見逃してはならないのが、この製品には「UV2A技術」(UltraViolet induced multi-domain Vertical Alignmentの略で、ユー・ブイ・ツー・エーと読む)を採用した液晶パネルが搭載されているという点だ。この技術は端的に言えば、「UV光によって液晶分子を精密に配向させる」ものだ。こういうとシンプルだが、この技術がもたらすメリットは後述のように多岐にわたる。ただ、その実用化は困難といわれてきたが、シャープが世界で初めて実用化に成功し、テレビの世界を大きく変革する「次世代液晶技術」として確立した。
液晶パネルは、基本的には液晶分子を制御し、そこを通る光の量によって映像を表示する仕組みになっている。そして、配向(並び)を安定的に制御するためには、液晶を仕切るセルごとに「リブ」や「スリット」といった液晶分子の支えとなる構造物を設置することが欠かせないとされてきた。しかし、同時にこれこそが微細な“すき間”を生じさせ、開口率(光の透過率)を下げたり、黒浮きを発生させる要因にもなる。
しかし、「UV2A技術」では、“UV光によって液晶分子を精密に配向させる”光配向制御技術にもとづく液晶表示という、液晶開発の現場では長年の悲願ともいえるアプローチを実現。支えとなる構造物の助けを得なくても精密な配向が行えるようになった。
その結果、UV2A技術を用いた液晶パネルでは、リブ・スリットレスの工法が可能となり、開口率は従来比20%以上アップした。実際の表示においても、締まった黒から、輝く白まで、幅広い再現力を獲得し、しかも明るさが向上することで、バックライトの消費エネルギー低減にも貢献している。
同時に、パネル自体のコントラスト性能が大幅に高められた。LEDバックライトを搭載しながら大型サイズでもローカル・ディミングを行っていないことに首をかしげた人もいたと思われるが、UV2A技術によって黒浮きなどが抑えられ、バックライトをいじる必要がなくなったというのが事実だ。これは素晴らしいことだろう。
リブ・スリットレスのメリットは、これだけにとどまらない。従来、液晶分子の応答というものはリブを基点にドミノ倒しのように伝播していたため、いくらスペック上の応答速度が高かったとしても、どこか切れのない液晶特有のぶれが感じられがちだった。しかし、UV2A技術ではすべての液晶分子を同時に、しかも均一に傾けられる、いわゆる「面配向」へと変えることに成功。高速応答を実現するとともに、さらに実際の視聴においては、俊敏性を感じさせるほどの映像表示を実現している。
そして、最も重要なのは、このUV2A技術が決してハイエンドモデルだけに与えられるプレミアムな技術ではないということだ。リブ・スリットレスによるシンプルな画素構造は、シンプルな製造プロセス、すなわち高い生産性をもたらす。低コストで高い性能を実現可能なUV2A技術を用いた液晶パネルを搭載することで、DZ3はスタンダードモデルでありながら、前述のような多彩な機能ばかりではなく、高度な表示性能をも手にすることができたのである。
DZ3ラインでは、52V型から26V型までにUV2A技術を採用した液晶パネルを搭載している。とくに今回試用した32V型の「LC-32DZ3」はフルハイビジョン解像度を実現しており、リビングルームのメインテレビとしてはもちろん、画質に妥協したくない人の2台目需要、あるいはPCのディスプレイとしても使いたい場合にも有力な候補となりそうだ。32V型クラスでローカル・ディミングを搭載することはなかなか難しいが、UV2A技術による基本性能向上が十分以上にカバーしている。革新的な製造技術がエンドユーザーに恩恵をもたらした好例といえるだろう。
シャープの液晶テレビはその素性のよさがなにより魅力的だ。そして、UV2A技術の確立は、その素性のよさをさらに高めた。テレビの映像というものはさまざまな処理・加工を経て映し出されるもので、そこに各社のこだわりが表れるというのもまた事実ではあるが、もともとの液晶パネルの性能にこだわり、自社開発・製造を続ける。それこそが“液晶のシャープ”たるゆえんであり、DZ3ラインもじつにシャープらしい液晶テレビといえる。
「DZ3ライン」には、52V型から20V型までの幅広い画面サイズが用意されており、幅広いニーズに対応する。32V型までフルハイビジョン解像度を実現したほか、26V型まではUV2A技術採用の液晶パネルを搭載するなど、基本性能を大幅に向上。省エネ機能やネットワーク機能など付加機能も充実している。
型番 | LC-52DZ3/46DZ3/40DZ3/32DZ3 | LC-26DZ3 | LC-20DZ3 |
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解像度 | 1920×1080ピクセル | 1366×768ピクセル | |
好画質センサー | ○ | ||
高画質Wクリア倍速 | ○ | ||
高画質アクティブコンディショナー | ○ | ||
なめらか高画質 | ○ | ||
HDMI入力 | 3系統(ARC対応) | ||
D端子 | 2 | 1 | |
AV入力 | RCAピン×3系統 | RCAピン×2系統 | |
S映像入力 | S2×1系統 | ||
そのほか入出力端子 | USB、LANなど | ||
発売日 | 9月20日 | 10月15日 | |
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提供:シャープ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2010年10月24日