スマートテレビが担う近未来の“イノベーション”本田雅一の視点(2/3 ページ)

» 2011年12月20日 10時00分 公開
[本田雅一,PR/ITmedia]
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テレビライフは変わった

 事実、わが家ではテレビ(とくに情報番組)を見る時、スマートフォンやタブレット型端末は手放せないアイテムになっている。それ自身が使いやすい統合型リモコンになる……という利便性も使っている理由の1つではあるが、一番の理由は関連情報の検索だ。

 テレビを見ながら関連情報を探す。本来ならデータ放送がカバーする領域だったが、テレビ放送を楽しむための画面を犠牲にせず、より使いやすい手元で操作できるタブレット型端末の方が、よりリッチな情報を得やすい。もちろん、端末を手早く使いこなせなければ、かえってテレビ視聴のじゃまになりかねないが、テレビ放送の内容に合わせて関連情報がタブレットに届くようになればどうだろうか? このような“放送と通信の融合”に関する具体的な枠組みはまだ決まっていないものの、利用スタイルのちょっとした変化を捉え、より使いやすくすることで大きな変化が起きる可能性も高いと感じている。

AQUOSの「L5/F5/F3シリーズ」と「AQUOS PHONE」の組み合わせでは、音声入力によるWeb検索が可能。文字入力の手間が省け、検索結果をテレビ画面に表示することもできる

日本独自のスマートテレビ

 「スマートテレビ」というキーワードが生まれて1年以上が経過し、実際にさまざまな製品が登場した。前述のスマートフォンやタブレット端末の使い方もそのひとつで、“セカンドスクリーン”と呼ばれる。すなわち、テレビという第一の画面に対して、第二の情報を伝える画面という意味だ。

 セカンドスクリーンは、用途に応じてさまざまな応用が考えられており、スマートフォンで撮影した写真や視聴中のWebサイトをフリック操作1つでテレビ画面に表示できる製品も登場している。また最新のBlu-ray Discソフトの中には、セカンドスクリーン機能を盛り込んだものがある。映画の進行とともに、関連する情報が次々に自動的に表示されるのだ。

 録画機の進歩という視点も見逃せない。録画をして別の時間にテレビを見るという基本機能以外に、1カ所に録画しておき、ネットワークを通じてどこでも好きな部屋で見るという視聴スタイルが実現できるようになった(DLNA/DTCP-IP)。ここではセカンドスクリーンだったスマートフォンやタブレット端末が、“ファーストスクリーン”になるわけだ。

12月1日に発売されたばかりの“フリースタイルAQUOS”の「F3シリーズ」。スタンダード機という位置づけながらネットワーク機能を搭載。AQUOS PHONEの専用アプリ「AQUOS Remote」や「Smart Familink」でテレビを操作できる

 これらの動向は、決して単純に海外の動きに迎合したものではない。例えば鳴り物入りで登場した「Google TV」が、スタートダッシュに失敗した後、アップデートでの多機能化、「Android Market」対応でアプリケーションインストールが可能になるなどの改良を受けているにもかかわらず、大きな成果を挙げていないことを見ても、意外に”スマートなテレビ”というテーマが難しいことが分かるだろう。

 また、海外で販売されているテレビの中には、スマートフォンを接続し、テレビのリモコンでAndroidスマートフォンの機能を操作できるようにしているテレビを”スマートテレビレディ(スマートフォンをつなぐと、スマートテレビになるように準備OKなテレビ)”と称して売っている場合もある。スマートフォン、あるいはタブレットのイメージがテレビに与えた影響が大きいのは確かだが、一方で日本とはかなり状況が異なることも伺える。

 テレビという商品は、実は国ごとに異なる場合が多い。放送は各国の法律に対応した受像機でなければならないし、コンテンツのタイプも違えば、チャンネル数もまったく違う。番組録画を好む・好まないといった差違もある。

 いわゆる「見逃し視聴」という、放送した番組をネット配信することに対しても国ごとに考え方やポリシーは異なる。日本はインターネットへの解放が遅れているなどという人もいるが、必ずしもそうではなく、市場環境の違いの方が大きいのではないだろうか。

 日本は動画配信ではなく、自分で録画して管理するという文化で発展してきた。それならば家庭内LANを活用したレコーダーとの連携機能は、もっともっと斬新な機能を盛り込みながら発展していいはずだ。「スマートなテレビとは何か?」という領域から、議論をもう一歩進めるべき時期かもしれない。

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