シャープが4月下旬に発売するBlu-ray Discレコーダー「BD-HDW55/HDW53」は、同社初の「スカパー!HD録画」をはじめ、「新トランスコーダー」の搭載、ホームネットワーク機能など、見どころの多い新製品。AV評論家・小原由夫氏が、詳しく解説する。
Blu-ray Discレコーダーは今、新たな局面を迎えつつある。もはや長時間録画対応は当たり前、ダブルチューナー/ダブル録画も必然のフィーチャーとなった。言い換えれば、飛行機が離陸・加速し、いよいよ巡行高度に差し掛かるというタイミングが、BDレコーダー市場の現況ではないだろうか。この後、安定した航行域に入れるかどうかは、パイロットの腕や飛行機の性能がものをいう。つまり、BDレコーダーを作ったメーカーの姿勢や製品コンセプトがキモとなるわけだ。
では、具体的には今後どんな点が重要視されるのか。私が考えるその要件は、以下の3点である。1.)長時間録画モードの画質の品位、2.)フレンドリーな操作性、3.)コンビニエントな機能。このどれが欠けても最新BDレコーダーとしての安定航行は望めない。
シャープの新型BDレコーダー“AQUOSブルーレイ”「BD-HDW55/HDW53」は、シャープならではの新機軸が売り物。この2機種を以てして、シャープはその巡行体制を磐石なものにすることだろう。
では、まず1.)について考えてみよう。長時間録画のトレンドはいまや止まるところを知らず、最新のそれは“10倍”という驚くべき数字に達した。画質(解像度や情報量)を落とせば、技術的にはいくらでも長時間録画は可能である。しかし、オリジナルの映像と比べて判別しがたいほど画質が破たんしてまでの長時間録画モードはありえない。ある水準をキープした上で、ということになる。当然のことながら画質と録画時間はトレードオフの関係にあり、あちらを立てればこちらが立たずだ。そこが各社の腕の見せ所となる。
シャープは今回、大胆な手法で画質向上に取り組んだ。録画コンテンツのクオリティーを司る「トランスコーダー」に新開発のデバイスを採用したのである。
独自のアルゴリズムによって映像圧縮を行ない、効率的に番組を記録するのがこのトランスコーダーの役割なのだが、今回そのアルゴリズムを大幅に見直すとともに、エッジ先鋭化処理やノイズ低減処理を導入。新たに投入した微細化高画質技術なども相まって、長時間録画モードによって失われたディテールが補完され、録画/再生画質の飛躍的な向上が期待できる。
タイムシフトという一時的な目的の観賞(チェック)ならば、録画(再生)画質はある程度許容できる。問題は、BD-Rなどに録画/ダビングした場合の、ライブラリーとしての保存に値する(耐え得る)画質かどうかという点だ。さすがに10倍録画モードがライブラリーに値するとはいえないが、前記の微細化高画質技術が過去に録ったディスクの再生画質向上ももたらすのである。つまり、これまでのライブラリーをより美しく見ることもできるわけだ。
さらには、デジタル放送の受信データ(サラウンド音声や副音声、字幕、番組連動データなど)をそのまま、しかも10倍録画モードでも標準のDRモードと同様に記録する「高画質純録り」が、シャープならではの強みである。従来からこの「高画質純録り」には対応していたが、今回から最長モードの10倍録画でもユーザーが任意に連動データを記録するか否かオン/オフできるようになった。
シャープの姿勢にはブレがない。受信したデータをすべて記録するという一貫した方針が、「シャープのやり方が正しい」というマニアからの信頼を勝ち取る結果になっている。この考え方は、レコーダーは家庭における放送局のような役割を担っているという、ハイビジョンチューナー/レコーダーの草創期からのシャープの確固たるポリシーといえる。
また、ダビング動作時の操作性も無視できない。従来機からシャープは、HDDへの2番組同時録画中でもBD-ROM再生やHDDからBD-Rなどへの高速ダビングが可能だったので、スペースセービングのみならず、タイムセービングにもつながる。これもAQUOSブルーレイだけのセールスポイントである。こうしたマルチタスク機能(複数の機能を同時に実行する機能)は、オリジナリティの強い2.)フレンドリーな操作性といえる。
AQUOSブルーレイが一貫して採用してきた「高画質純録り」は、放送を録画する際に、付随する番組連動データや字幕、サラウンド音声を一緒に記録するというもの。例えばスポーツ番組なら、放送と連動して送信されるスコアや選手別成績といった情報も記録されるため、録画番組であってもリアルタイムの放送と同じように楽しめる。従来機では録画容量節約のために5倍以上の録画モードでは番組連動データが記録できなかったが、BD-HDW55/HDW53は新トランスコーダーの搭載によって問題を解決。録画モードを問わず、ユーザーが選択できるようになった。
シャープ、AVシステム事業本部デジタルメディア事業部の副事業部長兼商品企画部長を務める松浦文俊氏は、「高画質純録り」を「AQUOSブルーレイ1号機からの“こだわり”」と話している。「放送をそのままレコーダーにため込んでおけば、視聴する時に番組連動データや言語(2カ国語放送の場合)を選ぶことができます。AQUOSブルーレイは、いわば“家庭の放送局”。リアルタイムの放送と同じ利便性や楽しさを提供することが、製品のコンセプトです」(松浦氏)。
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提供:シャープ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2010年5月31日