“iモード一人勝ち”の方程式がゲーム機の世界でも再現されるのだろうか……。プレイステーション2(以下PS2)は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下SCEI)が販売している、いわずと知れた超人気家庭用ゲーム機だ。1月末の時点で国内895万台*1(北米と欧州を含めると2633万台)を出荷している。全国の総世帯数が約4700万なので、単純計算で約20%の世帯普及率を誇る国民的ゲーム機といえる。このPS2がブロードバンドネットワークという新たな武器を手にして家庭にネットワーク革命を起こそうとしている。
SCEIは、昨年12月のNTT-BBやYahoo! BBなどを皮切りに、名だたるネットワーク事業者と矢継ぎ早の提携を発表した。そのすべてがブロードバンドに対応したプロバイダやネットワーク事業者だ。SCEIはこれら事業者と提携を行うことで、この4月からPS2とブロードバンドを組み合わせた新しいネットワークサービス「Play Station BB」を行おうとしている。
ゲーム機とネットワークの組み合わせから連想するのは、いわゆるオンラインゲームだ。だが、SCEI広報部広報課長・桂山孝一郎氏は「単にオンラインゲームやインターネットテレビ端末のためだけにこのサービスを立ち上げたわけではない」と筆者の思惑を初めから否定する。桂山氏によるとオンラインゲームやインターネットは、たくさん用意されるコンテンツの一部にすぎず、ゲームのダウンロード、映画や音楽の配信、出版物に添付したDVDとの連携、インターネット放送など、あらゆるコンテンツを提供したいという。
ただし、SCEI自らがコンテンツを用意することはしない。それらを用意するのは、提携プロバイダ、ゲーム会社、コンテンツ会社などになる。そして、利用者はPlayStation BBというサービスに加入するのではなく、提携プロバイダやネットワーク事業者が設定するPS2に対応したコース(原稿執筆時点では一部を除いて詳細は未定)と契約することになる。たとえば、現在Yahoo! BBの利用者であれば、なにがしかのオプション料金を払ってPS2のサービスを利用するという形態だ。
いまあるPS2をそのまま利用してこのサービスを受けることができるのだろうか? もちろん可能。ただし、40Gバイトのハードディスク*2と100BASE-Tのポート*3を持った専用のブロードバンドユニットが別途必要になる。このユニットは、利用するプロバイダから買い取るか、またはレンタル*4という形で提供される予定だ。その料金は事業者により異なる。たとえば、NTT-BB(フレッツ専門のブロードバンドプロバイダ)の場合、1万8000円で買い取るか月額約1160円の18回分割のどちらかを選ぶことになる。また、月額900〜1000円程度でレンタルを行うところもあるようだ。利用者はこのユニットに内蔵されたハードディスクにゲームや映画などのコンテンツをダウンロードして楽しむという仕組みだ。