ネットで情報収集、未解決事件を追う 「民間の大捜査網」を目指す探偵の挑戦

6月1日、2ちゃんねるに「未解決事件」という板ができた。これは、警察が解決できずに時効を迎える事件などについて独自にネット上で情報を集め、探偵が動いて解決を目指すというものだ。画期的な試みではあるが、関係ない人の個人情報が書き込まれるなどトラブルの可能性も考えられる。この板の発起人である、「探偵ファイル」の管理者・BOSS氏に話をうかがった。

――なぜこういうことを始めたのですか？
BOSS氏（以下敬称略）　世の中には未解決のまま忘れ去られようとしている事件や、時効を迎えてしまう事件が山ほどあります。目撃者は必ずいるはずなのに証言が寄せられないのは、証言したことで自分が疑われたりするのが嫌だとか、長時間の取り調べを受けるのが面倒だという人が多いからです。その点ネットなら、「ちょっと書き込んでみよう」という気になるでしょう？　警察にわざわざ出向いて証言するほどのことではない些細な情報でも、解決の糸口になり得るんです。そのために細かい情報を吸い上げられる場が必要だと思ったからです。

――2ちゃんねる（2ch）を選んだ理由は?
BOSS　管理人のひろゆき君がとてもおもしろい人間だから、というのが1つ。話を持ちかけて、すぐ理解して動いてくれましたから。また、2chで飛び交う膨大な情報量も、もちろん大きな理由です。2chは「雑音ばかり」と言う人もいますけど、場所によってはものすごく濃い情報が集まっているところもあるんですよ。

――情報を受け付けたあと、どう行動するのですか？　真偽をどう判断するのですか?
BOSS　有力であると思われる情報を得たら、全国約1000人のスタッフが実際に裏を取るために動きます。ただの雑談の場ではなく、事件解決が目的ですから。真偽の判断は、われわれがプロの探偵として培ってきた経験、情報網から判断していきます。犯罪心理学も心得ています。

――どんな事件に威力を発揮しそうですか？
BOSS　性犯罪や時効直前の事件じゃないかと。性犯罪や暴行など弱者が狙われる事件に関しては、とくに被害者の自己防衛にも役立つと思っています。ここを見ることで、マスメディアでは流れない事件が山ほどあること、日本が本当はどれだけ怖い国なのかを自覚してほしい。また、時効直前の事件のほとんどに700万〜1000万円の賞金をかけます。犯人の身近にいる人からの情報が来るのではないかと期待しています。

――ネットは開かれた場所である以上、犯人自身が見る可能性もあるのでは？
BOSS　もし犯人がかく乱情報を書き込みしてきたとしたら、「かかったな」という感じですね。探偵としては1つ糸口が増えたということになります。

――事件とは関係ない人の個人情報を書き込むなどのイタズラもあり得るのでは?
BOSS　この板専門の削除スタッフを5人つけて24時間体制で監視しています。個人名、電話番号、被害者への揶揄、全く関係ないアスキーアートはその場で削除します。ウワサや憶測を雑談気分で話してくれるのはかまわないですが、関係ない人を陥れることだけは絶対ないようにしたい。また未成年者が絡んだ事件に関しては、たとえ犯人だったとしても個人情報は極秘にします。

		■2ちゃんねる：未解決事件＠探偵ファイル24時 tanteifile2.gasuki.com/bbs/satsujin 2ちゃんねる内の板の1つだが、サーバーは独自に用意。6月1日の立ち上げ初日は、思ったより荒らしは少なかったそうだ。2日目にログが1000を超えるスレッドも。さっそく容疑者とコンタクトが取れた事件もあったとか ■探偵ファイル www.tanteifile.com 新聞、テレビに続く「国民の第三の情報源」を目指すニュースサイト。芸能や社会的事件のほか、さまざまな企画モノも。更新頻度も高い
		文/舟橋 愛　撮影/山本 中

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