ランキングを見て感じたのは、みんな用事があってインターネットを使っているということです。「何を買おうかな?」と思って行くのが楽天市場。ニュースサイトは新聞を読むのと一緒ですね。
ウチの親父は、電話は用があるからかけるものだと言ってました。電話は、昔そういうものでした。でもいまは違います。用事がなくても会話を楽しむためにかけたりする。いまのインターネットは、昔の電話と同じで必要性第一で使っている感じです。でも、その状況は変わっていくでしょう。食事だって、昔は「腹が減っているから」「栄養があるから」食べるものだったのが、「おいしいから食べる」に変わってきています。インターネットも用事があるからではなく、おもしろいから見るというようにならなければいけない。用事がなくても見られるというのは、豊かさの表れなんです。
個々のコンテンツでは、テレビ番組のサイトに注目しています。番組の作り手がネットの特性に気づき、テレビとインターネット両方で、立体的に作っていこうという姿勢が感じられます。
そのほか、ユニクロは私もよく利用しました。店で買う利点とネットで買う利点をちゃんと実現している。ビジネスとして本気でやったことがわかります。
2ちゃんねるも一時期見ていましたが、時間の浪費に感じて見るのをやめました。酒場のガヤガヤ、隣の席の会話を独りほろ酔いで聞いているような、その場ではいろいろ耳に入るけど、心に残らないというか。
食べ物にたとえると2ちゃんねるはやみ鍋でしょうか? 楽天市場はコンビニの食品売り場かな。どちらも、おいしいから食べる、という感じではないですよね。
インパクは111位? まあ、そんなものじゃないですか(笑)。
いまの状況に転換期が訪れるには、やはりインターネットユーザーの数が増えないといけない。一度使ってしまえば「こんなにおもしろいものもあるんだ」とわかってくれると思います。
今後は、用がなくてもなんとなく見たくなるような、「ほぼ日刊イトイ新聞」のようなサイトががんばらないと。ウチが1位にならなければだめだと思ってるんですよ。
上位4サイトのランキングは、前回の1、2位が入れ替わったものとなった。さらに過去5年間のデータも併せて見ると、まぐまぐの4年連続トップ4を筆頭に、Yahoo!ニュースの3年連続トップ3、さらに窓の杜が全6回中5回のトップ5入りを果たすなど、上位サイトの寡占状態がハッキリと見えてくる。
インターネットという語句には「新しさ」や「革新」というイメージがあるが、こと日本のコンテンツについては実用本位、そして保守的というキーワードが浮かんでくる。すでにネットが生活に密接しているといってもいい現状では、ランキングの小幅な変動は当然の結果かもしれない。むしろ、優れた定番サイトの存在がインターネットの地位を確固たるものにしていると考えれば、喜ばしい結果なのかもしれないが……。
変化の着火剤になるとしたら、ブロードバンドコンテンツだろう。この1年間のブロードバンド利用率の伸びには目を見張るものがあった。これがランキングにも影響を与えるかと思われたが、ブロードバンド向けの音楽、動画コンテンツは意外に支持を集められなかった。ブロードバンド人口がさらに増え、クオリティの高いコンテンツも急増するであろう2002年は、上位の定番サイトを脅かすサイトが登場するかもしれない。