地域によってサービス提供状況の差がまだまだ大きいADSLサービス。そんな中、「1収容局あたり100人の予約申し込みが集まれば開局」という画期的なADSLサービスを始めた事業者がある。
兵庫県全域を対象にADSLサービスを提供する関西ブロードバンドが7月31日よりスタートした「Commit ADSL」がそれだ。1週間後の8月7日には早くも、開局第1号となる佐用局の開局が決定した。
同社は今年4月のサービス開始時より、555人の予約申し込みを前提に開局を進めていたが、人数の集まりにくい都市部以外でもブロードバンドを推進するため、このプランを設けたという。兵庫県外の“ブロードバンド未開拓地域”にとってはうらやましい限り。「自分の地域でもこんなサービスがあればなぁ」と思う人も多いだろう。
だが、あなたの町でも、こうしたサービスが提供される可能性はある。
ここにあげた地域はほんの一例である。なお「情報ハイウェイ」という名前ではないが、同様のネットワークを整備している地域もある。自前による敷設のケースもあれば、通信事業者より回線を借り上げるケースもある。使いみちも行政用途にとどまっている地域、民間へ積極的に無料開放を進めている地域と、さまざまである。
■秋田県情報ハイウェイ www.pref.akita.jp/highway 基幹網の総延長は約440km。容量は1.5M〜93Mbps。通信事業者からの借り上げ回線。2001年6月に運用開始。行政、教育、公共施設などに利用。民間開放は現在整備中の地域IX(2003年3月までに開始予定)の運用後
■岐阜情報スーパーハイウェイ www.pref.gifu.jp/s11120/shplan/shplan-draft.htm 現在構築中で、2003年4月に運用開始予定。総延長距離は約2500km(幹線400km)。基幹部の容量は最大4Gbps。自前による敷設と通信事業者からの借り上げ回線の併用。プロバイダを含む民間開放を視野に入れる
■兵庫情報ハイウェイ web.pref.hyogo.jp/ehw 総延長は約1400km。基幹部の容量は1.8Gbps。通信事業者からの借り上げ回線。2002年4月より、26か所のアクセスポイントを供用開始。すでに関西ブロードバンドを含む19企業・団体が利用している
■岡山情報ハイウェイ www.pref.okayama.jp/kikaku/joho/joho.htm 総延長は約450km。容量は155M〜622Mbps。すべて自前による敷設。1999年4月より運用開始。民間にも無料開放されており、@nifty、DIONをはじめとする大手プロバイダやCATV、企業、商工会などが接続している
■愛媛情報スーパーハイウェイ www.pref.ehime.jp/shw 総延長は約450km。容量は5M〜55Mbps。通信事業者からの借り上げ回線。2001年4月より運用開始。現在は行政・公共利用がほとんど。2003年度以降実施の高度情報化計画で見直しも検討中
■ふくおかギガビットハイウェイ www.pref.fukuoka.jp/gigabit 総延長は約510km(2002年度中に700qに)。容量は2.4Gbps。通信事業者からの借り上げ回線。2001年11月より運用開始。民間に無料開放されており、すでにワイヤレスネットワークサービス(WIS)などが利用している
同社がこのような仕組みを実現できた背景には、県が整備した大容量光ファイバー網「兵庫情報ハイウェイ」の存在がある。「県民だれもがIT革命の成果を享受できる地域社会の実現」を目標に、一部を2002年4月から民間へ無料開放しているこのネットワークをバックボーンとして利用することで、月額1980円〜という安価なサービスを兵庫県全域に提供可能になったのだ。
実は、自治体が整備を進めるこうした“情報ハイウェイ”は全国各地に存在する。整備・運用状況は地域によってさまざまだが、まだ学校間や行政ネットワークのみに利用されているものも多いようだ。
事業者の採算がなかなか見込めない地域にブロードバンドサービスを呼び込むためには、自治体によるこのような環境整備が大きな力となる。「ただ、それだけではだめで、『自分の町にブロードバンドを呼ぶんだ』という住民の意識も不可欠」(関西ブロードバンド広報・平田佳世氏)
e-Japan戦略の下、各自治体ともIT化に力を入れる方向であることは間違いない。有効活用を望むなら、まずは自分の自治体の施策に目を向け、声を伝えよう。
■関西ブロードバンド www.h555.net 都市部以外の地域を中心とした「開局特別区」では、100名集まれば開局。しかも、加入者数が増えれば増えるほど月額料金も下がるうれしいサービス。サイトで各局の予約人数の状況も確認できる