ブランド力をけん引する「サムスン・デザイン」の秘密とは?(1/2 ページ)

ここ数年、グングンとブランド力を高めている企業――「サムスン」。そこには、高い商品開発力に加えて“デザインの力”が大きく貢献しているといわれている。台頭著しい同社製品のデザインについて、日本サムスン・デザインセンター長の吉田道生氏に話を聞いた。

» 2005年09月21日 00時00分 公開
[ITmedia]
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 かつて、「安いが品質やデザイン性は低い」というイメージがつきまとっていた韓国のエレクトロニクス製品だが、近年はそんな印象もすっかり払拭されている。しかも、ここ数年の世界市場における調査で、特に目立ってブランド力が急上昇してきている企業がある――。高い満足度をもたらし、高品質な製品を生み出すメーカーとして定着した「サムスン」だ。

 特に2000年以降、北米におけるブランド力の高まりは、著しい。「先進的な」「都会的な」「センスのある」「機能的な」……。様々な形容詞がサムスン製品を紹介するときに付けられるようになった背景には、商品開発力に加えて“デザインの力”も大きいといわれている。

 そんな台頭著しいサムスン製品のデザインについて、日本サムスン・デザインセンター長の吉田道生氏に話をうかがった。

photo 日本サムスン・デザインセンター長の吉田道生氏

“量から質”へ。戦略転換の鍵となったサムスン・デザインセンター

 安価に製品を量産・供給し、企業として成長。その後は製造業者としてのノウハウと技術力を生かして一流ブランドへと躍進する――。これはかつて高度経済成長の中で日本の製造業がたどった道だ。そしてまた、同じ道をサムスンも歩んだ。

 米ビジネス・ウィーク誌とコンサルティング会社のインターブランド社が共同で調査している「世界企業ブランド番付」。その2005年版によると、サムスンのブランド力は20位。日本のエレクトロニクス企業よりも高いブランド力と評価されている。

――高いブランド力を維持するために、優れたデザインは欠かせない要素です。サムスン製品がデザインに注力し始めたきっかけは何だったのでしょう。

吉田氏: 1993年、サムスンは“新経営”を掲げ、量から質へと経営コンセプトを大きく転換しました。それまではどちらかというと質よりも量重視の経営でしたが、新経営以降はより品質を重視した製品開発を行うようになりました。特に、エレクトロニクス製品のように顧客が手で実際に触れるものは、デザインの善し悪しが製品の満足度に大きく影響します。

――具体的にはどのような取り組みを行ったのでしょう。

吉田氏: 以前は開発拠点に近い地方都市にデザイン部門を置いていましたが、1993年以降はソウルの中心にデザインセンターを設立し、サムスン製品のデザイン全体をコントロールしています。また大学生に対し、最高の環境で最先端のデザインの勉強が行える学校を設立することで、韓国における工業デザインのレベルアップを図りました。すべての学生がサムスンに入社するわけではありませんが、結果的には優秀な学生の多くが入社し、サムスンのデザイン開発力のレベルアップにもつながっています。

――日本でのデザインセンター設立の経緯を教えてください。

吉田氏: 日本製品のデザインや日本人の好みなどをリサーチする情報収集を1991年ぐらいから開始していました。2000年頃から日本で本格的なデザイン開発を行う取り組みがスタートしました。このころから、サムスンは積極的に海外にデザインセンターを作り始め、現在は6カ国7拠点にデザインセンターが点在しています。

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 2000年といえば、ちょうどサムスン製品のブランド力が急速に高まっていた時期と重なる。北米では2001年にサムスン製の折りたたみ型携帯電話が大ヒット。先進的なデザインとコンパクトかつ機能的な設計が受け入れられ、「サムスン=テクノロジエッジ」のイメージが北米で定着した。

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提供:日本サムスン株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2005年12月31日