プレミアムな映像エンジンの“3つのコダワリ”――ビクターフルハイビジョン倍速液晶テレビ“EXE”「LH905」シリーズ麻倉怜士氏開発者インタビュー(2/3 ページ)

» 2008年02月21日 10時00分 公開
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麻倉: 805シリーズの開発時には「チャン・ツィイー」の作品で肌色再現を追い込んでいたという逸話がありましたが(笑)、今回はどんなソフトをリファレンスにしていたのでしょうか?

豊嶋: 今回のテレビはS/Nが良くなったということで、画づくりではスカーレット・ヨハンソンが出演する「ロスト・イン・トランスレーション」(2003年)を参考にしてみました。ベッドの上の不安げで所在なげなスカーレット・ヨハンソンの表情がうまく表現できているかなどをチェックしました。また、女性ではないのですが「善き人のためのソナタ」(2006年)の主人公の、目の周りに陰影を残しながら自分が盗聴したかということを言うか言うまいか迷うシーンのコントラスト感の表現にもこだわりました。

麻倉: マニアックですねえ(笑)。「善き人のためのソナタ」での陰影表現も、単なるコントラストではなくそこには製作者の深い意味や味わいがある。そこまで表現しようとしているのですね。

豊嶋: そういった画づくりにあたって、設定を微妙に変えてもノイズがのることなくスッキリしている今回の『GENESSAプレミアム』は非常に効果的でした。

動画もスッキリなS/N――「i-ClearMotion NR」

麻倉: S/Nの改善が画づくりに大きく貢献したということで、2つ目のコダワリ「S/N」について聞きましょう。GENESSAでは以前から、NR(ノイズリダクション)処理には独自のコダワリをみせていましたよね。今回のプレミアムで新搭載した「i-ClearMotion NR」は、従来のNRからなにが進化したのでしょうか?


photo 同社技術本部 ディビジョン技術開発センター ディスプレイ開発部 第1グループの遠藤謙太郎技師

遠藤: 従来のNRは動画と静止画で処理を変えており、静止画は3次元処理しますが、動画では2次元処理になっていたためノイズがうまくとりきれなかったのです。今回はビクターが得意とする倍速技術を応用しました。映像がどちらへ動いたかをベクトル検出して、動いた映像同士を用いて演算する技術により、動画においてもボヤケをほとんど発生させずにNRをかけることが可能となりました。

 これにより、従来ですと映像が止まっているときはノイズが抑えられていたのに動き始めるとザワザワっとノイズが発生していたシーンなどで、映像の動きの有無に関わらず、ほぼ一定したノイズ低減効果を得ることができるようになりました。効果がイチバン分かるのは、リビングでの使用をお薦めしています「テレビ」モードなどですね。ノイズのないスッキリした画になっています。

「i-ClearMotion NR」

同社の“倍速120 コマ技術”の高精度・動き予測技術を応用した高性能3次元ノイズリダクションで、動画や入力映像の品質に合わせノイズを低減する新技術。従来は難しかった“動きのある映像への3次元処理”を可能にした。これにより、動画ボヤケを抑えながら高いノイズ低減効果を発揮するほか、低品質映像においても入力映像の品質に合わせてノイズ低減量を自動調節することで、元画像への影響を抑えた常にノイズの少ない美しい映像を再現可能になった。

photo 「i-Clearmotion NR」の効果


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麻倉: これまでNRというと、どうしても“動きボケ”になるというイメージで、大画面ではさらにそれが目立つ印象でした。三次元処理が静止画しかできないので、どうしても動画の二次元処理との境目が出てしまう。

遠藤: スッキリした画を見せるというのは「LH805」シリーズからの流れで、今回の開発コンセプトはその延長線上でさらに進化させていこうというものでした。振り返ってみると、演算処理がすべて12ビット以上になった効果は非常に大きかったですね。12ビットの階調が出ているからこそ気になるノイズ部分があり、そのノイズを進化したNRで除去することで今まで見えなかったものが見えてきた気がします。階調の向上に相乗してNRを効かせているところがポイントです。

麻倉: 確かに階調が改善されるということは情報量が増えるわけで、同時にノイズも増えてきますね。階調だけよくなってもダメで、階調とNRという2つのアイテムが相乗効果を出すことでいい画が出てくるんですね。

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提供:日本ビクター株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2008年3月20日