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「内部統制報告制度に関する11の誤解」の注意点SOX法コンサルタントの憂い(9)(3/3 ページ)

金融庁は、3月11日に「内部統制報告制度に関する11の誤解」を発表したが、実情はどうなのだろうか。SOX法コンサルタントである筆者から見た現実とのギャップを解説する。

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非上場企業でも内部統制評価の対象に?

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 上記をよく読むと、「非上場会社は、上場会社の重要なプロセスを受託している場合には、評価の対象にしなければならない」となってしまう。

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 この点について、導入企業側も特に誤解はしていなかったと思う。

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 「平成20年4月以降に決算を迎える決算期から適用」と書かれており、この点についても誤解はないと思う。

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 システムの対象プロセスが評価対象となっている場合は、期末でのシステム変更はオペレーション上の混乱が予想されるため、時期をずらす方がよい。

まとめ

 こうしてみると、全体を通してビックリするような内容はないし、誰に聞いても「いまさら何言ってんだ!」という反応はうなずける。「Too little, too late !」とよくいわれることを地でいっている感じだ。

 4番のところで、「上場会社のみが対象、かつ、企業の規模・特性などの中小企業の実態を踏まえた簡素な仕組みを正面から容認」とあるが、中小企業のための簡素な取り組みをもっと具体的に出してほしかった。

 「モニタリングの方法」や「専門家の利用」は大企業でも行われていることであるし、何らの新鮮味に欠ける。米国でさえ、中小企業のためのガイドラインができていて、しかも、適用猶予が与えられていたくらいなのに。日本でこのまま突っ走るとすると、中小企業から脱落組が出ることは火を見るよりも明らかだ。

 それから、6番のところであるが、金融庁は「企業には甘く、監査法人には厳しく」いっているきらいがある。これでは、結局企業は“そうでなくとも保守的に解釈する”監査法人のいう通りにやらざるを得なくなる。

 少なくとも、「ほとんど対応が取れていない中小企業向けのガイドライン」をいまから出しても遅すぎることはないのではなかろうか!

Profile

鈴木 英夫(すずき ひでお)

慶應義塾大学経済学部卒業、外資系製薬会社で広報室長・内部監査室長などを務める。

2004年から、同社のSOX法対応プロジェクトコーディネータ。現在は、フリーのSOX法・日本版SOX法コンサルタント。プランナー・オブ・リスクマネジメント、内部監査士。神戸商工会議所登録エキスパート。

著書:「図解日本版SOX法」(同友館、共著)

近著:「日本版SOX法実践コーチ」(同友館、共著)

連絡先: ai-risk330@jttk.zaq.ne.jp

Webサイト:http://spinel3.myftp.org/hideo/ai-risk.htm


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