残念ながら本号が発売されるころには終了してしまうモニターサービスだが、東京のホテルロビー、カフェ、ドコモ関連施設を中心に実施されている。
モニター終了後の正式サービス開始時期や内容に関しては「全くの未定」(同氏)としながらも、「現在サービスを開始している他社と同じような料金に落ち着くだろう」(同氏)と明かしてくれた。また、電子メールなどを利用する際のプロバイダサービスに関しては、ドコモが現状の携帯電話用に提供している「mopera」を活用することになるという。ちなみに、同社はプロバイダのドコモAOL*4の親会社だが、「今回の実験にはAOLは参加してない」(同氏)とのことだ。
安価なモバイルブロードバンドの利用を可能にしてくれるホットスポットだが、大きな弱点がある。それは、1つのアクセスポイントからの電波の到達範囲が極めて狭いという点だ。そのため、現在の各社のエリア展開戦略を見ると、人が集まりそうな、ホットスポットに適した場所に自社のアクセスポイントをいかに多く設置するかという陣取り合戦を行っているかのようだ。これは一見するとホットスポットのエリアが広がってうれしいことのように感じる。だが、一方で、少々困った問題も出てくる。いま自分のいるホットスポットが、必ずしも自分が契約している事業者が提供しているところだとは限らないという点だ。ホットスポットにいるにもかかわらず、事業者が異なるためネットに接続できずに悔しい思いをするはめになる。それを避けるには、どこでも利用できるように1人で複数の提供事業者と契約しなければならない。だが、そのようなことは、あまりにも非現実的な話だ。このようなユーザーの不便を解消する手段として「ローミング」という手法がある。
ローミングは、ダイヤルアップ接続などで用いられている手法で、海外旅行などで、外国のプロバイダのアクセスポイント経由で自分が契約している日本のプロバイダのサービスが利用できるような仕組みのこと。ホットスポットにこのローミングの手法を取り入れることができれば、非常に便利なものになる。自分が契約していない提供者のホットスポットからでもネット接続が利用できるようになるからだ。だが、現状のホットスポット事業者は、囲い込み型の戦略をとっているため、ローミングに関してはお世辞にも積極的とはいえない。また、ローミングの仕組みを提供すること自体で余分なコストが発生したり、ユーザー認証やセキュリティ*5の方式など、統一したり解決しなければならない問題も多いことは確かだ。だが、モバイルブロードバンドをさらに便利なものにして、多くのユーザーを呼び込むために、このローミングは不可欠なものになるだろう。