サーバ＆コミュニティー部門の部門賞は、ウェブサーバ、メールサーバ、プロクシサーバの3つの機能を持つBlackJumboDogを選出した。

　BlackJumboDogのウェブサーバ機能では、標準的なHTMLファイルの表示はもちろん、ActivePerlというソフトを別途インストールすれば、CGIも利用できる。さらに、パスワードによる認証を行ったり、MIME（各国語や画像、音声、動画などを扱うための規格）の設定により表示可能なファイルを制御できるなど、細やかな設定が行える。

　メールサーバ機能は、メールの送信に使うSMTPサーバ、受信に使うPOP3サーバの両方の機能を持つ。LAN内での使用を主眼に置いており、仮想の独自ドメイン名で自由にいくつでもメールアドレスを作成し、運営することができる。このメールアドレスはLAN内でしか使うことができないが、メールをインターネットに転送する機能もあるので、外部とのメールのやり取りも問題なく行える。

　プロクシサーバ機能を使うと、ルータなどを導入しなくても、1つのインターネット回線を複数のパソコンで効率良く共有することが可能だ。

　いずれの機能も本格的だが、ソフトの使い方が簡単で、個人ユーザーでもサーバの設置が容易に行える点が受賞の決め手となった。

サーバ＆コミュニティー部門賞選評

高畑浩史 　部門賞はホットゾヌとBlackJumboDogの2本で意見が分かれたが、超有名ソフトであり、度重なるバージョンアップで高い完成度を誇るBlackJumboDogが部門賞を受賞すべきと判断した。インタフェースがシンプルなので初心者はとっつきにくい印象を抱くかもしれないが、使っていくうちに機能の豊富さときめ細かな配慮に驚くだろう。 　ホットゾヌは個人的にも使っていて好きなソフトの1つだが、表示が遅いのが難点。2ちゃんブラウザは競争が激しい世界なので、今後のバージョンアップや新ツールの登場に期待したい。 darkhorse 　BlackJumboDogは、定番中の定番であり、昔から有名なソフトでもある。その機能の強力さと多機能さゆえに「何となく難しそう」と敬遠されそうな感じもするのだが、ほかの同系統ソフトと比較するとかなり簡単な方だ。古くから何度もバージョンアップを繰り返しており、ファンも多い。使い方の詳細な説明をしているサイトも多数存在するので、全くのサーバ運営初心者でも何とか使いこなすことが可能だろう。 　何より、1つの単体ソフトで3種の異なるサーバを運営できるというのは最大の特徴であり、広範囲に支持される理由でもあろう。1粒で三度おいしいソフトというわけだ。 ひみっと 　数多くの秀逸ツールが出そろい、激戦区となったサーバ＆コミュニティー部門だが、BlackJumboDogが部門賞を獲得したのはある意味必然的なことかもしれない。 　純粋なユーザー数は2ちゃんねるブラウザの方が多いかもしれないが、BlackJumboDogは市販ソフトに勝るとも劣らない機能を兼ね備えている。ソフトには常に改良が加えられて、完成度がバージョンアップごとに高められている。LAN構築や個人向けのサーバ機能がそろっているので、ぜひとも使ってみたいソフトの中の1つだ。 ＠ガッテン 　この部門ではX―GUARD、ホットゾヌ、BlackJumboDogが特に印象に残った。ツールを評価するにあたっては、ツールの機能や内容を吟味することはもちろんだが、アーカイブを解凍して初めて実行したときの操作感や、添付されているreadme・txtの分かりやすさも大事なファクターだと考えている。 　ウェブサーバやメールサーバ、プロクシサーバの3つの機能を備えたBlackJumboDogだが、閲覧サイトやダウンロードファイルなどのデータをキャッシュすることにより、LAN上のパソコンの再アクセスが高速化される点は素晴らしい。使いやすい機能・仕様はやはり一歩ほかのソフトをリードしていると感じた。 ネットランナー 　BlackJumboDogはネットランナーでも以前から取り上げている老舗の定番ソフトだが、「別名指定」機能（本誌70ページ参照）など、使う人への配慮が隅々まで行き届いている。自宅でサーバを立てるための機能をすべて備えており、必携のツールといえるだろう。

ベスト・オブ・悪用厳禁ツール　11/13