「モバイル放送」を追いかけた2500キロ――『ワレ到着セリ』:4日間同行レポート(後編)(4/4 ページ)
福岡に到着したかと思ったら、その12時間後には来た道を戻るために出発である。何をやってんのかというツッコミもあろうが、当然答えは「モバイル放送を聴いている」ということになる。
トンネルを越え、「八王子市」という看板を超えたあたりで、障害物もないのに受信が途切れるようになってきた。
そう、再びギャップフィラーの圏内に入ってきたのである。東名高速の中井付近と同様に、このあたりがギャップフィラーの限界のようである。八王子の料金所あたりまでこの状態は続き、やがてギャップフィラー圏内に完全に入ったようで、落ち着いて受信できるようになった。しかし、それと同時に渋滞が始まる。
この渋滞で、図らずもモバイル放送が実に有効なサービスであることを再確認できたが、23区内に入るのにずいぶん時間がかかってしまった。
高井戸を過ぎて首都高速に入ると、やがてトンネルにいくつか遭遇する。都内のようにギャップフィラーが動作している場所で、いったいどこまで到達できるのかは興味深い。
結果として、信濃町トンネルは問題なし、赤坂トンネルは真ん中あたりで少しだけ途切れたが通過速度によっては完全にOK、千代田トンネルと霞ヶ関トンネルはNGだった。現状ではトンネル内を目指してギャップフィラーが設置されているわけではないが、近所のギャップフィラーからの反射波でもけっこう受信できることが確認できた。
さらに、モバイル放送にほど近い山手線の高架下をゆっくり通過してもらったが、ここは完全にOKだった。やはり、ギャップフィラーはエライ。
最後に出発地点の数寄屋橋に戻って記念撮影。フロントグリルにびっしりと付いた虫の死骸が長旅を物語っているようだった
4日間の走行距離は2426キロと、机上計算した2500キロには少し足りないがほぼ予定通りだったし、高速道、一般道、市街地の路地、山道、ギャップフィラーのあるなしなどさまざまな環境で実験することもでき、満足のいくものだった。
かの『深夜特急』の最後で、主人公は「ワレ到着セズ」とスカした電報を打って旅を続けることになっているが、一般人である私はさすがに少々疲れたのでここで旅は終了。
もしも次にこのような機会があるのならば、編集長がものすごい勢いで参加したがっていたので、絶海の孤島か激寒の雪山あたりで開催されるよう、密かに熱望している。
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