ネットワークのWANを設計する場合には,本社を中心に放射線状(スター型)にネットワークを構成するべきだろう。この設計では,各拠点から直接本社に接続されるため,ボトルネックはなくなり,通信回線の障害発生時でも影響範囲を最小に押さえることができる。

Fig.3-10 スター型のWAN設計(図版をクリックすると拡大可能)
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