プロジェクトリーダーは十二分な準備で自信を生み出せ:ユーザーサイド・プロジェクト推進ガイド(10)(2/2 ページ)
プロジェクトリーダーには自信が必要だ。その自信を生み出すための「準備」の仕方をついて考えていく。
リーダーだけに負荷を掛けない
この連載ではこれまでにリーダーの作業として、「構築するシステムの概要」「コストやスケジュールのめど」「プロジェクト組織の在り方」などを検討することを勧めてきました。これらはリーダーとして「十二分に準備する」ことの一環ですが、これだけを考えてみてもその作業ボリュームの大きいことが分かります。作業負荷を無視することはできません。
責任感の強い人であれば、自分に努力を強要します。その努力を夢中で行うことができる人にはあまり心配は要りません。「仕事に行きたくないなあ」といつも思っている人でも、いざ遅刻しそうになれば「いますぐ仕事に行かなくちゃ」と積極的になってしまうのと同様、環境が否定的になる暇を与えてくれません(もちろん、体を壊すようではいけません)。
しかし、だからといってリーダーだけに過剰な負担が掛かることは避けるべきです。長期的なプロジェクトであれば、最後まで体力的な余裕を残しておくことは大切です。各メンバーの負荷はバランスが取れていることが望ましいのです。例えば、方針ではなく具体的な作業方法などメンバーに任せていいものは任せるべきですし、また経験のある人がいれば、その人にサブリーダー(補佐)になってもらうなどして対応します。
ついでながら、筆者はプレイングマネージャ、すなわちリーダーでありながら一般のメンバーと同じ作業もこなすことは、基本的に反対です。リーダーとしての作業に支障を来す可能性があると考えるからです。状況はプロジェクトごとに異なるでしょうが、場合によっては「二兎追うものは一兎も得ず」です。
人をリードするのは性格ではなく役割
最後にもう1つ付け加えます。
あなたが「自分は性格的に人をリードすることができない」「人を指示することが嫌だ」と思っているのであれば、人をリードするのは性格の向き不向きではなく、チームに高成果をもたらさなければならない責任、そしてそれに伴う権限であると考えを変えてください。「しかられるのも給料のうち」と同じで、少しは気が楽になるかもしれません。
プロジェクトリーダーとして準備を十二分に行うためのチェックポイント
- 前提条件・制約条件を幅広く検討するには、「5W2H」、深く検討するには、「5 times why」
- 過検討事項は、特性要因図やフローチャートなどのツールを使って書き残す
- 作成した文書は保存、活用できるように整理しておく
次回も引き続き強いチームである方策を考えます。
筆者プロフィール
山村 秀樹(やまむら ひでき)
某製造業において、主としてシステムの運用保守作業に従事している。仕事を通して、コンピュータ・システムに関心を持つようになり、中でもシステムの開発プロセスについて興味を感じている。
Elie_Worldを運営し、システムのライフサイクル全般にわたる作業について考えている。
- 業務の可視化で、多くの関係者を巻き込め!
- 工夫と規律で「システム用語辞書」を実現せよ
- 社内用語を統一する「用語辞典」作成のポイント
- 言葉の不統一がもたらす業務とシステムへの悪影響
- ドキュメントを作成しないユーザーは、失敗する
- プロジェクトメンバーがそろう前に行っておく事前準備
- システム開発プロジェクトの魅力を伝えよう
- プロジェクトチームのマインドとルールを方向づけるには
- プロジェクトキックオフ! オリエンテーションで話すこと
- プロジェクトリーダーは十二分な準備で自信を生み出せ
- プロジェクトチームのリーダーに向く人、向かない人
- プロジェクトチームにおける“システム担当者”の役割
- プロジェクトチーム結成──業務部門との関係を考える
- プロジェクトチームに付きまとう制約を打破するために
- タイプ別プロジェクトチームの問題点
- 不良システムを作らないプロジェクトの枠組み
- スケジュールとコストは、ユーザー側が始めからつかめ
- 最初が大切──構築システムの“概要”を作る
- ユーザー企業側プロジェクトチームの使命と役割
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