力強さと繊細さをピュアに表現――音の本質がわかるAVアンプ「DSP-AX4600」:レビュー(4/4 ページ)
ヤマハから高級AVアンプ「DSP-AX4600」が登場した。HDMI/iLINKなど最新インタフェース・磨きをかけた自動音場補正などバランスよい機能面に目が行くが、注目したいのは力強さと繊細さを兼ね備えたピュアサウンド。同社が追求した“音の本質”をじっくり検証してみた。
DSP-AX4600のライバルはソニーのTA-DA7000ES、パイオニアのVSA-AX5Aiといったところだろう。このうちVSA-AX5AiはDSP部や音場補正機能などは大変優れているが、アンプ部はやや力不足の印象がある。直接的なライバルはTA-DA7000ESになるだろう。
音の質だけを比較すると、TA-DA7000ESは透明感が高く、楽器の表情が見えてくるような滑らかさ、情報量の多さが魅力だ。解像力も高い。ただしややおとなしく、力感には欠ける方向の音質である。無理に鮮度の高さを演出しない代わりに、鮮烈な印象は残さないかもしれない。
一方、DSP-AX4600はS/Nの良さから来る透明感、それに解像力や情報量といった点でも、TA-DA7000ESと同等レベルと感じる。感覚的なS/N感という意味では、アナログアンプのDSP-AX4600の方がむしろ良く感じて、甲乙は付けがたい。ただし音の方向性は大きく異なる。DSP-AX4600の音を一言でいえば、ピュアオーディオ的なHi-Fiサウンドなのだ。
それはたとえば、激しくギターをかき鳴らす、あるいはパーカッションを激しく叩くといったソースで顕著。ラテン系の音楽を聴いていると、その熱さ、激しさが目の前に拡がる。一方でゆったりとしたグランドピアノの調べでは、柔らかくハンマーが弦を叩く雰囲気まで伝わりそうな細やかな一面もある。
さらにDSP-AX4600にはTA-DA7000ESにはない、操作の扱いやすさやアサイン機能の豊富さなどの柔軟性がある。またすでにヤマハ製アンプを所有し、フロントエフェクトスピーカーを設置しているユーザーの場合、そのままの環境を活かせるというメリットもある。
一方でDSP-AX4600には同時に7台(+パワードサブウーファー)しか繋げないというジレンマもある。5.1チャンネル構成に対してフロントエフェクトを追加するか、あるいはサラウンドバックを追加するかはユーザーがメニュー上から選択しなければならない(どちらが良いかとアドバイスを求められたなら、フロントエフェクトの追加を勧めたい)。このあたりがDSP-AX4600に“Z”の名称が与えられなかった理由だろう。
だが本質的なアンプ部改善への取り組みと従来からの使いやすさ、豊富な入力端子などを考えれば、そうしたことも些細な不満だ。ライバルたちからはやや遅れて登場したヤマハの中上位に位置するAVアンプ。それは少なからず、今後のヤマハ製AVアンプの方向性をも示唆しているといえよう。
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提供:ヤマハエレクトロニクスマーケティング株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2005年7月31日
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